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第66話 本来の実力


 また良い試合が見られると思い、私は非常にワクワクしていたのだけど……。

 結果はそんな戦前の予想を覆すほどのドニーさんの圧勝で終わってしまった。


 説明することがないほどの完勝劇であり、シーラさんもライムも放心状態となっている。

 もちろん見学していた私とベルベットさんも、口を開けて見ることしかできていない。


「…………つ、強すぎるでしょ! ドニーってそんなに強かったの!?」

「私も結構驚いています。目が悪かったため、これまでは受け身を取るしかなかったのですが、自由に攻めることができるというのはこれだけ戦略に幅が出るんですね」

「それにしてもだと、私は思ってしまいました。あれだけ苦戦させられていた、ライムの透過や高速移動、それから目晦ましも全く意に介していなかったですよね?」

「それは初見殺し的な戦法でもあったからな。仮にコンタクトレンズとやらをつけていなくても、ある程度の対処はできていたと思うぞ。ただ、今は透過されてもハッキリと見えたし、高速移動も目で追うことができていた。それに、発光する前に僅かに核部分が光るのも見えていたから……まぁ負ける道理はなかったな」


 胸を張り、ドヤ顔で勝因を語ってくれたドニーさん。

 前回の敗北から立場が弱くなっていたため、今は鼻高々といった感じだろう。


 それにしても、想像していた以上にコンタクトレンズの効果があったみたいで私としても非常に良かった。

 これならば、またドニーさんも働きに来てくれるだろうし、私への警戒を多少は緩めてくれるはず。


「第一線から退いたドニーを復活させるなんて、やっぱり異世界のものは凄まじいわね」

「マジックアイテムでも、ここまで凄いものはないと思う。もしかしたら、俺は今になって全盛期を迎えたかもしれない。まぁ今さら冒険者に戻るつもりはないけどな」


 本人であるドニーさんですら、衝撃の結果に終わった模擬戦。

 もうちょっと戦いっぷりを見たい気持ちもあるけど、料理を振る舞う時間がなくなってしまうため今回はここまで。


 次は第1回模擬戦大会の時に見せてもらうとして……。

 私は別荘に戻り、ご飯の準備をしよう。


「コンタクトレンズが合うことも分かりましたし、早いですがこの辺りで切り上げてご飯にしましょう」

「完敗してしまってちょっとショックも大きかったのですが、ご飯と聞いたら自然と笑顔になってしまいます」

「シーラは本当に食べることが好きなのね。まぁ私も楽しみだけどさ」

「コンタクトレンズだけでなく、食事までご馳走してくれるのか。……お嬢様がここに通う理由が分かってしまったのが変な気持ちになる!」

「でしょ? 本当は王城からここに引っ越ししたいくらいだもの」

「そのお言葉だけで私は嬉しいです。それでは急いでお作りしますのでリビングで待っていてください」


 私は3人にそう告げてから、急いで別荘へと戻った。

 さて、何を作るかだけど……ハンバーグを作る予定。


 こだわらなければ材料費も抑えることができるし、ドニーさんもきっと満足してくれるはず。

 味付けは、ニンニクを効かせたトマトソースにする予定。


 松屋のうまトマハンバーグが好きで、販売期間ではないときは自作していたため、結構な自信がある。

 時間もないので、早速調理に入るとしよう。


 慣れた手つきで合い挽き肉と玉ねぎ、パン粉で種を作り、フライパンで蒸し焼きにしていく。

 その間にガーリックトマトソース作りも行う。


 ポイントとしては大量のニンニクを効かせることであり、これだけで旨味が倍増する。

 ハンバーグの中まで火が通ったタイミングで、ガーリックトマトソースも完成。

 ご飯も炊けているし、後はリビングで待っている3人の下に届けるだけだ。

 

「お待たせ致しました。ガーリックトマトソースのハンバーグになります」

「すっごい美味しそうな匂いです! お肉の塊ですか!」

「いや、本当に冗談抜きで良い匂いすぎる。ここで食べる料理は基本的に美味しかったと思っていたが、次元が違うのが食べる前から分かるぞ!」

「シーラも料理は上手いからね。……ただ、佐藤の本気料理は腰が抜けるほど美味しいわよ。きっとこのハンバーグなる料理も美味しいはず」

「そこまでハードルを上げられると困りますが……美味しいことには美味しいと思いますので食べてみてください」


 ガンガンにハードルを上げてくるベルベットさんだが、その高いハードルに負けないくらい美味しいはず。

 私達はいつものように食前の挨拶を済ませた後、ハンバーグに切り分けてから口の中に放り込んだ。


 ――はい、抜群に美味しい!

 ナツメグは予算上買えなかったのだけど、そんな細かいところが気にならないくらい、トマトソースとニンニクのパンチが凄まじい。


 これまでも美味しい料理を作ってきた自負はあるけど、このハンバーグが今までで一番旨味を発していると思う。

 ただ、単体で食べるには旨味が強すぎてクドいため、白いご飯を描き込むように頬張る。

 ……はぁー、至高の食べ合わせ過ぎて幸せだ。


「佐藤さん、これ美味しすぎます! こんなに美味しいお肉を食べたことがありません!」

「何この旨味……! お肉だけじゃなく、ソースも異様なくらい旨味が凝縮されているわ」

「——ゔまいッ! ……んぐ、佐藤は天才だな。やばい、涙が出てきちまう」

「喜んでもらえてよかったです」


 大絶賛してくれている中、ドニーさんは泣きながらバクバクと食べ進めている。

 蓮さん達に振る舞った時もそうだけど、泣いて喜んでくれると本当に作って良かったという気持ちになる。

 私は3人が美味しそうに食べている姿を笑顔で眺めながら、うまトマハンバーグを堪能したのだった。



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