第59話 ムーンレイヴン
シーラさんのアドバイスを元にめちゃくちゃ悩んだ結果、私はムーンレイヴンを従魔にすることに決めた。
ディープカメレオンがNP12000、スパイクスパイダーがNP9000の中、ムーンレイヴンがNP15000と頭一つ抜けて高かったのだが、メリットを考えて購入を決断した。
ちなみに、スキル強化に害虫避け、害獣避け、害鳥避けの強化項目もあったため、そちらも一応考えてみたものの、必要NPが200000と破格過ぎたため即座に却下。
選択肢が限られていたため、貯めたNPをほとんど使ってしまったが後悔はない。
「佐藤さん、ムーンレイヴンが現れました!」
外にいたシーラさんの声に誘われるがまま、私も外に出て、購入したムーンレイヴンの様子を見に行くことにした。
外に出た瞬間に見えたのは――漆黒の体。
体の大きさは私よりも少し大きいくらいで、とにかくカッコいいという感想しか出てこない。
カラスと鷹のハーフのような見た目をしている。
「これがムーンレイヴンなんですね。凄くかっこいいです」
「私は見た目のかっこよさよりも、襲ってこないムーンレイヴンに驚いてしまっています」
「野生のムーンレイヴンは獰猛な性格なのですか?」
「獰猛というよりも縄張り意識が強いという感じですかね? ですので、このムーンレイヴンもこの辺りを自分の縄張りと認識してくれたら、きっと害鳥たちを狩ってくれると思います」
なるほど。それは非常に楽しみだ。
私はワクワクしながらムーンレイヴンに向かって歩いていったのだが、私の姿に気づいたムーンレイヴンの方から近づいてきてくれた。
飛ぶことはせず、跳ねるような歩き方で私の前まで来ると、甘えるように頭を擦らせてきた。
……めちゃくちゃ可愛い。
一瞬で心を掴まれた私は、軽く頭を撫でてあげる。
「名前は既に決めてあります。今日からクロウと呼ばせて頂きますね。よろしくお願いします」
「カアー」
ライムもマッシュもスレッドも声を発することが出来ないこともあり、私の問い掛けに初めて言葉で返事をしてくれたクロウ。
愛くるしいし、もう既に従魔にして良かったと思えている。
「随分と人懐っこいですね。佐藤さんを親だと認識しているのでしょうか?」
「どうなんですかね? とりあえず敵だとは思われていないようで一安心です」
ひとしきりクロウと戯れた後、何をしてもらおうかを詳しく説明する。
実演しながら説明しないと伝わらないと思っていたのだけど、クロウは口頭で説明しただけで理解したようで勢いよく空高く飛ぶと、別荘周りを飛行しながら見張りを始めてくれた。
基本的に地上にいて、害鳥がやってきた時だけ追い払ってくれればいいのだけど……もう飛び立ってしまったため、もう声を掛けることができない。
知能が高い上に意欲的なのはありがたいけど、クロウが頑張りすぎないようにだけは私の方で気をつけないといけなさそうだ。
「もう見回りを始めましたね。物覚えも早そうですし、これは大正解だったのではないでしょうか?」
「シーラさんが紹介してくれたお陰です。本当にありがとうございました」
「何度も言いますが、気にしないで大丈夫です。それよりも、今日から他の作物を植え始めるのですか?」
「そうですね。順次、他の作物に変えていこうと思っています。そして通貨が貯まり次第、すぐにスパイクスパイダーを従魔にしようと考えています」
「害鳥対策の次は害虫対策ですね。良い順番だと思いますよ」
シーラさんからのお墨付きも貰えたことだし、この順番で従魔にしていこうと思う。
これで害鳥、害虫対策が完璧に行えればいいのだけど、もし駄目だったとしても広い心を持って対応する予定。
後は……クロウの小屋のようなものも必要なのだろうか?
そこらへんのこともクロウが降りてきてから聞くとして、今はモアフルの苗を植えていくことにしよう。
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