イタリアンでのデート
第一章「彼氏欲しい病」
「ねえミサキ、私、本当にこのままでいいのかな……」
休日のおしゃれなカフェで、ユイはカップに入ったカフェラテをため息交じりに混ぜていた。最後の彼氏と別れてからもうすぐ一年。周りの友達には次々とパートナーができ、SNSを開けば幸せそうな投稿ばかりが目に入る。
「どうしたの急に。また『彼氏欲しい病』が再発した?」
向かいに座る友人・ミサキが、ケーキをフォークですくいながら呆れたように笑う。
「再発っていうか、ずっと重症なの! 合コン行っても変な人としか出会わないし、職場と家の往復じゃ誰も現れないよ。私、このまま一生一人で過ごすのかな……」
大げさに頭を抱えるユイを見て、ミサキはスマートフォンの画面をタップしながらポツリと言った。
「じゃあさ、マッチングアプリやってみれば? 私の先輩もこれで出会って結婚したよ」
「えっ、アプリ? でもそれって、ちょっと怪しくない? チャラい人とか、クセが強い人ばっかりなんじゃないの……?」
警戒感を露わにするユイに、ミサキは画面をこちらに向けて見せた。
「時代遅れなこと言ってないで! 今は条件検索もしっかりできるし、相手のプロフィールを見ればどんな人かだいたいわかるんだから。写真もシュッとしてて、誠実そうな人を選べば安全だって」
「うーん……でも、勇気が出ないよ」
「大丈夫! 私が一緒にプロフィール作ってあげて、怪しい男は排除してあげるから。ほら、とりあえず登録!」
ミサキの強引な後押しに流されるまま、ユイはアプリをダウンロードし、自分のプロフィールを設定した。そして、おすすめに表示される男性たちの写真を恐る恐るスクロールし始めた。
チャラそうな自撮り、顔が隠れた写真、やたらと高級車をアピールする男たちをスキップしていく中で、ある一人の男性のプロフィールで指が止まった。
スーツをビシッと着こなし、カフェで落ち着いた笑顔を見せる男。名前はタカシ、30歳。
『趣味は読書とカフェ巡りです。これまでの人生で培ってきた経験と教訓を大切にしながら、お互いを高め合える誠実なパートナーを探しています。大人の落ち着いた時間を一緒に過ごせたら嬉しいです』
「あ、この人どう? すごく知的で誠実そうじゃない?」
ユイが画面を見せると、ミサキも目を輝かせた。
「おっ、イケメンだし落ち着いてて良さそう! 『人生の経験と教訓』だって、なんか考え方が大人じゃん。チャラチャラした若い子より、こういう落ち着いた人のほうがユイには絶対合ってるよ!」
「そうだよね……! 文章もすごく丁寧だし」
ユイは期待に胸を躍らせながら、「いいね!」のボタンを押した。
第二章「デート」
「いいかい、ユイちゃん。僕のこれまでの人生は、言ってみれば血塗られた闘争と平和の繰り返しなんだよ」
薄暗いイタリアンレストラン。タカシは頼みもしないのに赤ワインのグラスを気取った手つきで回し、マッチングアプリで出会ってまだ二回目のユイに向けて壮大なスケールで語り始めた。
「小学生の頃、兄とポテトチップスの所有権を巡って争った『兄弟おやつ戦争』。あれは泥沼だった。結果として絶対権力者である母の介入を招き、僕たちは屈辱的な『おやつ制限条約』を結ばされたんだ」
「はあ……」
「中学に入ると、抑圧された不満が爆発してね。いわゆる『思春期の乱』だ。親の権力に逆らい、深夜のテレビ視聴を強行した結果、あえなく鎮圧されて『スマホ没収の変』へと至った」
ユイは冷めたパスタをフォークでつつきながら、早くも帰りたい気持ちを必死に抑え込んでいた。しかし、タカシの独演会は止まらない。
「そこから僕の長く孤独な『暗黒中二病時代』が始まるわけだけど……転機が訪れたのは高校だね。長年連れ添ったメガネを捨てた『コンタクトデビュー革命』によって、僕のルックスは劇的な進化を遂げたんだ。ちなみにその頃の僕の授業ノートは、選ばれし者にしか読めない『厨二暗号文字』で書かれていてね。教師からはひどく恐れられていたよ」
(ただ字が汚かっただけでは……というツッコミをユイは無言で飲み込んだ)
「そして過酷な『センター試験の戦い』を生き抜き、大学という新天地にたどり着いた僕は、ついに実家の支配からの『一人暮らし宣言』を高らかに読み上げたんだ。大学時代はまさに我が世の春、長く平和な『パクス・タカシアーナ』と呼ばれる時代だった。まあ、サークルの飲み会で後輩たちに一気飲みを強要されて起きた『下克上事変』や、コンパの会計を巡る『割り勘要求一揆』、さらには調子に乗りすぎて引き起こした『居酒屋出禁事件』など、局地的な紛争はあったけどね」
グラスのワインを一気に飲み干し、タカシは遠くを見つめた。
「社会人になってからはどうかって? これがまた過酷でね。新人時代に最前線へと送られた『理不尽クレーム対応の役』では何度も心が折れかけた。だが、僕を最も苦しめたのは、皮肉にも己の魅力だったんだ。そう、『第二次モテ期』の到来だね。僕の揺るぎない『絶対ロマンチスト主義』が、望まぬ女たちの争いを生んでしまうのは仕方ないのさ」
タカシはそこで言葉を区切り、潤んだ瞳でユイを見つめ返した。
「だからこそ、僕は君という安息の地を見つけたんだ。これからは、僕が君を永遠に愛し守り抜く偉大な王、『タカシ1世』として君臨しようじゃないか。……さあ、次は君の歴史も聞かせてくれないか?」
「あ、すみません。私、もう帰還の時間なので失礼します」
ユイは即座に席を立ち、タカシの歴史にピリオドを打った。
第三章「デート後」
「ちょっとミサキ、今すぐ出てきて!!」
デートの店を飛び出したその足で、ユイはミサキを近くの居酒屋に呼び出した。テーブルに案内されるやいなや、冷えた生ビールを注文し、一気に喉へと流し込む。
「ちょっとちょっと、どうしたのユイ!? 顔がマジなんだけど! デート失敗したの?」
遅れてやってきたミサキが恐る恐る尋ねると、ユイは空になったジョッキを『ドン!』とテーブルに叩きつけた。
「私、もう二度とマッチングアプリやらない!!絶対に!!!
本当に最悪。思い出すだけでイライラするし、もう信じられない。自分の時間と労力を返してほしい。マジで何だったの……。」
「なに?何があったのよ?」
「細かいことは思い出すのも嫌だし、口に出すのもストレスだから一切言わないけど、とにかくアプリは今この瞬間に退会して全消去する!」
こうして、ユイの短いマッチングアプリ挑戦の歴史は、悲劇的な敗北とともに幕を閉じたのであった。
「自分の半生を歴史用語を使って語る男」という漠然とした思いつきをAIにプロンプトとして提示した。ほとんどの文章はAIが書いたものだけど、少し自分で編集した。




