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契約の森 精霊の瞳を持つ者  作者: thruu
星空の下の焚き火
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6.

 グリフが戻ってくると、タカオは倒れるように眠りについていた。何も入っていない器を見て、ほっとしたようにため息をついた。


 それから薄い毛布をかけてやり、焚き火に小枝を投げた。時折、木がはじける音がしてグリフの意識を引き締めさせた。


 焚き火の灯りが届く場所は安全だ。けれど一歩森に入り、灯りの届かない場所は暗くて冷たい、安全とは言い難い場所だった。


 グリフはどんな些細な音も聞き漏らすまいと、目を光らせていた。


「逃げきれない」


 そう呟き、眠っているタカオを見ると、苦しそうな顔をした。まるで幼い子供のように、今にも泣き出しそうな顔で一人呟いた事は誰も知らない。


「助けてくれ……王子……」


その悲しい声は夜空に消えていった。







 時を同じくして、闇の中で囁く影があった。


「あの者達は必ず全員始末しろ」


 冷酷で地面を這うような声がそう言う。


「女と子供はもらっても?」


 その緊迫した空気を崩すように、とぼけた、嬉しそうな声が応えた。けれど、一瞬の後、とぼけた声の主は痛みの呻きを漏らした。


「くだらない事に時間を使わせるんじゃない」


 小さな影は恐怖を噛み締めて無言で頷いた。でなければ、今にも自分が始末されそうだったからだ。


「食料が欲しいのなら仕事を済ませてからだ。アイツらの首を4つ持ってこれたなら、若い肉を....4人だ。手配してやろう。それでいいな」


 その冷酷な言葉に、小さな影は嬉しそうに飛び跳ねた。


「お任せ下さい!」


 そう言うと闇の中へ忙しそうに消えていった。


 冷酷な声の主はまるで、闇そのもののように影をいっそう深まらせて闇と一つになった。そこには、月の光さえ届かない。





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