6.
グリフが突然歩き出し、全員慌ててグリフの後を追いかけた。
「どうして、アレルさんが持っていたら不思議なんだ?」
タカオは歩きながら、熱心に地図をみるグリフに聞いた。グリフはタカオの胸の高さほどの身長しかなかったけれど、その存在はとても大きかった。
「王家で厳重に保管されていたものだ」
グリフは歩く速度を上げていく。
「それって一枚しかないのか?偽物とか……」
グリフは険しい顔になる。
「偽物のほうがまだマシだ。何度か目にしたことはあるが、偽物の地図は本来の役割を知らずに作られた物ばかりだった」
そう言うと、地図を四つ折りにたたんだ。
「でもこれは間違いなく本物だし、本物は一枚しかない。まだ城の中に残されていると思ったが、なんでアレルが……とにかく、これは預かっておく」
そう言って、グリフはコートの下に斜め掛けにした鞄に地図を入れた。
「でも、そんな大事そうな地図が消えたって分かったら、その管理している城では大騒ぎだな。うちの会社でも書類失くしましたなんて言ったら、ただじゃ済まないからなぁ」
タカオがなんとなくそう言う。
「カイシャ……?なんの話?それより!タカオは知らないんだよね。この森の歴史のこと。僕が教えてあげるよ!」
ジェフは得意げになってタカオの前に立ちはだかった。タカオはこの森の歴史なんて細かい事はどうだって良かった。
「歴史?あんまり興味ないなぁ……」
そう言って立ちはだかるジェフをするりと避けた。
「歴史を知らないなんて、世間知らずだって怒られちゃうんだからね!」
以前に誰かに怒られたのを根に持っているのか、ジェフはぶつぶつと言うとタカオ達の後を追いかけた。
「それでは!」
ジェフは気を取り直して説明にはいった。
「王家は100年くらい前に滅んだんだ。闇の力に負けてね。それから闇の力は強まって、精霊達は殺された。お城は王家が滅んですぐに閉ざされたから、誰も入る事ができないんだよ。分かった?」
ジェフは息を吐いた。タカオは息を飲んでジェフの言った言葉を思い出してみたけれど、ざっくりとしすぎて理解するのは難しかった。
「……うん」
タカオはこの森の歴史をとても浅く理解した。けれど、地図を保管していた王家が滅んでいたとなると、アレルはどこでこれを入手し、どうしてそんな貴重な物を自分に渡したのだろうかとますますタカオは不思議に思った。
タカオの首を傾げる姿を見て、ジェフは熱心だった。
「えぇっとね、王家は闇の力に滅ぼされたんだよ?そうなると、お城にあった物を闇の者が盗んでも不思議じゃないよね?」
ジェフはタカオに一つ一つ説明していく。
「王家の地図を闇の者が盗んだってことか?」
ジェフは大きくうなずいていた。




