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第64話 大番狂わせ


 トイレを装い、気持ちを落ち着かせること数分。

 ようやく心臓の高鳴りが収まったため、私はみんなの下へと戻ってきた。


 シーラさんがここを離れてしまわないかが心配で頭から飛んでしまっていたが、どうやら私が気持ちを落ち着かせている間にドニーさん対ライムの模擬戦が行われた様子。

 シーラさんは残ってくれると即答してくれたんだし、せっかくならライムを応援してあげれば良かった。


 そんな若干の後悔を抱えながら、戻ってきたのだけど……私の目の前には何やら異様な光景が広がっていた。

 その光景とは――両膝をついて頭を抱えているドニーさんと、ぽよんぽよんと楽しそうに跳ねているライム。


 更に、遠くで見ていたライムの友達も踊るように喜んでいる。

 まるでライムが勝ったかのようなこの光景に、私は急いでシーラさんに話を伺うことにした。


「し、シーラさん。ドニーさんとライムの試合ってまさか……」

「はい。まさかのライムが勝ってしまいました」

「それも圧勝よ! あれだけ舐めた態度取ってたのに負けるなんてね。護衛とか言っておきながら、私以外には負けるってどういうことなのかしら」

「……がはっ!」


 死体蹴りをするように、両膝をついて項垂れているドニーさんをボロクソに貶すベルベットさん。

 ドニーさんも相当効いているようで情けない声を漏らしながら、苦しそうに心臓を押さえている。

 可哀想とはいえ、確かに護衛としてはどうなのかと私も思ってしまったため、ドニーさんを擁護する言葉が出てこない。


「本当にライムが勝ったんですね……。正直、どうやって勝ったのか検討もつかないんですが、ライムはどう勝ったのですか?」

「前回のような不意打ちですね。明るい時間帯でも体を透過させる術を身につけたようで、開始早々に姿を消し、不意を突いてまず一発浴びせました」

「次に体を極限まで圧縮させて、小さく丸くさせた状態で突進。バネの原理でスピードが上がった上に、引き続き体が透過されているから動きを追いづらく、ドニーも何とか対応していたけど脚部に2発目を食らったわ」


 体の大きいドニーさんに対し、体を小さくさせて速度重視で挑んだ感じか。

 膝下を中心に狙われながら、『スライムもりもり』とか『モンスターストライク』みたいな要領で攻撃されたら、体の大きなドニーさんは対応しづらい。

 その上、姿も見えにくいのだから……凶悪な攻撃と言わざるを得ない。


「そして最後の一発は、目を凝らしたドニーさんを嘲笑うかのように、自分自身の体を発光させて目眩まし。正直私も目が眩んでしまって見えていなかったのですが、動けなくなったドニーさんの腹部に突撃して、ライムの勝利で試合が終わったようです」

「全て不意打ちとはいえ、本当に完勝だったんですか。ライムは私が思っている以上に強いんですね」

「明らかにスライムとは思えない強さね! まだ進化の余地を残していそうだし、とんでもない化け物になるんじゃないかしら?」


 そう絶賛され、さらに嬉しそうにしているライム。

 絶対に負けると思って見ていなかったお詫びに加え、ドニーさんに勝利したご褒美として、ライムには何かあげないといけないな。


「……くっそ。悔しすぎる! なんなんだここにいる奴らは。明らかに農業をやっていてはいけない強さの連中ばかりじゃねぇか!」

「どう? これで分かったでしょ。ドニーがついていなくても私は安全なの。だから、もう帰ってもいいからね」

「うぐぐぐ……。もしかしてだけど、佐藤も強いのか? だとしたら、本当に私はいらないのかもしれないな」

「い、いえ。私はめちゃくちゃ弱いです。ドニーさんと模擬戦を行ったら、10秒も持たずに敗れると思いますね」

「なら、許可は出せない! シーラもライムも、何かあった時はお嬢様ではなく、この佐藤を守るはず! だから、私がお嬢様をお守りします!」

「いやいや……。ここにそんな化け物みたいな敵が来るわけないじゃない」

「いえ、何が起こるか分かりません。ということで、次からも私がお側で護衛させて頂きます」


 無茶苦茶な理論だけど、ドニーさんがベルベットさんを心配しているという気持ちはきっと本物。

 それにシーラさんは疎か、ライムにまで完敗してしまったけど、目が悪いドニーさんにとってはライムは天敵中の天敵。


 コンタクトレンズをプレゼントした上で挽回のチャンスも与えてあげたいし、賑やかになるから人は多い方がいい。

 ベルベットさんは冷ややかな視線を向けているけど、私はドニーさんを優しく迎え入れてあげたいと思っている。


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