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第77話 収穫日


 カツカレーを振る舞った日から2週間が経過した。

 この間は何の事件もなく、いつも通り楽しく畑仕事を行えていた。


 あー……いや、1つだけ大きな事件があったな。

 事件といっても嬉しい事件であり、スレッドが種族進化したのだ。


 結構な数の魔力塊を上げていたのに、一切進化する素振りがなかったため、進化する種族は決まっているのではと思っていたのだけど、4日前にスレッドが進化してくれた。

 シーラさん曰く、ワイトナイトからワイトパラディンになったらしい。


 アンデッド系の魔物でありながら、聖騎士なのは大丈夫なのかとも思いつつも、装備品が神々しくなったお陰で非常にかっこいいビジュアルとなっている。

 なんというか対になっているのが厨二心をくすぐられるというか、アンデッドでありながら神々しい装備を身に付けているというのが非常に私好み。


 とにかく、魔力塊を上げ続けたお陰でスレッドも強くなってくれた。

 農業面では今のところ、新たな仕事ができるようになったとか、仕事が早くなったとかはないんだけど……かっこいいは正義なのでよし。


 後はマッシュも進化を期待しているんだけど、進化する様子は今のところない。

 ほぼ初期メンであるライムとスレッドが進化してしまったため、少し焦っているように見える。


 私は進化しなくともいいと思っているけど、こればかりは本人の問題のため、マッシュが進化したいのであれば全力で協力したいと考えている。

 次に蓮さん達がやってきて、魔力塊をくれた時は、全てマッシュにプレゼントしていいかもしれない。


 ……とまぁ、この2週間に起こったことと言えばスレッドの進化のみ。

 大きな変化に見えるけど、今のところ状況自体は何も変わっていないため、服装を変えたくらいの認識でいる。


 そして、何よりも大きな変化がありそうなのが今日。

 ルーアさん達の畑の方の作物が、今日にでも収穫できそうなのだ。


 収穫できるのはクラックドラフだけど、スキルの畑以外で作物を育てたのは初なので、大きな大きな一歩目となる。

 日本の作物も今のところはちゃんと育っているし、クラックドラフがちゃんと実っていれば、日本の作物にも期待が持てるからな。


「佐藤さん、おはようございます。今日は私が朝食を作る日なのに、随分と早起きしましたね」

「今日はルーアさん達の畑の収穫日ですからね。ワクワクしていたせいで早く起きてしまいました」

「あー、今日が収穫日なんですか! やはり普通の畑は収穫までかなり時間がかかりますね」

「ええ。その分、嬉しさも倍増していますので悪い事ばかりではないんですけどね」

「ルーアさん達はもっと嬉しいんじゃないでしょうか?」

「きっとそうだと思います。実際に昨日からソワソワとしていましたから」


 ルーアさん達にとっては、自分達で育てた作物の初めての収穫。

 きっと今日は大切な日になるはずだ。


 シーラさんとそんな会話をしつつ、朝食を食べて外へと出てきた。

 私が早起きしたこともあり、今日は早めに畑へと出てきたのだが……外には既にルーアさん達の姿があった。

 この早さから見るに、やはりルーアさん達も待ち遠しく思ってくれていた様子。


「ルーアさん、ポーシャさん、ロイスさん、おはようございます。今日は早いですね」

「今日にも収穫できると聞いたから、ワクワクして早めに起きてしまったんだ」

「やっぱりそうだったんですね。今回収穫した分は売るつもりですので、売ったお金でお給料も渡せると思います」

「給料まで貰っていいのか!? ご飯を食べさせてもらって、家までもらって、その上給料って……破産してしまわないか不安になるぞ」

「大丈夫ですよ。私は国から手厚くサポートしてもらっていますので。それよりもルーアさん達がちゃんと働ける環境作りの方が大事です」


 社長なんて大それたものではないけど、畑仕事を手伝ってもらっている以上、福利厚生もしっかりとしたい。

 お給料を払わないなんて以ての外だし、しっかりと休みも取ってもらうつもりでいる。

 その点で言うと、シーラさんだけは常に引っかかっているんだけど……休んでくださいと言っても絶対に休んでくれないため、好きにさせてあげるのが一番という結論に至ってしまった。


「私は結構厳しい環境に身を置いていたから、佐藤の心遣いが身に染みる。何から何まで本当にありがとう」

「私とロイスも、佐藤さんには感謝しかございません。ここでのお仕事も楽しくて、収穫できると聞いた時に生きていて良かったと思いました」

「孤児院育ちで、冒険者しか選択肢がなかったのですが、ルーアさんに誘われてここに来て本当に良かったです」


 そんな純粋な感謝の言葉に、思わず泣きそうになってしまう。

 私が思っている何倍も、この3人は苦労してきたのだろう。


「そう言ってもらえることが一番嬉しいです。とにかく収穫しましょうか。ルーアさん達が育てた作物ですので、少し味見もしてみましょう」

「自分で育てた作物を自分で食べる……。予想していた以上に育つまで時間がかかったこともあって、何だか感慨深い気持ちになるな」

「残念なのがクラックドラフなところですね。異世界の野菜だったら、きっと3人とも感動するぐらい美味しく感じられたと思いますし、私としてはトマトをかぶりついてほしかったです!」


 自分の時を思い出したのか、テンションの高いシーラさんがそんなことを言い出した。

 確かに美味しい野菜を食べてもらいたい気持ちもあるけど、まだ実りそうにないからなぁ。

 正真正銘、ルーアさん達が育てた作物だし、ここはクラックドラフで我慢してもらうしかない。


「今回はクラックドラフで、異世界の野菜も育った時に食べてもらいましょう。ということで、収穫作業を行いましょうか。私とシーラさん、それからマッシュはスキルの方の畑で作業をしていますので、何か分からないことがあればすぐに聞いてください」

「分かった。絶対に失敗したくないし、分からなかったら遠慮なく呼ばせてもらう」


 そんな会話をしてから、私達は畑仕事を行うことにした。

 ルーアさん達が楽しそうに収穫している様子を見ながらほっこりしたことで、今日はいつも以上に楽しく農作業を行うことができた。



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