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第六十四話 魔法言葉

(これが精霊か?)


透明な羽に、小さな体躯(たいく)の少女を姿をした謎の生物。湖の上を浮遊し、こちらを興味深そうに見てくる少女を見て、ライトはそんな感想を抱いた。


「これが精霊?」

「な、何よ! 私は妖精よ、精霊なんかと一緒にしないでよ」


 どうやら考えていた事が口に出ていたらしく、それを聞いた彼女はそう否定しながら、水面を滑るようにライトに近づいいてくる。


「全く、何で人間がここに……、ここは普通の人間じゃ分からないって長が言ってた筈なのに……」


 頭を抱えて悩みだした妖精の呟きを聞いて


「人間には分からない? でも、私は人間じゃないしなー」


 そうリースが漏らすと、妖精はパッと悩みが解決したような顔でリースの方を向く。そして、ライトの前からリースの方に移動すると、


「へー、そうなの! 通りで何か普通の人とは違う感じがすると思った。私はトイニ、妖精よ」

「私はリース。……うーん、とりあえず人間じゃないとだけ言っておこうかな。よろしくね、トイニちゃん」

「人間じゃない……? 変なの、まあいいや。悪者じゃなさそうだし」


 早くも自己紹介をする程に打ち解けたリースとトイニと名乗った妖精。さらに、トイニが¨精霊の里を案内するわ¨と言って、リースの手を引いて浮遊しながら移動しだす。

 行かない訳にもいかないので、とりあえず二人の後をついていくライト。二人は、自身の数メートル先で何やら魔法だの何かの話をしていたのは分かったが、盗み聞きする気は毛頭なく、それよりも今は、


(さて、何で俺にトイニの言葉が分かるんだ?)


 先程から頭の中に浮かぶ疑問を考える事に集中していた。リースの話によれば、精霊又はトイニ(いわ)く妖精は、普通の言語とは違う言葉を話している筈。だからこそ魔法言語のスキルレベルが一定値ないと、話すことも理解することもできない筈だ。

 しかし、ライトはトイニの言葉を理解できているし、トイニの方もライトの言葉を理解しているようである。その謎について、腕を組ながら考え混んでいると、


「着いたわ、ここが私たちの里よ!」

「へー、キレイだねー」

「おー、確かに綺麗だ」


 背の高い木々の間を抜けて開けた場所に出たと思えば、そこはのどかな里といった場所でキラキラとした光の珠のようなものが漂っていたり、赤青緑などの綺麗な色の精霊が居たりなど、幻想的な風景が広がっていた。

 二人が里に入ると、周りの人々? はざわめきながらこちらを眺めてくる。恐らくここに居るのは精霊ないし妖精なので、外から来たライトやリースは奇異の目で見られても仕方ないと、ライトは結論づける。

 トイニは、¨長のところに案内するわ¨と言って、里の中央に位置する、巨大な木の方にへとリースを引っ張っていってしまう。周りが奇異の目で見てくるなか、一人で居るのは気まずいので二人について行くと、


「長ー! なんか精霊魔法を教えて欲しいって子、連れてきたよー」

「おお、トイニ。よく来たの、そちらの方もどうぞこちらに」


 木の中腹辺りの窪みを利用して作られたらしき家の中には、これまた体長百二十センチ程の老人が居た。その、老いた妖精に通されて、リースとライトは隣通しに、老妖精とトイニと対面するように座る。


「初めまして、私はオンニと申します。さて、精霊魔法を学びたいとのことですが、それはどちらの方でしょうか?」

「あ、私です。初めてまして、リースと言います」


 オンニと名乗った妖精と、リースが話初めた時ライトは、


「じー」

「何だ」


 向かいに座ったトイニからじっと見つめられていた。少なくとも好意の目線ではなさそうだが、ライトが理由を聞いてみると、


「何かアンタからは変な感じがするの。いくらリースの(しもべ)とは言え、人にしては精霊言語も上手いし……」

「知るか、少なくとも俺は人間だ(って、リースの奴。俺を僕として紹介したのかよ、確かに間違っちゃいないけどさ)」


 トイニの話を軽く流しつつ、彼女の評価がリース>ライトに成っている事にどうしたものかと思っていると、


「それで、こちらの……」

「ライトです。自己紹介が遅れてすみません。今回は隣の彼女の付き添い兼護衛といったところですかね」

「そうなのですか?」

「?」


 ライトが少し遅くなった自己紹介と、来た理由を述べるとオンニは驚いたような声を上げる。その事についてライトが疑問に思い、聞いてみると、


「何か変なこと言いましたか?」

「いえ、てっきりそこまで¨精霊言語や魔法言語に精通しているので、貴方も精通魔法を学びに来たのかと¨」

「へ?」


 オンニの口から出たのは、予想外の一言であった。


 


 


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