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プロローグ

 みんなも夢を見ると思う。

 夢の中でも声が聞こえる人がいるというのも聞いたことはあるだろうか?

 どれくらいはっきり声が聞こえるのかとか、そういう強弱もあるらしいけどそういった夢は高確率で正夢になると俺は小さい頃に聞いた。


 小さい頃、小学二年生くらいだったと思う。

 小学校近くの林に自然学習の一環で行った時の事だ。

 周りには同級生がいたはずだったのに気がついたらいなくなっていた。

 移動しちゃったのかと思って周りをみたら僅かに靄が掛かってるように見えた。


 そこで、一人のヒトと出会った。

 無茶苦茶大きかったと思う。

 その時の自分の身長は覚えてないけど、中学生の時に一度この林を見に来たけど2メートルは超えているとその時認識して驚いたような気がした。


 そのヒトは何かを言ってくれた。


 なにを言ったかは覚えてない。

 いや、そもそもそこに存在して会ったのかも、話してくれたのかもすら正直思い出せない。

 子供の頃にはお友達みたいなのができたりするというが、それでも本当にそこに存在したと小さいながらに認識してたと思う。


 そして、何よりもそのヒトと出会ってからだ。

 夢のを見ている中で色んな人の声や自分の声を知覚するようになったのは。

 中学生を過ぎたあたりからそういった夢を見る量が増えてきたが、一番多くなったのは高校生くらいからだ。

 歳を重ねるにつれて見る夢が酷い物になっていった。


 それは超リアルな死ぬ夢だ。


 ナイフで右の脇腹を刺されたという経験なんてある人は普通いないだろう。

 俺もそんな経験があるわけはないが夢でそういう夢をよく見る。

 しかも、夢で見ると痛みまでついてくるおまけ付き。

 当然、実際のダメージはあるわけでは無く無傷だ。

 傷があったら大事だ。


 そんな夢を中学生の頃から見始め高校生の頃には一番多くて一年で200回はそんな夢をみた。

 ナイフで刺されただけではない、拳銃で撃たれたり、鈍器で頭を割られるような夢もあった。

 沢山の死ぬ夢を見てきたが同じようで皆どこか違ってもいる。

 攻撃してくるのは、近親者や他人だけではなくそんじょそこらのB級映画みたいな怪物に食われる夢だってあった。


 ある意味多彩だけど、嬉しくない。

 普通とも言える夢だって見るが死ぬときの夢程はっきりしてなくて、あんまり覚えていることも少ない。

 しかも、そんな普通な夢に限って忘れたことにデジャブを起こして困惑する始末。


 そんなある日のなんでもない夜のことだ。

 いつも通りに布団に入り久しぶりに夢を見た。

 珍しく悪夢じゃないのにはっきりとした夢だ。


 そこには、一人のヒトが立っていた。そいつと俺以外は誰もいないらしい真っ白な空間だ。

 身長は俺よりも高いようだ。

 ん? 俺より身長が高い? 俺は身長170センチなんだが……それよりも圧倒的に高い。

 50センチは高いんじゃないか? と考えていると声をかけてきた。


「あなた、武器を持つならどんな物が好き?」

「は?」


 声をかけてきたと思ったら、武器だと?


「武器は、嫌い?」


 尚も聞いてくる。

 武器か、何かいい武器……好きなと言われれば刀だな。


「俺は刀が好きだな。」

「そう、あなたは刀が好きなのね?」


 よかった納得してくれたようだ。と、安堵していたら。


「どんな刀が好きなの?」


 どんなのときたか……有名なのだと何だ?草薙の剣?いや、あれは刀じゃないよな。

 あとは、天羽〇斬とかか?あ、物〇し竿とかもあったな……。

 そう言えば、かんなぎとか言うのもあったな、なんかシンプルだしそれで行こう。


「好きな刀はかんなぎだ!」

「そう、不思議な名前の武器ね」


 不思議なのか?いや待て、かんなぎって確か『かむなぎ』を崩した言い方で、漢字で書くと神を薙ぐって書いて『神薙』だった気がする。

 それでも、不思議かと言われたらそうでも無いよね。

 実在するかは怪しいレベルではあるけど。


「あなた……名前は……?」

「名前か? 俺は柊だ。そう言えばお前は何て言うんだ?」

「私の名前? 名前は……名前?」

「何だお前、名前はないのか?」

「名前……いらなかったから……無くなっちゃった」


 名前って無くなるもんだっけ?ダメだ理解ができないぞ?と言うか、久々にまともな夢だが生々しいな。

 ちょっと怖いくらいだ。


「そんなことより」


 あ、話し変えてきた。


「ずっと、観てた」

「何を見てたんだ?」

「ずっと君を」

「待て、話が見えないぞ。お前は神様か何かなのか?」


 そう聞くとあいつは首を傾げた。

 顔は何故か見えないが『神様じゃないよ?』とでも言いたそうな雰囲気を醸し出している。


「OK、神様ではないんだな」

「違う」

「んで、何故俺はお前に見られてたんだ?」

「呪われてるから?」


 疑問系かよ!ん?呪い?


「死の苦痛は対価」

「生きてるけど?」

「違う、夢」


 何故だ、話が噛み合ってる気がしないぞ!?不思議!


「代わりに不幸、みえる」

「む、若干わかったぞ。俺が死ぬ夢を見るたびに不幸が襲うんだな?」

「そんな感じ」

「でも、これはそこまで便利じゃないよな」

「だから、呪い」


 ふむ、まとめると今までの不幸は呪われてたから死ぬ夢をみてた訳か


「わざわざ出て来たんだ呪いは解けるのか?」

「普通には、無理」

「普通じゃなけりゃ良いわけだ」

「後悔しない?」


 後悔?何故後悔するんだ?今まで以上に悲惨な死に方とか想像できないぞ


「ま、平気だろ。任せるわ」

「わかった。少しだけ力も分けてあげておくね」

「ん? ありがとうございます?」

「じゃあ、頑張って……」


 そして、意識は薄れ深い眠りに落ちて行った……。


 ――ゆっさゆっさ。

 何かに身体を揺らされている。


 家に、家族はいるがわざわざ起こしに来る奴はいない。


「――て!」


 どうやら、起こされてるらしい。もう少し寝てたいんだけど……。


 ――ゆっさゆっさ。尚も揺らされた


「はやく、起きてください!」


 少しずつ覚醒してきていたから声をはっきりと認識した。

 仕方ない、身体を起こすか……。

 今日のバイト何時だったっけ?


 ゆっくりと目を開き、欠伸をしながら身体を起こした。

 そして目の前には


「なんだよ……これ……」


 ――犬耳の女の子が一人と森が広がっていた。

読んで頂きありがとうございます。


気持ちで書き始めたので見切り発車ですが、楽しんでくれたら幸いです。

初投稿になりますので投稿ペースはそんなに早くないかと思います。

良ければ感想等もお待ちしていますね。

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