表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/218

第七話 仲間との別れ

 拳をもろに受けたリンが、その場に崩れ落ちる。セイク達は、倒れたリンへ駆け寄り、それを尻目にライトがその場から立ち去ろうと背を向けたその時、後ろからケンが声をかけた。


「なんの用だ、まさか今度はお前が闘うなんて言わないよな」


 ライトが、そう言いながらケンの方へ振り替える。すると、ライトの目の前にメニューウィンドウが出現する。


「まさか、ライトはリン相手に勝ったんだ。止める理由はねぇよ。でも、フレンド登録くらいはしてもいいだろ」


「……そうだな。別に、俺とお前らが敵同士になるって訳じゃないしな」


 そのウィンドウには、『ケンからフレンド登録の誘いが届きました。了承しますか?』の文字が浮かび、ライトは『はい』の部分をタッチすると、今度こそセイク達に背を向ける。


「今度会える時は何時かは分からんが、それまでは脱落してくれるなよ。いくら制限時間(タイムリミット)があるとはいえ、な」


 そう言って、振り返らずに手を振りながら、ライトはその場を去る。その背中を


(光一、やっぱ強いな。けど、次会う時は、俺ももっと強くなってやるからな!)


 そんな思いとともにケンは見つめ。


(光一。次会う時は、必ず倒してみせるんだから!)


 そんな決意を胸に、力強い視線でリンは見つめ。


(光一、あいつ俺らを気遣ったのか……でも、次会う時はそんな気遣いが要らないぐらい強くならないとな)


 そんな思いとこれからを考えながら、セイクは見つめていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 その後。ライトは、ゴブリンなどの雑魚モンスターを倒すなどを倒してレベルを上げていた。そのお陰で、懐も少しばかり潤い、あと十日は問題なく過ごせる程の金を稼ぐことができた。

 現在のゲーム内での時刻は、夜の七時頃。夜になってしまうと、AWOの設定上敵の能力が少し上昇したり、昼とは違う敵が出てきたりするので、殆どのプレイヤーは夜に闘いに行くことはない。


 ライトもその例に漏れず、今は適当な宿をとって自室に居た。ライトは、メニュー画面から開ける掲示板等を、部屋のベットに腰掛けながら見ていたが、めぼしい情報はもう見終わってしまう。

 ライトは、固まった体をほぐすようにその場で伸びをすると、腰かけていたベットに仰向けに倒れこむ。

 今のところライトがAWOで手にはいる情報は、粗方調べてしまった。そうなれば、


『なあ、リース。聞こえるか』


 後は現実から情報を得るだけだ。

 ベットに倒れこんだまま、ライトは一人言のようにそう呟くと、


『聞こえるよ、光一。また、随分大変な事になってるね』


 脳内に、聞き慣れた声。リースの声が聞こえてくる。現状AWO内から、外へのアクセスは完全に不可となっているが、流石に神の従者としての能力までは防げなかったようで、こうしてライトは外のリースとの連絡が可能となった。


『早速だが、一つ聞きたい……』


 ライトが、現状の情報を少しでも得ようと、話を振ろうとすると、


『あの謎の男の事かい? それなら大体光一の考え通りだと思うよ』


 それよりも早く、リースは答えを話す。質問が予測されていたが、未だ解決はされていない。つまり、ライトが少し考えて分かるほど、問題は単純でありながら、解決は難しいという事だ。


『やっぱり神とやらが一枚噛んでるのか』


『うん。どうやら、この前光一に計画を頓挫させられた悪神の仲間らしくてね』


『それで、解決策はなにか無いのか』


 ライトが、難しいと分かっていながらも、問題の解決法を問うと。


『今のところ、こちらから大きく干渉するのは難しいね。でも、一番確実な解決策は、あの男が言ってた通り、このゲームをクリアする事だろうね』


『あの男が言っていた事に、嘘は無いのか。だが、なぜ自分が不利になる条件をつけたんだ?』


 ライトが当然の疑問を口に出すと、


『簡単さ、私達神は基本的に人間界に干渉するときは、殆ど力を使えない。それでも、あの神が、このゲームに干渉するほどの力を使えるのは、制約をかけたからさ』


『制約?』


『そう、¨ゲームをクリアすれば開放¨を制約に、あいつは力を強めたんだろうね。多分、他にも光一達に有利な条件があったら、それも制約の一つだと思うよ』


 ¨まあ、次元の揺れで世界が一時的に混ざったのも、関係なくは無いんだけどね¨そう付け加えると、リースとの通信は切れてしまった。どうやら、あちらも中々に忙しいらしく、その為とリースは言っていた。

 一人となった部屋で、ライトは自身の手のひらを見る。現状ライトしか持っていない、神の従者としの能力は三つある。


 リースを現実世界に呼び出す能力、『神様召喚』

 全ての文字、言葉、言語を操る能力、『完全翻訳』

 そして、ライトが最もよく使っている。自身の体を思い通りに動かせる能力、『自身操作』


 特に最後の自身操作は、ライトの生命線と言っても過言ではない。この能力、様々な使い方があるが、その内の一つに『集中(コンストレイション)』という技能がある。

 これは、端的に言うなら、スポーツで言うところのゾーンに任意に入ることの出来る。と言った能力である。リンとの戦闘では、これを使った事により。ライト視点では、リンの動きがはっきりと、そしてゆっくりと見えていた。

 このように、割りと応用の聞く能力であり、これがあったからこそ。ライトは、ここまで大きな態度をとる事ができているのである。


(ま、何にせよ方針は決まった)


 このAWOをクリアして、あの神に吠え面をかかせてやる。今後の大きな目標が決まったことで、少し安心したのか、ライトの瞼は少しずつ重くなって行く。

 ベットに倒れこんでいた事もあり、ライトはその眠気に逆らわず、意識を投げ出した。




 



 ステータス紹介(スキル構成編)


 Name ライト


スキル  蹴りlevel3 殴りlevel2 ナイフlevel3 投げlevel1走りlevel3 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] このゲームにプレイヤーを閉じ込めた犯人が悪神の仲間だったとは……(;´・ω・) ライトとセイク達は別行動になったけど、お互い強くなって再会できるといいなぁ(*'ω'*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ