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明日が明日でなくなる日まで

作者: 吉成 けい

 朝目が覚めると時々思う、今日は実は寝る前に体験していた一日のやり直しじゃないかと。よくドラマであるよね、目が覚めたらまたその日を暮らさないといけないヤツ。そういう状態に自分も陥ってしまったのではと朝目が覚めると時々思う。

 でも、そうでないことはすぐにわかる。テレビをつければニュースの内容は変わっているしスマートフォンに表示される日付は違う。天気は変わるし季節も移りゆく。残念ながらこれから体験するであろう"今日"と、昨日体験した"今日"はまったく別の一日なのだ。

 頭では分かっているのだけど、やっぱりどうしてももしかしてと疑ってしまう。電子機器が騙そうとしても、実際出会う人たちはどう考えても寝る前と同じ行動をしているからだ。時計を見るからにあと3秒で妻は俺を起こしに来る。3、2、1。


「ゆうくんおきてる?」


 ほらきた。そして昨日と同じパジャマにエプロンだ。


「今起きたとこ」


 おっと、ついうっかり昨日と同じ台詞を口にしてしまった。朝御飯はご飯に味噌汁、そして卵焼きと煮豆だろう。毎日食べていればいい加減飽きてくる。


 たまにはパンも食べたい!


 でも、そのようなことを妻に言ってもしかたない。私は黙々と食事を済ませ、歯を磨き、スーツに着替えた。いつもと変わらず玄関先で妻の頬にキスをし私は会社に向かう。会社でもきっとみんな同じように昨日の今日を過ごすのだろうな。もしかして、気が付いているのは俺だけなのか?





 プルルルル。プルルルル。


「あ、もしもし、大塚の家内です。今大塚を見送りました。いつになったら効果がでるんですか?もう二ヶ月やっているんですよ?すぐに精神崩壊して死ぬって言ったじゃないですか?これじゃこっちが先にまいってしまいます!わかりました。もうひと押しですね。え?大丈夫ですよ、ちゃんと保険金は山分けしますから。ええ。それではまた。」

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― 新着の感想 ―
[一言] 中々に手の込んだ殺人ですね…………恐ろしい。
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