第百三十五話 決勝戦開始
「さあさあ、観客の皆さんお待ちかね。ついにこの時がきました!!!!」
実況が観客を煽る度に、会場を包む熱気が増していく。
『まず姿を現したのは、今大会一番のダークホース。攻略組や目立ったギルドに所属しているわけでもなく、それでも圧倒的な速さを持ってこの場にまで上り詰めた男!! ライト選手の入場です!!!』
会場が揺れる。ライトの戦法は類を見ないものであり、エンターテイメントとしての人気も高い。一人では多少地味なところはあるものの、決勝戦ともなれば妖精に自動人形などの戦法も全て使い派手な事になるだろうと、観客たちは期待の視線を浴びせていた。
(ここまで、来ちまったか……)
ライト会場のモニターを見上げる。そこに移されていたのは、セイクVSライトの文字とその下に賭けのオッズ。オッズはほぼ互角で、ほんの少しセイクよりといった程度。
『さあ、お次の選手は少人数ながら、攻略組と共にこの世界の最前線をひた走り、時鉄鋼の安定ルートの発見に最近では戦闘用自動人形のコアの採掘といった偉業を成し遂げたパーティー、アマネラセ。そのリーダー! セイク選手の入場です!!!』
セイクの入場で、また大きく会場が揺れた。彼のスタイルはまさに理想の王道。騎士としても最高クラスの腕に、魔法を足して、おまけにAWOでも一握りといない妖精契約まで果たしている。
さらに、人妖合身という切り札まである。近接職でありながら人妖合身の域にまで達しているプレイヤーは、この時点で彼一人である。それほどまでの異常性、本人は気づいていない主人公としての素質。
(こうして、こいつの顔を正面から見たのは何時ぶりだったかね)
(光一と、こうして正面から本気でぶつかるなんて何時ぶりだろう)
「久しぶりだね」
「たった半年ないくらいだぜ。同窓会には早すぎるくらいさ」
「ハハッ、そうだな」
冗談めかして話しながらも、二人の集中力は高まっていく。セイクは剣を構え、ライトは腰を落として相手を見据える。
「「さあ、やろうか(ぜ)」」
『両者準備が整ったようですね。それでは!!!! Decided strongest決勝戦! 開ッ始ィィィ!!!!!!!』
切り方の都合により、短くなってしまいすみません。その分次回は早めに投稿します。
作者Twitterで催促してもらってもかまいません