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5.

 あんな神社になんか行かなければよかった。そう思いながらベットに横になると、気がついたら眠っていた。眠りから覚めて、ぼんやりと意識が世界に留まろうとし始めて寝返りをうつ。


 なんとなく目を開けると、小さな男の子の顔が目の前にある。驚いて勢いよく飛び起きてしまった。


 少し高いベッドの端にアゴを乗せていたのは、見覚えのある男の子だった。その男の子も驚いて一歩後ろにさがった。


 一瞬、その男の子の事も、今いる場所もどこなのか分からずにいた。朝だと思っていたら外は暗く、部屋の中は小さなランプの灯りで暖かい光が溢れていた。


 辺りを見渡し、ようやく思い出した。そして見覚えのあるその男の子に意識を向けたけれど、どうしても名前が思い出せない。


 白い肌に、濃い茶色の短い髪の毛。どこかあのグリフに似ている。


 よく見れば、似ているのは服装や髪型だけだ。目はぱっちりとしていて人懐っこい顔をしている。外国人のような顔立ちで、瞳はやはり深緑の色だった。


「ごめん!起こしちゃった?」


 たしか、エントと話をしている時に現れた子だ。


「いや、えっと、君は……?」


 うろたえながら、遠回しのつもりでそう聞く。


「ジェフだよ!食べ物とか持ってきたんだ」


 ジェフはベッドの脇にある小さなテーブルを指差した。


 小さなテーブルを見ると、小瓶に入った薬と飲み物、それに、果物やパンが置いてあった。


「あ、ああ。ありがとう」


 戸惑いながらそう言うとジェフは満足そうな顔をした。それから包帯に巻かれた腕を見て心配そうに聞いた。


「腕、まだ痛む?大丈夫?」


 ジェフは幼い子供だけれど、思いやりのある子だ。


「少し痛むけど、大したことはないよ」


「そっか。すごく痛むなら痛み止めを飲むようにって!グリフが言ってた」


 ジェフは机に置いてある小瓶を指さす。グリフの名前を聞くと、あの態度に疑問を持った事を思い出した。敵意のようなものを感じてしまう。何かしてしまったのだろうか。


「タカオ?」


 ジェフは心配そうに顔を覗きこむ。



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