⑥
言っていた2話目です。
短いですが・・・
「「「「海だぁぁぁああああ!!」」」」
なんだかんだあって、夏休み。
雲ひとつない、青空。
灼熱のように熱い砂浜。
大勢の他人がいる中でお決まりの言葉で始まった。
「ほら、涼も桜もいっしょに!!」
僕と結城さんが叫んでいないことに不服のようで秋葉がふくれっ面で言ってくる。
それを僕と結城さんは苦笑いをしながら遠慮する。
むぅっとさらに頬を膨らませたが僕たちは断固として言わなかった。
言うぐらいなら秋葉がしかめっ面をずっとしていてもらうほうが被害が少ないだろう。
主に僕の精神に対して。
結城さんはそんな事を言うような性格ではないので余り強要はされなかった。
最後のほうはほとんど、というかむしろ僕だけに言ってきた。
あの海に向かって叫ぶんだ、夏木涼ぉぉぉおお、と。
見ているこっちが恥ずかしかった。
あと、言い忘れていたことがある。
最近、僕はようやくみんなの名前を以前のように呼べるようになった。
以前というのは察しの通り、事故にあう前のことで、伶にその頃の呼び方を教えてもらった。
そうしたら、みんなに、あれ?敬語キャラ止めたの?飽きた?などあまり不信感も無く受け入れられた。
以前のことを懇切丁寧に、手取り足取り教えてくれた伶様、様だ。
でも、少し不思議なのが、以前の口調を教えてもらうだけなのに異様に身体を密着して教えてくれたことだ。
他にも危うくキスをしてしまうぐらいまで顔を近づけてきたり・・・
ホント、なんだったんだろう?
あ、あと敬語もできる限り使わないようになってきた。
でも、気を抜くと敬語が出てしまうが・・・
でも、なぜか一人称だけが『僕』のままだ。
『俺』というのがどうも自分には性に合わないような感じがする。
「なあ、夏木」
「うん、何?」
「海だな」
「まぁな」
「釣りがしたい」
「え?」
「いや、釣りがしたくなった。俺の漁師魂に火がついた」
「いや、桐山ん家、普通のサラリーマンじゃん。最近、課長から次長になったって言ってたじゃん」
「そんな些細な事はどうだっていいんだよ!!釣りがしたいんだよ、俺は!!」
なぜか急に暑くなった。
いや、もともと夏だから暑いんだが、桐山からやけに熱気を感じる
これは暑いを通り越して『熱い』だ。
桐山もこの暑さに頭をやられてしまったのだろうか、こんな急に語りだして・・・
「焦っちゃダメよ、桐山くん」
不意に後ろから声がした。
振り向くとそこには芹沢さんが立っていた。
「釣りは明日って秋葉が言ってたわ」
「おお!! よっしゃあ!!」
「・・・よかったね、桐山・・・・・・」
うん、本当、よかったね。
「そんな心配はいらないんだから遊びまくるわよ!!」
とまぁ、こんな感じで僕たちの旅行は始まった。
終了です。
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・・・次はいつ、更新するかな・・・・・・orz