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第92話 ブロンズ


 ブリタニーさんと一緒に急いで戻ったのだが、予想していた通り、第7試合は終わってしまっていた。

 結果はスレッドの勝利であり、ベルベットさんは悔しそうにしている。


「くぅー、本当に悔しい! 剣術の時間を増やしたのに全く歯が立たなかった。なんか姿形が変わっているとは思っていたけど、強くなりすぎでしょ!」

「お嬢様もお強くなられていますよ。ただ……相手が悪すぎましたね」


 そう話すベルベットさんとドニーさんに対し、スレッドは礼儀正しく深々と頭を下げている。

 元々忠義には厚かったけど、ワイトパラディンに進化してから気品のようなものを感じるようになった。


 格好もあるだろうけど、明るい内でも動けるようになったというのが大きいと思う。

 太陽の下で見ると、アンデッド感が5割減くらいになるからね。

 ……実力も本来よりも5割減くらいになっちゃうみたいだけど。


 そして、ようやく1回戦の最終試合。

 対戦カードは必然的に残っているライム対唯さんの試合になる。


「佐藤さん、おかえりなさい。次はとうとう私の中での優勝候補であるライムの登場です」

「唯さんではなく、ライムの方ですか。シーラさんはそんなにライムを警戒しているのですか?」

「ええ。なんていったって、ダークスライムから進化していますからね」


 そう。シーラさんが言った通り、ライムもマッシュと同様に進化することができたのだ。

 今回は魔力塊を食べた時に進化したのではなく、ロッゾさんが持ってきた銅鉱石を食べて進化した。


 見た目もダークスライムだった時の黒っぽい感じから、銅っぽい艶のある感じに変わっている。

 シーラさんも蓮さん達も見たことがない種類らしく、私が勝手にブロンズスライムと名付けた。


 なんとなくダークスライムの方が強そうに見えるけど、硬度も上がっているようだし、きっとブロンズスライムに進化した今の方が強い。

 この感じだと……銀鉱石を大量に与えれば、シルバースライムになるんじゃないかと踏んでいるんだけど、銅鉱石と違って銀鉱石はそこそこ値が張るため、今はまだ手が出せないといった状況。


「確かに先日進化したばかりで、動いているところもあまり見ていませんもんね。でも……ダークスライムからブロンズスライムに進化した程度で、そんなに大きな変化があるんですかね? 色合いぐらいしか変わっている様子がありませんが」

「私もブロンズスライムについては初めて知ったので分かりませんが、ライムならきっと想像を超えてくると踏んでいます。ライムと当たる前にしっかりと見ておきたいですね」


 シーラさんはブリタニーさんと戦っていた時と同じく、恐ろしいぐらい集中してライムを見つめている。

 私は何より、“ライムと当たる”という美香さんに勝つ気満々の発言をしたシーラさんにワクワクしたのだが、決して口には出さず、ライム対唯さんの試合に集中することにした。


「ライムさん、どうぞよろしくお願い致します。すみませんが、すぐに終わらせますね」

「ふっ、気を付けた方がいいぞ。そのスライム、普通じゃないからな。油断しているとやられるぞ」


 ライムの実力を知らない唯さんに対し、ドニーさんは笑いながら警告した。

 ただ、ピンときていないようで、唯さんは変な人を見る目でドニーさんを見ながら位置についた。


 唯さんの武器は珍しく杖であり、どうやら近接戦として杖を用いる様子。

 唯さんはヒーラーのため、基本的に杖を装備しないといけない理由から、杖術を会得したのだと思う。


「それでは準備はいいか? ――試合開始!」


 合図と共に、唯さんは攻撃を開始……したのだけど、ライムは一瞬で姿を晦ませた。

 明るい内でも姿を見えなくできるというのは本当に強い。

 

「えっ! 消えた……? ――って、痛っ! ど、どこかにいる!?」


 唯さんは完全にライムを見失っているようで、キョロキョロと辺りを探しているが目で捉えることができていない。

 ドニーさんと戦った時と同じく、体を極限まで透明化させた上でバネの原理で高速で移動している。


 初見殺しの技であり、歴戦の猛者であるドニーさんですら対応できなかったこの技を唯さんが見切れる訳もなく、あっさりと有効打を3発食らってしまった。

 ここまで蓮さん、将司さん、美香さんと強かっただけに、唯さん相手ではライムも危ないかもしれないと思っていたけど、まさしく完勝といった試合内容だった。


「勝者、ライム。だから言っただろ。油断しているとやられるってな」

「……嘘。強すぎるというか、何をされたのかまだ理解できていないです」


 唯さんはまだ固まったまま動けていない。

 対するライムは嬉しそうにピョンピョンと跳ねながら、俺の下まで駆け寄ってきた。


「ライム、お疲れ様です。本当に強かったですね」

「やはり決勝まで上がる際の最難関はライムになりそうです。絶対に負けませんからね」


 ほんわかした空気ながらも、ライムもシーラさんもバッチバチ。

 どちらを応援すればいいのか分からないし、この2人にはどちらも負けてほしくないというジレンマ。


「まずはどちらも勝ちあがってください。シーラさんは美香さん。ライムはスレッドと2回戦の相手はどちらも強敵ですからね」

「はい。絶対に負けません!」


 ライムも気合いが入っているようで、ぷるぷると震えている。

 とりあえず、これで第1試合は全て終了。


 勝ち上がったのは8名で、蓮、ロイス、ロッゾ、マッシュ、美香、シーラ、スレッド、ライム。

 当たり前だけど勝ち上がった全員が強者であり、本当に誰が優勝するか分からないといった現状。


 特に勇者である将司さんと唯さんが1回戦で敗退したのは、ほとんどの人が想像していなかったと思う。

 そして、その2名を打ち負かしたのが私の従魔なのは鼻が高いな。

 



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