6話〜11話
目に入れていただきありがとうございます
1話おまけしてあります
ずうずうしいですが考えたキャラをイラストにならないかーと今日この頃
第6話『王都ラブリウス、崩壊す! 尻教団、襲来!』
王都ラブリウス――美と信仰の都。
白亜の城と胸像の噴水が並ぶこの場所では、胸派の民が安らぎと誇りをもって暮らしていた。だがその平穏は、突如として破られた。
空が裂けるような轟音とともに、空中に出現したのは――
「尻要塞!? う、嘘でしょ……?」
桃子が空を指さす。どこかアヒルのような形をした、巨尻型の浮遊要塞が王都上空に現れたのだ。下部からは艶めかしいピンク色の煙が吹き出し、王都の空を妖しく染め上げていく。
その中心、要塞の「割れ目」にあたる部分がぱっくりと開き――巨大なスクリーンが展開される。
「ふふふ……貧乳よ、巨乳よ、そしてその間に揺れる者たちよ。尻の時代が来たのだ!」
スクリーンに映るのは、金髪で尻尾のような髪を揺らす美女。その名はラナ=グラッセ、尻教団の教祖にして“尻神の巫女”。
「今宵、この王都ラブリウスを“ケツ都”へと変えてやろうぞ!」
ラナの宣言と同時に、要塞から無数の尻型降下ポッドが投下される。地面に激突するたび、ポッドから現れるのは尻に特化した戦士たち――そう、尻教団の兵士たちである。
逃げ惑う民、立ち向かう勇者たち
「くっ……こいつら、尻だけで戦ってやがる!」
神崎凛が叫ぶ。尻教団兵は下半身に異様な筋肉を持ち、尻から繰り出す体当たりや、ヒップドロップで周囲を破壊していた。
天宮桜は胸を揺らしながら魔法陣を展開。
「《土の胸壁》!」
地面から土の壁がせり上がり、市民たちを守るバリケードとなる。だが、尻ドリルを回転させた教団兵が突撃してきた。
「ぴゃあああっ!」
桜の胸が揺れ、土壁もろとも吹き飛ばされる。
「貧乳なめんな! 《火焔裂斬》!」
凛が尻兵に剣を振るい、燃え上がる刃が炸裂するも――
「……効いてねぇ!? 尻が……異常に硬い……!」
尻教団兵たちのケツは、もはや常識を逸脱していた。
王城陥落、巨乳騎士団の壊滅
王都防衛の最後の砦、巨乳騎士団。
彼女たちはその豊満な胸で民を癒し、力を与える存在だった。
「負けてはならぬ! 我らの誇りはこの胸にあり!」
騎士団長が叫ぶも、ラナ=グラッセが放った尻波動によって、次々に胸鎧が砕け散る。
「……王都は、陥ちたわ……」
黒崎命が屋根の上でつぶやく。
「このままじゃ“おっぱい文明”が滅ぶ……」
分断される仲間たち
混乱の中、尻教団の“尻煙幕”により、桃子たちはバラバラにされる。
――天宮桜と神崎凛は、王宮の地下に逃げ込み。
――佐藤桃子と黒崎命は、図書塔に籠城。
――九条光は、尻教団兵の手により連れ去られた。
「九条さんが……!」
桃子は拳を握る。
「彼女が……あの教団に洗脳されたら、もう“聖乳”として戻ってこられないかもしれない!」
その時、図書塔の魔導書が開かれる。
「……これは、伝説の“合体技”……? 胸と尻を、ひとつにする……?」
命が読み上げる文言――それはかつて、胸派と尻派が一時だけ手を取り合った伝説を記した封印書だった。
再結集の予感と、次なる戦い
王都は焼け、要塞は空を支配した。
「このままじゃ、胸だけじゃ勝てない……でも、尻にも負けたくない……!」
桃子は葛藤する。
「だったら……両方、選べばいいじゃない!」
その時、凛と桜が図書塔に合流し、4人は再び集結する。
「光さんを取り戻す。そして尻教団を倒す! 胸も尻も、自由であっていい世界にするんだ!」
桃子の叫びが空に響く。
その頃、要塞内部ではラナ=グラッセが九条光に語りかけていた。
「貴女の“聖乳”には……尻をも包み込む力がある。さぁ、胸と尻の神に、身を捧げなさい……」
光の瞳が、妖しく揺れた。
――戦いは、新たな局面を迎える。
第7話「審判会議と、修羅のバトル会場へ!」
王都ラブリウスを襲った尻教団の襲撃から一夜。市民は瓦礫の中からの避難と復興に追われ、空には未だ黒煙が上がっていた。
胸派と尻派、そして第三勢力「平胸派」――彼女たちが中心となった戦いは、もはや一個人の思想を超えた“勢力間戦争”へと発展しつつあった。
「……信じられない。これが、あの美しかった王都の姿なの?」
桃子が瓦礫の山を見つめながら呟いた。どこか遠い世界の戦争映画を見ているかのような光景が、そこにはあった。
桜は胸元のクロスを握りしめる。
「ラナ=グラッセ……尻教団の教祖。あの人が全ての元凶だとしたら……止めなきゃ」
「止めるってどうやって? 尻教団の四天王の一人だって、王都を壊滅させる力があるのに……!」
神崎凛は肩を震わせながらも剣を握っていた。火属性の魔力が彼女の周囲にほのかに揺らめく。
命は屋根の上からひょいと飛び降り、着地しながらぼそりとつぶやいた。
「ラナが何を企んでるにせよ……このままじゃ、次に狙われるのは『聖域』かもしれない。そこには“バスト聖堂”がある。胸派の本拠地」
「そんな……!」
九条光が表情を曇らせる。彼女はバスト聖堂の巫女であり、“聖なる谷”の守護者と称される存在。攻撃されれば、胸派全体の士気が崩壊しかねなかった。
審判会議、開催
その日の午後、王都の中央議事堂――残った建物のひとつに、三勢力の代表たちが集結した。
「……胸派代表、九条光です」
「尻派代理、ダンプ=ヒュンケル……いや、今日は特別ゲストで来てやっただけだ」
「平胸派……いや、風見鶏派って名乗った方がいいのかな。佐藤桃子、一応代理で」
騎士団長、魔法局長、冒険者ギルドマスター。さらにラブリウスの政治を担ってきた枢密院議員たちも顔を揃えた。だが彼らの顔色は冴えなかった。
「もはや一都市の問題ではない。これは“バスト信仰”と“ヒップ信仰”の宗教戦争だ!」
「奴らはただのテロリストじゃない。尻教団は、異世界から来た者たちすら掌握しつつある」
「特に、“魅惑のくびれ”を操る四天王・ルナ=サーシャの存在が厄介だ。美尻魔術の使い手で、視線を奪うだけでなく意識まで支配してくる」
場の空気が張り詰める。
そこで一人の老魔術師が口を開いた。
「ならば、“バトル審判”による裁定を下す他あるまい」
――バトル審判。古代から伝わる異世界の決闘裁定制度。物理と魔法、心と心、そして胸と尻がぶつかり合う、まさに“美の裁判”。
議長が声を張り上げる。
「我々は異世界からの勇者を含む“選ばれし代表者”によって、尻教団に決闘を申し入れる!」
「戦場は、『審美の闘技場』。伝説の“二つの女神像”が睨み合う、あの因縁の聖域だ!」
出陣前夜、決意の時
夜が更け、凛はひとり剣を研いでいた。
「胸がないことに、もう悩まない。あたしには“火”がある。炎のような想いで戦うだけ……!」
彼女の瞳に迷いはない。
一方、桜は祈りを捧げていた。
「癒しだけじゃなくて、守りたい人がいる。だから私、戦うの。胸がどうとかじゃなくて……心で」
九条光は鏡に映る自分を見つめた。
「“女神の谷間”を信じる者として、私は退けない。この美しさに、誇りを持って戦うわ」
桃子はため息をつきながらも荷物をまとめていた。
「ツッコミ役が戦場に行くなんて、世も末ね……でも、放っておけないのよ。あの子たちが本気だから」
命は夜の屋根の上に立ち、月を見上げていた。
「尻の力……中二病的で嫌いじゃない。でもね、私は“貧”を誇るの。誰にも真似できない、影の流派ってやつ」
そして、闘技場へ
翌日。王都を発った彼女たちは、審美の闘技場へとたどり着いた。
そこは、二つの巨大な女神像――片方は豊満な胸を持ち、もう片方は豊かな尻を誇る――が向かい合うように建てられた、まさに“美の聖戦場”。
すでに尻教団の四天王の姿がそこにあった。
「ククク……胸派が来たか。四天王、ゼル=マルティナ、参上」
細身ながら凄まじいグラマラスボディを誇る美女が、闘技場の中心に降り立つ。
「胸の極致は、硬度・張り・質量……その全てを備えてこそ。私こそがその到達者だ!」
凛が一歩前に出た。
「来なさいよ、乳女! 今ここで、決着をつけてやる!」
第8話「四天王の襲来① 爆乳武闘家ゼル=マルティナ、爆誕!」
王都ラブリウスを襲った“尻教団”との激戦から数日。修復の進まぬ街には、胸派と尻派の分断が色濃く残り、空気は沈んでいた。
だが、その緊張の空気を裂くように、ラブリウス郊外の空が爆ぜた。
「……来たな」
火属性の剣士・神崎凛は剣を構えながら、空を睨みつけた。その横で、光属性の聖女・九条光が静かに祈りを捧げる。
突如、空を切り裂いて現れたのは――爆乳を揺らしながら空中を舞う、漆黒のチャイナ服姿の美女だった。
「我が名は、ゼル=マルティナ。魔王軍四天王、胸担当……いや、“爆乳の破壊者”よ!」
眩い光を放つそのバストは、まさに爆発寸前の凶器だった。片乳ずつが標準の西瓜ほどもあり、動くたびに地鳴りがするほどの重量感。
「ちょ……どんだけ揺れるのよアレ……」
佐藤桃子(風属性・平胸)は目を見開き、思わず呟いた。
ゼル=マルティナは、地面へと着地するやいなや、周囲に衝撃波を放つ。そのバストが地面に軽くぶつかっただけで、石畳が崩壊する。
「見せてあげるわ、真の“乳圧”ってやつを!」
胸派の聖女・九条光が一歩前に出た。
「ゼル=マルティナさん、あなたの爆乳……確かに素晴らしいです。でも、それを武器にするのは、愛に反します!」
「ふふ、甘いわね、光ちゃん……。この乳はね、修行によって磨き抜かれた筋肉と脂肪の芸術なの。乳筋よ!」
ゼルは自らの胸筋をピクピクと弾ませながら、両手を合わせる。その瞬間――
「爆乳爆裂拳・壱ノ型《乳撃穿心》!!」
衝撃波が光を直撃する――!
「くっ……《聖なるバリア・ブレストシールド》!」
聖女光のバストから発せられた神聖な光が、ゼルの爆乳攻撃をかろうじて防ぐ。しかし、その威力はすさまじく、建物の壁は吹き飛び、地面には巨大なクレーターができた。
「やっぱり、ただの爆乳じゃない……!」
神崎凛は歯を食いしばる。「あれは――戦闘用に鍛えられた“戦う爆乳”!」
一方その頃――
戦場の片隅で、平胸代表の桃子は地面に伏していた。
「私にできること……何かないの……?」
だがそのとき、傷ついた尻派の少年兵が彼女に助けを求めた。
「お姉さん……僕の尻が……敵の衝撃でヒリヒリして……!」
桃子はとっさに応急処置の薬を塗りながら、こう思った。
(私の役目は、“乳”や“尻”じゃない。誰かの“背中”を支えること――それが、私の“存在理由”なんだ!)
再び戦場――
ゼルは拳を握ると、両乳を激しく上下に揺らしながら、再び構える。
「この技で終わりよ……! 奥義・爆乳無双拳《胸穿煌光裂断》!!」
四方八方から乳圧による衝撃波が襲う!
だが――その前に、火の光が舞った。
「誰が……好き勝手暴れていいって言った……!?」
炎をまとった神崎凛が、ゼルの前に飛び出した。
「私は火の剣士、神崎凛! “貧乳の逆襲”ってやつ、見せてやるわ!」
ゼルは思わず眉をひそめた。「ふーん、貧乳が私と勝負しようっての?」
「当たり前よ。胸の大きさで決まるのは“サイズ”だけ。強さは“覚悟”で決まるのよッ!」
凛が繰り出したのは、貧乳拳奥義――《火炎胸打・零式》!
「ちょ、ちょっと!? 胸打っても当たらないでしょ!?」
桃子がツッコミを入れるが、それも一瞬。凛の渾身の一撃がゼルの中心を貫いた――!
ドゴォンッッ!!
大爆発が起こり、ゼル=マルティナは吹き飛ばされた。
戦いの終息――
「くっ……まさか、“乳圧”が……“無”に敗れるとは……」
地に伏しながら、ゼルは呻く。
九条光がそっと寄り添い、傷を癒しながら優しく語りかけた。
「あなたの爆乳も、あなたの努力も、否定しないわ。でも……押しつけるのは、違うと思うの」
ゼルは、しばらく沈黙したのち、ポツリと呟く。
「……なんか、スッとした。ありがとう。じゃあ、次の四天王を楽しみにしてな」
そして、乳を激しく揺らしながら、ゼル=マルティナは空へと飛び去っていった――。
戦後――
戦場に残された凛は、疲れ切った顔で地べたに座る。
「ふぅ……勝ったけど、乳の重みは、想像以上だったわ……」
桃子がにっこり笑いながら言う。
「凛ちゃんも十分、胸を張れる活躍だったよ」
「……胸は張れないけどね」
「それは言わない約束でしょ!」
――そして、物語は次の四天王の登場へと進む。
その名は――ダンプ=ヒュンケル。
尻の重戦車。次なる敵は、“美尻の極致”を体現する男――!!
第9話「四天王の襲来② 爆走重尻・ダンプ=ヒュンケル見参!」
尻教団の大襲撃から一夜が明け、王都ラブリウスは未曽有の混乱に包まれていた。
崩れた建物、避難民の行列、空を覆う黒煙……。
しかし胸派・尻派・平胸派、それぞれの有志たちは、傷つきながらも復興へと動き出していた。
「今は争っている場合じゃない。胸も尻も、一度手を取り合うしかないのよ……」
凛が悔しげに吐き捨てると、桃子は深く頷いた。
「でも、その隙を狙って――また来るかも」
まるで予言のように、その言葉の直後だった。
――ドゴォォォォォォォォンッ!!!
王都の北門が突如爆発した。土煙の中から現れたのは、巨大なトレーラー型の戦車。
その上に仁王立ちする、一人の巨漢。
「ヒャッハーーーーーー!!!!! この私、四天王の一角……!」
筋骨隆々の体躯、燃えるようなモヒカン、そして――
鎧のようなガードルに包まれた、信じられないほどに巨大な尻!
「爆走重尻のダンプ=ヒュンケル様のお通りだァァァァッ!」
その瞬間、王都の地面が揺れた。いや、彼の尻が揺れたのだ。
質量、破壊力、そして存在感。
彼の尻は、物理法則すら尻圧でねじ伏せる。
「く……来やがったか、尻四天王!」
凛が剣を構えたのと同時に、桜が前に出た。
「わたしが癒やしの壁になるね……でも、あの尻、壁っていうか……山……」
「どいてな!」
飛び出したのは、黒崎 命。
中二病全開のポーズを決めつつ、忍術らしき煙幕を撒いて接近するが――
「その程度の煙じゃ、俺の尻は止まらねえええッ!」
ヒュンケルが腰をひと振りすると、衝撃波が周囲を薙ぎ払う。
「尻圧衝撃波!」
「うわっ!? く、くっさっ!!」
「破壊力より臭いで来るとは……!」
桃子が鼻を押さえながら叫んだ。
どうやら彼の必殺技は、尻の筋肉による超振動に加えて、尻専用ファブリックによる「臭気増幅効果」も持つらしい。
「くっ……やっぱり尻は苦手だ……」
凛が後退しようとした、その時。
「ちょっと待てえええぇぇい!! この程度で引いてどうする!!」
割って入ってきたのは、ゼル=マルティナ。
昨日の戦いで一度退いたはずの爆乳武闘家が、包帯を巻いた姿で再登場した。
「胸派代表として、あの尻ともう一度やり合わなきゃならねぇってのよッ!」
「ゼル、お前……!」
「アタイもまだ負けてらんないのさ。尻がデカいだけで調子乗ってる奴を見てると、イライラすんのよ!」
「ほほう……胸派の女か。だが貴様の乳では、俺の尻には勝てん!」
ヒュンケルが地面に突き刺していた「バット型スコップ」を引き抜いた。
あれで直接叩く気らしい。
「来いよ、デカ尻野郎! 胸と尻、どっちが“衝撃”あるか教えてやる!!」
ふたりの激突は、一瞬で王都の通りを戦場へと変えた。
激突! 爆尻 vs 爆乳!
「ガァァァァッ!!」
ヒュンケルのトレーラー戦車が突進する。車輪ではなく「尻」で進んでいるようにも見えた。
「させるかッ!」
ゼルが飛び上がり、両胸を前方に突き出して「乳突拳」を放つ。
――ドグォン!!!
爆尻と爆乳が正面から激突し、周囲の建物が瓦礫に変わった。
「ぐぅぅ……! お前の胸……予想以上に、重い……!」
「そっちの尻もバカみたいに重いわよッ!」
尻 vs 胸――今まさに、地上最大の肉体兵器同士のタイマンである。
そこに桃子が小声で突っ込んだ。
「……もうどっちも兵器じゃん。私が小さく見える……いや、実際小さいけど……」
幻の合体技! 平胸・風属性の力
「二人とも! こっちで風を起こすから、チャンスを作って!」
桃子が風属性魔法で「真空スパイラル」を展開。
気流が尻と胸の間に入り、双方の重心を一瞬だけ乱す。
「今だッ!」
ゼルの拳が、ヒュンケルの尻に直撃。
同時に、凛が火属性の斬撃を放つ。
「烈火・十字斬り!!」
「ぐあああああああああッ!!」
ヒュンケルの鎧ガードルが砕け、信じられないほど引き締まった“重尻の芯”が露出する。
「なっ……美しい……っ!」
桃子が一瞬だけ感動した。
だがヒュンケルはニヤリと笑うと、最後の大技を放つ。
「これが俺の奥義だッ! 尻爆裂跳躍!!!」
彼の尻が大地を跳ね、空中で回転し、地面に向かって落ちてくる!
「逃げてぇぇぇぇぇぇ!!!」
誰かの叫び声と共に、地面が真っ二つに割れた。
――そして、その隙を突いてゼルが跳び上がった。
「こっちの“裏奥義”見せてやるわッ! 爆乳乱舞!!!」
ズドン!!
空中でヒュンケルの顔面に乳の一撃が直撃。
今度こそ彼の意識が完全に吹き飛んだ。
「ぐふっ……俺の……尻が……敗れ……るとは……!」
爆尻・ダンプ=ヒュンケル、戦闘不能。
勝利と、さらなる戦いの予兆
「……あっぶな。もうダメかと思ったわ」
ゼルが地面に膝をつき、疲労困憊で笑う。
「……ありがとう、ゼルさん」
桜がそっと回復魔法をかけながら微笑んだ。
「……これが、四天王の2人目。あと2人いるってことか」
桃子の視線の先、夜の空に浮かぶ月の下――
ふたつの影が、静かに見下ろしていた。
「……見て、ルナ。彼ら、なかなかやるわね」
「うふふ、次は私たちの番よ。カガリ様」
四天王、残り2名――ついにその姿が現れる。
第10話『四天王の襲来③ 月影の姫君ルナ=サーシャ、舞い降りる』
王都ラブリウス、かつての栄華はすでに遠く、瓦礫と喧騒が街を覆っていた。
天宮桜の胸波動と、神崎凛の火閃斬が尻教団の尖兵たちを蹴散らすも、混沌は深まるばかりだった。
「これでも……まだ終わらないの……?」
冷たい風が舞う空の彼方から、静かに銀の光が差した。
「桜、あれを見て!」
佐藤桃子が指差した空の一点。月のような光輪を背負い、一人の女が静かに降り立った。
「まるで……月の姫様……」
その女の名はルナ=サーシャ。
魔王軍四天王の一人にして、尻派の中でも異質な存在。
彼女の美尻は隠されていた。どんな者もその全貌を見たことがない。
だが噂では、月の引力すら狂わせるほどの“重み”を秘めているという。
「初めまして、胸派の皆様。そして……私の邪魔をし続ける桃の者たち」
ルナ=サーシャの声は透き通るように優雅で、だが底知れぬ威圧を孕んでいた。
「なんなのよ……あの女。オーラがヤバい……!」
神崎凛は剣を握り直した。
「警戒して、凛ちゃん。あの人、ただの四天王じゃない……“裏の尻”の使い手よ」
九条光が、目を伏せるように言う。
「裏の尻?」
「見せない尻、動かさない尻、だが存在だけで他を圧倒する……そんな“静の美尻”の極致。彼女は“静寂の曲線”と呼ばれているわ」
「え、そんなポエムみたいな称号あるの!?」
桃子が思わずツッコむも、ルナ=サーシャは一歩、静かに歩を進めた。
「──美は露出にあらず。隠すことで想像を誘う。胸も尻も、それが真理」
「わたしは……そうは思いません」
天宮桜が一歩、前に出た。
揺れる豊かな胸に癒しの光が宿る。
「大きさも、隠すことも、見せることも、誰かを癒せるなら……全部、素敵なことです」
「甘い。愚か。そして、未熟」
ルナ=サーシャは微笑むと、ゆっくり腰を落とした。
“見えない尻”が、地に構えられる──その瞬間。
「来る……!」
九条光が叫んだ。
「奥義・月輪幻圧!」
地面が、割れた。
音もなく大地がひしゃげ、空間そのものが撓むような重力がパーティを襲った。
「う……ぅぐっ!?」
凛が膝をつき、桃子も立っていられなくなる。
しかし桜だけが──立ち続けていた。
「……耐えましたか。ふふ、やはり“癒しの胸”……興味深い」
「あなたの尻も、すごい……! でも、それで誰かが苦しむのなら、私は止めなきゃいけません!」
「ならば──受けなさい。月影の静寂、幻の月臀舞!」
ルナ=サーシャが舞った。
尻を見せぬまま、空中に軌跡だけが描かれる。
それは尻が動いた“気配”のみを伝える不可視の舞。
見えない。だが感じる。
その“圧”が、桜の胸にぶつかった。
「うぅっ……! でも……まだ……!」
「なんという防御……胸圧で受け止めるとは」
桜の胸が、光を放つ。
その輝きはやがて、桃子、凛、光へと伝播していった。
「“癒し波動・共鳴”……全員の胸に力を分けました!」
「よし、反撃開始よッ!」
神崎凛が剣に炎を纏わせる。
桃子は風の刃を構え、光は聖光の十字架を掲げる。
「行くよ、みんな──!」
四人の力が一つになったとき、ルナ=サーシャは目を閉じた。
「……なるほど。これが、胸の連帯か」
月光の中、静かに姿を消す彼女。
「今日はここまでにしておきましょう。あなたたちの胸に、少しだけ興味が湧きましたから」
「えっ、撤退?」
「“月の尻”は気まぐれ……また夜が来たときに、舞いましょう」
そう言い残し、ルナ=サーシャは再び空へと舞い上がった。
静寂が戻った王都の一角。
桜たちは、無言で月を見上げた。
「ねえ……次の四天王って、まだいるのよね?」
桃子の問いに、光が頷く。
「あと一人……“闇の尻”。最凶にして最終の敵……カガリ=ノワール」
そして物語は、さらに混沌へと進んでいく──。
1話おまけ
第11話「四天王の襲来③ 尻速のルナ=サーシャと闇尻のカガリ=ノワール」
――空が裂けた。
真昼のように輝いていた王都の上空が、突如として宵闇に包まれ、そこから現れたのは二つの黒き影。
一つは、風のように速く。もう一つは、影のように静かに。
「まさか……! 二人同時に……!?」
神崎凛が剣を構え、気を引き締める。
「うっひゃ〜! これはヤバい匂いがするね……!」
桃子の声もわずかに震えていた。そう――彼女たちは察していた。
来る。最凶の二人が。
地面に着地した二人の姿を見て、観客席がざわつき始める。
一人目は、銀髪のポニーテールに輝く蒼尻を持つ少女――ルナ=サーシャ。
細身ながらも研ぎ澄まされたアスリートのような身体、その象徴ともいえる“尻”は見る者全てを魅了する、流線型の芸術。
「ふんっ、遅いわよ、カガリ」
ルナが振り返って話しかけたその背後――そこに、すでにもう一人の姿がいた。
漆黒の髪と、吸い込まれるような瞳を持つ少女――カガリ=ノワール。
人影のように現れるその忍のような身のこなしと、信じられないほど上向きで鋭角的な“闇尻”が、空気を完全に変えた。
「……私は遅れてなどいない。影は常に先にいるものだ」
「うるさっ。こちとら疾風だっつーの」
ルナとカガリ、見事に噛み合わない二人だが、その力はまさに“尻教団四天王”の名に恥じないもの。
「うわー、これ完全に強敵だよ。ていうか尻のデザイン性どうなってんの……」
桃子が思わず現実逃避しそうになりながらも、仲間たちとともに前に出る。
「凛ちゃん、あたしが速い方いくね。凛ちゃんは影っぽいのお願い!」
「了解、桃子! こっちは私がやる……!」
ツンと顎を上げる神崎凛。火属性の剣が静かに燃え上がる。
「フフ……火と闇、面白そうな組み合わせじゃない?」
カガリは笑った。その声音は、甘くも冷たく、誰かの心を溶かし、凍らせるような矛盾の響きを孕んでいた。
風vs風尻! 桃子VSルナ=サーシャ!
ルナの尻が、疾風と共に消える!
「――いたっ!」
ほんの一瞬、桃子の前に“尻”が浮かんだ。次の瞬間、衝撃波のような風圧が巻き起こる!
「これが……“尻速”のルナ……!」
桃子の風の魔法がまったく追いつかない。
「ふふふ……私の尻は、風速100キロに達することもあるのよ!」
「なにその単位!?」
「空気抵抗すら計算済み、戦闘中の動きはGPSで計測。AI解析済みよ」
「AI!? ここ異世界だよね!?」
もはや物理学の域に達していた彼女の尻技――その名も**「シリンダー・シュート」**。
尻を回転させながら突進し、対象をねじり潰すというとんでも技。
桃子はギリギリでかわすも、壁がえぐれる威力に目を見開く。
「まずい、このままじゃ勝てない……! でも――」
桃子の目が静かに輝く。
「風は……流れを読めば、止められる」
彼女は自らの周囲に風の層を展開する。追跡・分析・予測――まさに読者視点の能力!
「そこっ!!」
ルナの尻が突っ込んできたその瞬間、桃子の防風層が反転。ルナの動きをピタリと止めた。
「まさか……!? 尻が……止まった……!?」
「ふふ、理論と実戦の融合だよ。私の風は、読者の風……!」
桃子のツッコミが風となり、ルナを直撃!
「ぐあぁあああっ!?」
ルナ=サーシャ、まさかの敗北!
ツンデレ火剣士VS中二病くノ一 神崎凛VSカガリ=ノワール!
一方、カガリは影のように移動しながら、次々と“尻打撃”を仕掛けてくる。
「ほう……貧乳か。だが、お前の心の闇は実に良い……」
「誰が闇だ!! ってか貧乳って言うな!!」
「フフ……その怒り、もっと強く……私の尻で昇華させてやる……」
「だれが変態尻忍者だぁぁぁあ!!」
二人の戦いは完全に中二病×ツンデレの様相を呈していた。
カガリの技――**「尻影分身」**は、複数の尻を幻影として生み出し、相手を惑わせる禁断の忍法。
「どれが本物!? わかんないし!!」
しかし、凛の剣が火をまとい、**「胸熱斬」**を放つと、幻影の尻が焼かれ、本体が露わになる!
「くっ……やるな……! だが、私はまだ解放していない……“真の尻”を!」
「知らんわっっ!!」
凛の炎が、ついにカガリの尻を直撃。燃える闇尻と共に、彼女は地面に倒れ伏す。
「くぅ……次こそ……私の尻が……覇を――」
「うるさいっっ!!」
最後まで中二病だった。
四天王、撃破! だが……
王都ラブリウス。
その地下で、再び禍々しい魔力が渦巻く。
「……ふふふ。よくぞここまでたどり着いたな、胸派どもよ」
現れる巨大なシルエット。四天王すら従える最終存在――
その名は、ラナ=グラッセ。
尻教団を束ねる者にして、“究極の尻”を持つとされる、尻界の女帝であった。
次回、最終戦――クライマックスへ!
【一人目】
ゼル=マルティナ(Zell=Martina)
派閥:爆乳派
肩書:爆乳武闘家
属性:雷+肉体強化
性格:陽気で姉御肌だが、乳に関しては誰よりも真剣。
特徴:Gカップ超えのバストと、筋肉美の融合。巨乳を武器ではなく「誇り」として鍛え上げた武闘家で、乳による打撃「乳雷拳」を必殺技とする。
口癖:「この爆乳は飾りじゃねぇッ!拳だッ!」
【二人目】
ダンプ=ヒュンケル(Dump=Hunkel)
派閥:尻派
肩書:鋼尻騎士
属性:土+重力操作
性格:寡黙でストイック。尻の話になると口数が増える。
特徴:異常なまでに鍛え抜かれた尻筋を誇る鎧騎士。重力を自在に操り、尻の落下だけで大地を砕く必殺技「尻界断層」を持つ。口数は少ないが、戦闘中の尻講義は止まらない。
口癖:「この尻は語るより、感じるものだ。」
【三人目】
ルナ=サーシャ(Luna=Sasha)
派閥:両派併合主義(胸と尻の共存)
肩書:背徳の月姫
属性:闇+魅惑
性格:妖艶でミステリアス。味方にも本音を明かさない。
特徴:バランスの取れた完璧なスタイルを持つ美女。胸も尻も「調和」を尊び、両方のエネルギーを引き出す特殊技「愛欲連理陣」を使う。双方の派閥から裏切者と見なされているが、その強さは誰も否定できない。
口癖:「胸も尻も、選ぶなんて野暮よ…全部、味わいなさい?」
【四人目】
カガリ=ノワール(Kagari=Noir)
派閥:絶対貧乳原理主義(反巨乳・反尻)
肩書:闇影の刃
属性:闇+時空斬撃
性格:中二病で独善的。過激な思想を持ち、異常な信念で動く。
特徴:スレンダーな体型を誇りとし、胸も尻も「不要な贅肉」として切り捨てる冷酷なくノ一。空間ごと切り裂く必殺技「貧絶斬」は、対象の誇りごと断ち斬る恐怖の奥義。平胸派である桃子ですら彼女の思想にはドン引き。
口癖:「乳も尻も…堕落だ。スレンダーこそが真の純潔!」