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紅の霄~en-damu~  作者: 八夜熾那
第一章~DESH~
2/3

第一章1部

・第一章:DESH

**********

神なんていない、この世界は認識している対象と自己しかいない。己が為に生きてくのが自明の理、嗚呼...世界とは如何様にも美しく残酷で反吐が出る。

**********


「あぢぃ・・・」


バスから降り立った瞬間に汗が吹き出してくるような感覚に襲われた。バス停の標識には“木縁起村きえんぎ八丁目”という文字が書かれているのを確認し、紅坂蓮は携帯の地図アプリを見ながら目的地へと歩き出した。

大学で地域伝承学などを学ぶしがない学生である紅坂蓮こうさかれんはフィールドワークの一環として夏休みの間に田舎の親戚の家に世話になることになっていた。昔に来たことがあるらしいのだがあいにく記憶に残っておらず見ず知らずの場所であることに違いなかった。


「ふむ、ここかな」


田舎らしい塀に囲まれら木造の平屋が前にあり、地図アプリが目前の場所が目的地であると示していた。周りは数軒の家と田んぼしかなくTHE・田舎というテンプレ通りの場所であるなと蓮は汗ばみながらしみじみと感じた。とりあえず入口というか門らしきものについているインターホンを押してみた。


「すみません、名古屋から来た紅坂蓮です。これからお世話に...」


そう言う終わる前に門の扉の片一方がギギギと軋みながら開き始めた。そしてその隙間からひょこっと黒髪の女の子が顔を半分ほど出してこちらを睨んできた。


「何奴?、若い男...セールス...ハッ、まさか変な宗教?!」


そしてぶつぶつ聞き取れない音量で呟いてキッっとこっちを向き


「新聞はいりませんっ!!!!」


一気に門を閉めようとしたが扉の重さに重心をとられバランスを崩してしまった。


「わわっぷ!」



-血流速度上昇、体幹自動制御、脚部筋血液充填、加速強度八割、螺旋始動-



ビュウッとおよそ5mほどの距離を瞬間的に蓮は移動し


「っと危ない」


そのの少女を難なく抱きとめる。


「ファッ!?じゃなくてえ?瞬間移動??」

「いや、普通にちょっとダッシュしただけだが?見間違いだろ。」


そう言うとまだ気が動転しているらしい少女を立たせる。


「あ、ありがとうございます...というかどちら様?」


その時後ろの平屋の方から小走りで女性らしき人がこちらに向かってきた。


「あらあら??急いで出てきたんだけど...由衣菜が先に出てくれたの?久しぶりね蓮君、私の顔覚えているかしら」

「え、えぇ。由佳おばさんですよね?お久しぶりです、小さい頃お世話になったのをちょっとだけ覚えてます。」


この品の良さそうな女性が俺の叔母にあたる御赤由佳みせきゆかさんである。祖父の連れ子であるらしく血の繋がりはないらしいのだが小さい頃遊びに来たときに親切にしてくれたのを幼心ながら覚えていた。


「あらぁ!覚えててくれたのね!嬉しいわ」

「ちょ、ちょっと待って!!」


そこで俺と由佳さんの会話に入り込んできたのは先ほどコケかけていた少女、見た目は黒髪ぱっつんセミロングで背は155cmくらいだろうか...服は制服らしきもので女子高校生であろうなと予想できた。胸は...結構ありそうな予感がする、あくまで目測であるが。


「ちょっと何ジロジロ見てるんですか、この人がもしかして今日から家に来る予定の私の従兄?ふーん思ったより普通な人なんですね、さっきはびっくりしたけど...」


なるほど、この子は由佳さんの娘さんか。一応俺が小さい頃に何回か会っているが、相当前のことなので記憶の中から薄れてしまっていた。


「そうだよ、俺は紅坂蓮。一応君の従兄だ、まあ昔にあったことがあると思う...がいかんせん結構前だからだいぶ忘れてしまっている。由衣菜ちゃんでいいのかな?」


そう聞くとまだちょっと怪しむような目でこちらを見ながら


「ええ、あたしは御赤由衣菜みせきゆいな。一応あなたの従妹らしいですが...」


フンッと澄まし顔で自己紹介をしていた由衣菜を見て由佳さんが微笑みながら


「あらぁ、由衣菜昨日は早く蓮兄に会いたいとか言ってた「「ちょっとお母さん!!」


由衣菜がそう叫ぶと顔を真っ赤にさせ由佳さんを遮りビシッとこちらを指差し


「絶対に変なこととかしないでよ!!今すぐ帰ってもいいんだから!!」


こう言い残し大股で長屋へと戻っていた。俺は終始圧倒されてしまいポカーンとなってしまっていたが


「蓮君ごめんなさいねぇ、あの子照れ屋で。ほんとに会いたがってたのよ、蓮君覚えてないかしら?昔あの子が蓮君のこと兄のように慕って遊んでたの」


確かに昔、従妹である由衣菜であろう女の子と遊んでいた記憶はあるのだがあまり思い出せないのが現実であった。しかし蓮兄という響きはとても心地よいものであると感じた。


「はっきりは覚えてないですけど由衣菜ちゃんのことも覚えてますよ、お互い大きくなったのでなんか変な感じですが。」

「そうね、とりあえず立ち話もなんだし家に入ってちょうだいな」


そう言う由佳さんに連れられ平屋に入った。

しかしこの木縁起村に来たことによりあんなことに巻き込まれるとは思ってもいなかった。

**********

運命ってのは決まってるよ、どう決めるかは自分次第だけどね。君は物語のサブキャラに成り下がってていいのかい?血反吐はいて守るべきものの為に戦う、そんな主人公に憧れないかい?まあ同じような状況で主人公になるのか、ただの動かないアクターになるのか。君はどっちを選ぶんだろうね?

**********

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