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契約の森 精霊の瞳を持つ者  作者: thruu
旅のはじまり
46/272

9.

「痛っ....」


 その言葉と共にイズナは消毒液のような液体をまんべんなく傷口に塗りつけた。


 それがあまりにも痛くて、タカオは声も出せなくなった。ジェフを見れば、食べるのをやめて完全に目を瞑っている。


 消毒液は冷たくて、傷口に触れる度に痛みがタカオを襲った。病院の匂いが辺りに漂う。タカオが歯を食いしばって堪えているとイズナは傷口に白い塗り薬を少し厚めに塗った。


 消毒液に比べたら、そんな事はまだ増しだった。それが終わるとイズナは新しいガーゼをかぶせ、包帯を綺麗に巻き直した。


「……ありがとう」


 手際よく処置していくイズナに感動して、タカオがやっとお礼の言葉を言えた頃には、イズナは道具を全て片付けて水を飲んでいた。


 処置はかなり痛みが伴うものだけれど、あの傷を何もせずに放っていたらどうなっていたのだろう思うと背筋が寒くなった。


 気が付けば、タカオの隣にはグリフが座っていた。いまだに痛む傷を気にしながら、タカオはグリフにも聞いてみた。


「グリフはどうして助けてくれるんだ?ゴブリンの時も、サラの時も、今だって」


 この森に来てからずっとグリフに助けてもらってばかりだった。助けてはくれるが、態度の冷たいグリフによそよそしさを感じる。


 タカオはちらりと横目でグリフを見ると、無表情のグリフと目が合った。


「無駄口をたたけるのなら、もう出発できるな」


 グリフは立ち上がると、冷酷な一言を放った。


「行くぞ」


 そう言って1人で歩き出してしまった。


ーー聞きたい事が沢山あるのに。


 タカオはそう思いながら慌ててグリフの後を追いかけた。グリフは相変わらずのスピードで歩き続ける。イズナもジェフも、口の中に残りのサンドイッチを流しこみながら追いかけた。


 タカオはグリフに追いついたものの、すぐにペースが落ちてしまい結局は一番後ろを走っていた。


ーー明日は筋肉痛だ。


 タカオは筋肉痛の恐怖に怯えながらも、必死にグリフ達を追いかけ続けた。


 どれくらい走ったのか分からなくなった頃、グリフが足を止めた。開けたというよりも、そこは高台になっていて少し進むとあとは崖のようになっている。


 遅れて着いたタカオも、その景色を見た時、やっと目的地らしき所が見えてきたので歓喜の声を上げそうになった。けれど走り続けたせいで足がもつれ、見事に転んでしまった。転びながらタカオは笑っていた。


「街……!」


そう呟き、笑顔で気を失った。



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