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終焉と静かなる誓い

全てを焦がす爆炎が、大地を抉る轟音に掻き消されていく。空はもはや青ではなく、憎悪を煮詰めたような黒紫の魔力に覆われていた。世界の命運を懸けた最終決戦の舞台、辺境の聖域は、地獄絵図と化している。巨大な影──【終焉のカタストロフ】が、天を貫く角を構え、その絶対的な存在感を示していた。


世界を守るはずの七賢者の防衛線は、すでに限界を超えていた。


『守護の賢者』リゼル・ルクスは、最高峰の治癒と結界の魔法を紡ぎ続けながらも、極度の緊張で頭の中が真っ白になっていた。彼女の肉体は限界を超え、皮膚からは汗と共に魔力が霧散している。


「──っ、治癒、シオン、早く……!」


魔力の流れは未来の知識通りに最悪の方向へと向かい、リゼルは頭では分かっているのに、手が、足が、思考が、最善の判断に追いつかない。その内気さと人見知りからくる緊張が、彼女の冷静さを奪い、結界の構築が一瞬遅れる。


そのわずかな一瞬が命取りだった。


ドワーフの老賢者、『爆炎の賢者』フレア・ヴォルクスの怒号が響く。終焉の獣の振るう爪は、フレアの渾身の爆炎を一瞬で呑み込み、炎の賢者の肉体から魔力を根こそぎ奪い去った。


「ぐっ……小娘、こんなところで、死ぬんじゃないよ……」


フレアは、その巨体が地に伏す直前、力なくそう呟いた。普段は人間を見下す彼が、最期に「生きろ」という仲間への想いを滲ませた言葉に、リゼルの瞳から涙が溢れる。賢者の光が、一つ、消える。リゼルの治癒術は、その魂の消失に、間に合わなかった。



リゼルは、悲鳴を上げる暇もなく、次の賢者へと視線を移す。


『精霊召喚の賢者』シルヴァ・リタスは、力を使い果たし、肉体が半透明になっていく。彼女の周囲に集っていたはずの精霊の光は消え、ただ一人、彼女の魂が霧散する。


「あはは……もう、おばさんってからかわれなくなっちゃうねぇ。人間って、本当に面白い言葉をたくさん知ってるのに……」


幼い子供のような無邪気な笑みを浮かべ、シルヴァの体は光の粒となって霧散した。そのあまりに無垢な魂の消滅は、リゼルの心を深くえぐる。


そして、『叡智の賢者』ソフィア・ヴェリタス。彼の体はすでにボロボロだったが、その瞳は最後まで知性を失っていなかった。彼は、最後の力を振り絞ってシオンへと声を投げかける。


「シオン殿……あの術の、『核』になる部分を……」


ソフィアは、血を吐きながら、時空遡行の秘術の完成に不可欠な知識をシオンに伝え、静かに息を引き取った。彼は、最後まで己の叡智を世界のために捧げた。


七賢者は、全員が癖の塊のような異端児たちだった。頑固で、冷淡で、孤独で、子供のよう。だが、彼らは最後まで『賢者』であった。リゼルは知っている。彼らの最期は、未来の記憶と同じ。そして、それを変えられなかったのは、過去の自分と、テンパってあたふたしてしまった、内気な自分自身だ。


七賢者の結界が完全に破られ、終焉の獣の巨大な影が、リゼル目掛けてその爪を振り下ろす。全てが終わる──その瞬間。

ガン!と大きな音が戦場に響き渡る。


『勇剣の賢者』シオン・フェデの鋼の剣が閃光を放った。彼は、全身を血で濡らしながらも、リゼルの前に立ち塞がった。


「リゼル、もういい。君は、最高の守護者だ」


愛する幼馴染のその言葉に、リゼルは言葉を失い、ただ嗚咽を漏らすことしかできない。顔面は蒼白になり、極度の恐怖と絶望で、声帯が凍りついたように動かない。


「……シオン……い、や……」


シオンは、リゼルの頭にそっと手を置き、悲しげに微笑む。


「泣くな、リゼル。君が泣いては、誰も救えないだろう?ほら、いつもの君みたいに、しっかり前を見るんだ」


シオンが今、発動しようとしているのは、自らの命と魔力の全てを糧とする、禁断の【時空遡行の秘術】。リゼルは、その術を知っているにもかかわらず、恐怖で体が動かない。止めることさえできない。


「いいんだ。君が生き、誰も失わない未来を創ってくれるなら、僕の命は安いものだ」


シオンは、リゼルの両手を取り、その力強い魔力をすべて彼女へと注ぎ込む。彼は、リゼルが過去に戻るための防護結界として、自らの命を捧げた。


「愛しているよ、リゼル。今度こそ、静かなる誓いを果たすんだ」


4. 時空の狭間

視界が強烈な光に包まれる。リゼルは、愛するシオンの最後の笑顔と、その告白の重みに押し潰されそうになりながら、時空の狭間へと飲み込まれていった。


愛する幼馴染の命と引き換えに得た、二度目の世界。リゼルの肉体は10年前に逆行し、6歳の少女として、孤独な運命改変の旅を始めることになる。

皆さん初めまして!たけのこです。この度は最後まで読んでいただき誠にありがとうございました。あとがきっていざ書くとなると何を書けばいいのか全然わかりませんよね、、、

わかりませんよね、、、?とまぁ今回の作品では魔女に影響されまくってタイムトラベラーウィッチという作品を書かせていただきました!個人的にはリゼル推しです(◦˙▿˙◦)初の投稿とのことで誤字、脱字おかしい点が多々あったとは思いますが温かいお目目で見待っててください(´。・ェ・。`)

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