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第三十二話 ボス戦後

「それじゃあ、勝利を祝って乾杯!」


 ここはグレンデンの酒場の一つ。そこでライト達は、ボスゴブリン討伐の祝勝会を上げていた。

 ジェインの乾杯の音頭に会わせて、ライト、リース、ジェインはそれぞれのグラスを合わせる。その後、ジェインは並々と注がれた酒を一気に煽り、グラスを机に叩きつけるように置いた。


「それで、大将。この嬢ちゃんは誰なんだ? アンタの性格からして、普通のパーティメンバーとは思えないが」


 グラスを叩きつけたジェインは、少し赤くなった顔で机に乗り出すように、向かいの席に座るライトに詰め寄る。

 詰め寄られているライトは、ゆっくりと片手に持ったグラスから烏龍茶に口をつけてから、


「その通り、リースは普通のプレイヤーじゃない。というかプレイヤーですらないな」


「へ?」


 そう説明を始める。いきなりの話にジェインは、間抜けな顔をしたが


「このグレンデンでは、中位職というのに職業(ジョブ)を変えられるんだ。それで新しく手に入れたスキルに召喚系統のスキルがあってな。このリースは、それで召喚できるようにした存在ってことだ。だから一応俺はまだソロプレイヤーだな」


「な、なるほど……」


 ライトの説明を受けてとりあえず納得したようで、まだ少し不思議そうな顔をしてはいるものの、乗り出していた体を戻して席に着く。

 ジェインは、また酒に口をつけるとちらりとリースの方を向く。


「ライトの言ってる事に嘘は無いよ。私はライトの召喚獣ってとこかな」


「お、おう。そうか……」


 リースは、両手で軽く握るように持っていたグラスを置いて、ライトの説明をに補足をいれるように話す。

 ジェインは、そこからしばらく黙って何か考え事を始めてしまう。そして、三分ほどたった頃。


「ふっふっふっ……ハッーハッハッハッ!」


「どうした、アルコールで頭がパーになったか」


 いきなり顔を手で押さえて笑いだす。ライトがそれに対して突っ込みを入れるが、ジェインは全く気にする様子もない。


「頭がパーになった? 何を言う、むしろ閃いたのさ!」


「何をだ、どうせろくでもないことだろ」


「ろくでもない? いいや、大将は言った『この嬢ちゃんを召喚できるようになった』と」


「まあ、内容的には合ってるな」


「それだ! だから俺は決めた。俺もキレーな嬢ちゃんと契約して楽しく生活してやるってな!」


 ビシッ! とライトを指差しながらそう宣言するジェイン。

 ライトは一つため息をつくと、


「やっぱろくでもないことじゃないか」


「何おう! 俺だってそのリースちゃんと同じ奴と契約してやるからな!」


「残念だが無理だな、リースはもう居ない。分かりやすく言うならユニーク召喚獣みたいなものだ」


「なん……だと」


 夢が叶わないことを指摘する。ジェインは、がっくりと肩を落として分かりやすく落ち込んでしまう。

 その光景を見て、少し笑うリース。


「随分と愉快な人だね」


「騒がしいのには同意だ」


 それから三人の小さな宴は、夜まで続くのであった。


 



 


「じゃーなー、大将。また会おうぜー」


 夜も深くなった頃。そろそろお開きという事で、ジェインと店の前で別れる。

 どうやら宿屋の場所が違うらしく、ジェインと別れ二人きりの帰り道。


「ーーー♪」


 石畳の道を歩く二人。ライトは、宴でやや上機嫌なリースの後ろを着いて歩いていると、


「それで、今日はなんでまた私を呼んだのかな。別にあの人を助ける義理は無かったと思うけど。それよりも、君がレベルを上げた方が良かったんじゃないかな」


 ふわりと、髪をなびかせながらリースが振り替える。

 その、少々心ないように聞こえる言葉だが、リースにとってはそう思っていないだろう。あくまでリースは神、光一達人間とは根本が違うのだから。

 だから、恐らく¨ただ助けたかった¨は通用しない。

 ライトは、その問にできるだけ速く、そしてそれらしき理由を伴った答えを探す。


「理由ならあるさ、攻略の進められるプレイヤーが増えればゲームクリアまでの道のりが早まるだろ。それに、あいつはソロプレイヤーだ、俺が大量の人の攻略の手伝いを頼まれることにはならないだろうからな」


「ふーん。なるほど、そういえばそうかもね」


「もしかしたら、俺の能力じゃどうやっても勝てない相手が出るかもしれないからな。そういうのを打破するかもしれないだろ」


 今、ライトが言ったことに嘘は無い。もしかしたらこれから特定の条件を満たさなければ倒せない敵や、特定のアイテムが無ければ突破できない場所があるかもしれない。

 そういう時に、そこにプレイヤーが多ければそういったものを打破できる条件が揃うかもしれない。そういった事実から、それらしき理由をつける。


「それじゃあ、私はそろそろ時間だから行くよ。ーーーー期待してるよ、私の従者さま」


「神様から期待されるなんて光栄だね」


 最後にそんな会話をして、リースは消える。

 一人残されたライトは、無言のまま宿屋への歩を進めるのであった。


  

こちらの作品にはあまり関係はありませんが、私の前作の方を久しぶりに更新しました

光一が異世界から戻ってきてから三十分程度の話です

短いですが良かったら読んでみて下さい




どんな感想、評価も受け付けますのでお気軽にどうぞ

もちろんこの作品、前作問いません

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