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第二十六話 小さな祝勝会

すみません、今回は短めです

次からは文量を元に戻します

「んじゃ、こっちの理論も分かったみたいだし、俺はもう帰らせて貰うぞ」


「あ、ああ。無理言ってすまなかったな」


 三人をあっさりと退けたライトは、一人待機していた赤髪の男に緑、黄、藍の三人を引き渡すと今度こそその場を去る。


「クソッ。なんなんだアイツは、何であんな奴がノーマークなんだ」


「確かに、青っちとボクの攻撃をあっさり防いだうえに、ネロっちの矢を投げナイフで落とすなんて」


「ッチ、次は最初からアーツ全開で闘ってやらぁ」


 ライトに倒された三人は、そんな愚痴を言いながら、次の再戦の時の事を話したりしていた。その一方で、赤髪の男は


(彼は何者なんだ? アイツら三人は行動が少し荒っぽいところはあるが、実力はβテスターだけあってかなり高い筈。なのに現実は手も足も出なかった)


 ライトの強さの秘密に関して考えていた。βテスターよりも強く、それでいて攻略組ではない謎の男。男の使うアーツの事や、その強さの秘密についての考察は止まらず、しばらくは彼の頭に残る事となる。


(ライト……また強くなってるみたい。また離されちゃったカナ。ーーーーでも、何時かはリベンジしたいナ)


 かつてリベンジを誓った相手が、少しの間見なかったと思えば、更に高みへと上っていた事実を目の当たりにしたロロナは、去っていくライトの背中を見ながら再度リベンジへの思いを固めるのであった。



ーーーーーーーーーーーーーーー


 あの場を立ち去ったライトとリースは、あと二時間もすれば日が沈むので、少し早いが町へ帰ることにした。その道中、リースとの会話で


「いやー、さっきの闘いはびっくりしたね。まさか、¨途中で念話が飛んでくるなんて¨」


「別に、普通に押さえ込んでも良かったんだが、リースの方が近かったからな。それに、あの緑の男も投げナイフで針ネズミになるよりマシだろ」


 先程の闘いの話が話題となる。ライトの返答に、リースは¨それもそうだね¨と笑って流す。

 あの闘いの最中、緑髪の男がゆっくりと立ち上がりライトを狙っていた場面があったが、ライトはそれに気づいていた。しかし、分身と揃って相手二人を押さえ込んでいたので、相手のHPをゼロにせずに緑髪を何とかするには、投げナイフを投てきするぐらいしか方法は無かった。

 

 だが、それはライト一人の場合である。今はリースという新たな仲間もおり、さらにライトとリースには神の従者としての繋がりがある。その一つが『念話』だ。

 今までも時おり使っていたこれは、互いに脳内で会話ができるというそれだけの能力である。これを使い、ライトは緑髪を牽制するようにリースにへと頼んだのだ。しかも、脳内での会話なので、妨害の心配も相手に聞かれる心配もない。



「お、着いたな」


「来るときに言ってた料理の話、忘れてないからね」


「はいはい、今から案内するよ」


 そんな話をしていると、いつの間にか町の門の前に着いていた。そしてライトは、リースに急かされるように前に見つけた酒場へと歩きだす。

 門から歩いて十分ほどすると、かつて見たウエスタンドアに明るい光が漏れる店が見えてくる。店内に入ると、まだ時間もやや早いせいか客は殆どいない。

 ライトとリースは適当なテーブルに座ると、店員のNPCが注文を取りにやって来る。


「ロックバードのチキンステーキと野菜スープを、飲み物は烏龍茶で」


「私も同じものを一つ」


 店員は、それを聞くと直ぐに厨房へと戻り注文を伝える。それから五分と立たずに、料理が運ばれてくる。


「おー、これは美味しそうだね。期待して良かったよ」


「そりゃ良かった。期待ハズレの烙印を押されなくてな」


 熱せられた鉄のプレートの上で、未だパチパチと音を立てるステーキに、暖かな色合いのスープ。この二つを見て、少なくとも不味そうと答える者はいないだろう。


「じゃあ、今日一日お疲れさま」


「お疲れ」


 そう言って、ライトとリースはグラスを合わせて小さく乾杯をするのであった。




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