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4.

 気がつけば、ドワーフはすでに離れた場所に移動していた。


「家はこっちなんだ。早くおいで!」


 待ちきれない様子で「早く来い」と手の平を上にして手まねきしている。


 見上げれば霧はすっかりと晴れていて、木の葉の隙間からは月の光が射し込んでいる。下を見ればその光が所々に地面に散りばめられていた。


 地面に散りばめられた月明かりを見ていると、まるで宇宙のように思えた。その宇宙は道のずっと先にまで広がっている。


 ドワーフは道から逸れて森の中に進んで行く。その後ろを慌てて追いかける。木の間を縫うように細い獣道のような道を行く。土が湿っているせいで足元が滑る。周りの小さな草花と、立ち並ぶ木々のおかげで転ばずにすんだ。


 進めば進むほど、木々は細くなり立ち並ぶ感覚も広がっていた。土は乾きはじめ、もう転ぶ心配もない。森は少しづつ景色を変えていく。


 足早に獣道を抜けると、そこは自分の肩の高さまである草が生い茂った草原だった。空もすっかり晴れて、無数の星が瞬いている。あまりの美しさに圧倒された。


 首が痛くなるまで見上げていたかったけれど、ドワーフは突然手を掴むと走り出した。


「早くおいで!もうお腹がペコペコなんだ!」


 振り払うこともできず、手を引かれたまま走る事になった。


 目の前は草でなにも見えない。進んでも進んでも月明かりで白く光る草が目の前に現れるだけだ。何度も転びそうになりながら草原を走り抜けた。


 そしてようやく、大きな木の前で止まった。どうやらここが彼の家らしい。木の根がだいぶ盛り上がっていて、そこに小さなドアが付いている。


 この家といい、草原に星空。星空が地面に広がる霧の森。いつのまにか、この世界にすっかりと魅せられていた。

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