第86話 第1回模擬戦大会
マッシュの進化から1週間が経過し、今日はいよいよ第1回模擬戦大会の当日。
朝から続々と参加者たちが集まってきている。
お昼までは普通に農作業を行うため、早めに来てくれた方達と一緒に畑仕事をしつつ、楽しい時間を過ごした。
やはり賑やかというのは非常に楽しく、作業も早く終わるため良いこと尽くめ。
盛り上がっている内に仕事も全て終わり、この間に呼んだ人全員が揃った。
「今日はお集まり頂き、ありがとうございます。これから模擬戦大会を行い、その後は異世界料理でおもてなしする予定ですので、どうぞ楽しんで頂けたら幸いです」
開会宣言兼、集まってくれた人へのお礼を行うと、みんなが声を出して盛り上げてくれた。
ここからは簡単なルール説明を行う。
「模擬戦大会のルールはシンプルで、クリーンヒットを3回受けるorギブアップを宣言するor審判によって戦闘続行不可能と判断される――が敗北の条件となります。ちなみに審判には元A級冒険者であり、現王国騎士団の指南役を務めているドニーさんに行ってもらいます」
「よろしく頼む。王女様贔屓とかはせず、公平に判断するから安心してくれ」
そう。今回はドニーさんが模擬戦大会には参加せず、審判を行うと買って出てくれた。
そんなドニーさんの代わりには、推薦したいと言っていた王国騎士団の子が参戦する予定となっている。
ちなみにシッドさんも戦えないという理由から参加はせず、シッドさんの推薦人が代わりに参戦する予定。
推薦人の方は全員初顔合わせなので、どんな戦いを見せてくれるのか今から非常に楽しみ。
「ということですので、公正公平な試合になると思います。安心して全力で戦って頂ければと思います。ちなみにですが、上位3名には賞品もご用意しましたので頑張ってください」
賞品という言葉にみんなのボルテージが一気に上がった。
……が、1人だけ困惑した表情で私の方を見ている。
「――へ? 賞品があるのかよ! なら、やっぱり俺も参戦させろ!」
「いやいや、もう無理ですよ。トーナメントも作ってしまいましたし、参加人数が16人と丁度いい人数になっているんですから」
「賞品があるって知ってたら参加してたっての! 参加したら優勝まったなしと思って、俺は空気を読んで参加しなかったんだぞ!」
「ドニー、うるさい。勝手に審判をやるって言ったんでしょ。これ以上文句を言うなら帰らせるわよ」
「うぐぐ……。お嬢様、すみませんでした」
賞品があることを知ってゴネていたドニーさんだったが、ベルベットさんの一言でシュンとなって即受け入れた。
説明不足だったのは申し訳ないけど、ドニーさんがいない方がトーナメントとしては面白いので参加はなしの方向で進める。
ただ、優勝者とのエキシビションマッチは面白そうだし、それに勝利したらドニーさんに何かしらプレゼントしてあげてもいいかもしれない。
審判をやってもらう訳だしね。
「という訳で気を取り直して、好成績を目指して模擬戦大会頑張ってください」
「「「うおーっ!」」」
みんなの気合いも入っているようで、これは面白い試合を見ることができそうだ。
ノーマンさんも駆けつけてくれたお陰で、大会を見た後に料理を作れるのが非常に大きい。
私も楽しませてもらうとして……推薦されて来てくれた人に挨拶をすることにしよう。
とはいっても、ドニーさんが推薦した人とシッドさんが推薦した人の計2名だけだけど。
「はじめまして、佐藤です。今日は来てくださり、ありがとうございます」
「い、いえいえ! ドニーさんの代わりが僕ですみません!」
「謝らなくていいですよ。正式な大会じゃありませんし、それにドニーさんは褒めていましたから」
「そ、そんなことはありません。王国騎士団の中でも下の下でして、なんでドニーさんが僕に目をかけてくださっているのか分かりませんから」
そう言って俯いているのは、ドニーさん推薦の王国騎士団員であるジョエル君。
年齢はまだ13歳であり、おどおどしているところも含めて少年って感じしかしない。
線もかなり細いし、今のところの印象としては私でも勝てるのではないかと思ってしまう。
……まぁ絶対に勝てるわけがないんだけども。
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