表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/113

4

「わかりました。そういうことでしたら、ファジル殿はここで命を落とされた、ということにいたしましょう」


 ジニア国軍総帥は、もぬけの殻となった寝床を見ながら言った。寝床には、茶褐色の髪の毛がひと束置かれていた。ファジルが自分の髪を切り落としたものと思われた。


「助けていただき、ありがとうございました」


と、ユアンが総帥に頭を下げた。


「ユアン殿、おやめくださいませ。せめてもの恩返しでございます。しかし、ファジル殿は……」


と言いかけた総帥は、気まずそうに口をつぐんだ。


「どうされましたか?」


 総帥は、ユアンに一歩近づくと、声を落として言葉を続けた。

 

「わが軍にもソルアがいるのですが、その者が申すには、彼は非常に強い力を持つソルアだというのです。このように姿を消したり突然現れたりなどという能力は、並大抵のことではないと。貴国がソルアの粛清をおこなっていなかったら、きっと彼は貴国に益をもたらす人物となったことでしょう。残念でなりません」


 ユアンは頷くと、深いため息をついた。そして髪の毛の束を手に取ると、それを大事に紙に包み、懐にしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ