表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/272

6.

「グリフは……いや、やっぱりなんでもない」


 グリフに嫌われているかどうかなんて、こんな幼い子供に聞けるわけがなかった。


「グリフのこと?」


 そういうと、ジェフはベットに乗り込んできた。それからしばらく考えるような間をあけて、ようやく喋りはじめた。


「グリフはみんなにああなんだよ。ちょっと冷たくて、怖くて……」


 それからジェフは満面の笑顔で言った。


「でも、いつも助けてくれる!家出した時とか、母ちゃんに怒られた時とか、罰当番の時とか……」


 ジェフは指で数えながら次々とそんな事を言っていく。


「タカオも、グリフに助けられたんでしょ?」


 ジェフの言葉に、炎の中でみたグリフの表情を思い出していた。


「そうだね、グリフがいなかったら大変なことになってたよ」


 想像したくはないが、グリフが助けてくれなかったらと思うと恐ろしくなる。


 ジェフはあくびをして、何度か瞬きをした。すると、思い出したように言う。


「そういえば、誰かが襲われてるって、最初に気がついたのはサラだったんだ。そしたらサラが急に暴走しちゃって、グリフはそれを止めるためについて行って、そしたらゴブリンに捕まってる奴がいたって言ってた」


 ジェフはもう眠たいのか、目をちゃんと開けられないようだ。


「そうだったのか。グリフにも、そのサラって人にも、きちんとお礼を言いたいな」


 グリフがあんな態度だったのもあって、まだお礼を言えていないことが妙に心に引っかかっていた。


「サラにも?サラには会わないほうがいいよ。もうすぐ大地の契約が切れるからって、最近変なんだよ。もう自分が誰だか分からなくなったみたいに暴れるんだ。タカオのその怪我もサラのせい……でさ……」


 そう言うとベッドに横になってしまった。目は完全に閉じている。


 大地の契約とはなんだろうかと思ったが、とにかくグリフ以上に気難しい人らしい。


「そのサラって人はどこにいるのかな」


 そう聞くと、ジェフは最後の力を振り絞るように答た。


「うーん。部屋を出たら窓があるでしょ?そこから、この建物とは別に倉庫が見えるんだけど……そこに……でも危ないから……」


 ジェフはそこまで言うと、後は寝息だけが聞こえていた。


 まずは、グリフよりも気難しいサラという人に挨拶に行こう。明日になれば、この場所のことも、帰る道も分かるだろう。きっと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ