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「おい、誰か台を持ってきてくれ」
ドワーフは棚の上の荷物を取ろうとして手を伸ばしながらそう叫ぶ。
すると、ドワーフではない手が伸びてきて、その先にある物を掴んだ。
「これ?」
そう言って笑顔をみせたのは、ここで最初に見かけたエルフだった。
「ああ」
ドワーフは困惑しながら、エルフから受け取ると、エルフ達はどっとやってきた。
はじめにエルフ達を見た時は数人だったはずが、今や数が増えていた。
エルフは群れをなし行動する種族だ。ドワーフ達は彼らのことをそう思っている。そしてやはり、数は増え、群れでこの地へ戻って来たのだ。
ドワーフ達は今さらに思い出していた。ここもやはり、自分達の居場所ではないということに。
落胆したようにドワーフ達は集まったエルフを見る。不思議なことに、彼らはそれぞれが構わずに自分の言いたいことを言い、やりたいことをやる。それはドワーフが見ていたエルフ達とは異なる存在だった。
けれど、ドワーフの考えは変わらなかった。
「私達はここを去ろう」
ドワーフが口々にそう言い、やりかけた作業をすべてやめて立ち去ろうとする。
すると、はじめに見たエルフ達がドワーフを止めた。
「ここで物を作ってよ。あなた達の力が必要なんだ」
けれど、彼らの言葉ではドワーフの心はやはり動かない。
「私達は、エルフと関わることを止めたんだ」
その言葉を聞くと、エルフ達は笑い声をあげた。
ドワーフは怪訝な顔をするけれど、彼らはそれに気がつくこともなく、ドワーフの肩をつかむ。
「それなら良かった!」
このエルフ達は何かおかしい。ドワーフがそう思っていると、エルフの1人が前に出る。
彼は、にっかりと笑って誇らしそうに胸を張った。
「何を隠そう俺たちは、ステレンジだ!」
ドワーフは聞きなれない言葉のせいで、ぽかんと口を開けた。
「すてれんじ?」
そんな言葉は1度だって聞いたことがなかったのだ。
胸を張って堂々としているエルフの後ろから、小声で囁く声が聞こえる。
「「ストレンジだよ……ストレンジ……!」」
言い間違えたエルフは大きな咳払いをひとつすると、ドワーフに近づく。
「あー、つまり、俺たちはもうエルフではない!ストレンジだから!」
最後はやけに大声で言い、ドワーフの耳がおかしくなりそうなほどだった。




