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第56話 新たな作物


 意図しない中、新たな仲間が増えたのだけど……スライムは畑仕事を手伝うことができないため大きな変化はない。

 ただ、ゴミ処理能力は非常に高く、二人が暮らす分で出るゴミぐらいなら問題なく処理できている。


 なんなら足らないぐらいだし、新たな住民を迎え入れられるぐらい。

 まぁ候補はベルベットさんか蓮さん達だけで、どちらも移り住むことはできないため現実的ではないんだけど。


 そんなこんな農業ライフを送っている中、ようやく初日に植えた作物が実ってくれた。

 3種類ともいっぺんに実った訳ではなく、今日実ったのはモアフルのみ。


 キュウリに見えなくもない見た目の野菜で、色はパプリカのような真っ黄色。

 味も気になるけど、どうせ美味しくはないため、食べずに全てNPに変換する予定。


「何を植えていたのか分からなかったですが、モアフルだったのですね」

「シーラさんはこの野菜を知っているんですか?」

「もちろんです。スープなんかに入れる野菜として、結構メジャーな食材だと思います。味はほとんどありませんが、煮込んでも食感が失われないので意外と重宝されています」


 話だけ聞くと、使いどころのありそうな野菜に思えてくる。

 食感だけが欲しい時もあるし、味の濃いスープ系の料理に合いそうだけど……期待していたのとは若干違うパターンで、ガッカリする自分も見えている。


「シーラさんが料理に使いたいようであれば、少し残しておきますけどどうしますか?」

「いえ、いらないです。煮込んでも食感は失われないのですが、逆に長時間煮込まないと硬くて食べれたものではなく、調理が非常に面倒くさいのです」

「そうなんですか。かなりの残念食材ですね。そういうことでしたら、全て通貨に変換してしまいますね」

「ええ。それがいいと思います」


 シーラさんの許可も貰えたことだし、モアフルは全て野菜に変えてしまおう。

 しっかりと一つ当たりの売却額を調べつつ、これから実るであろう2種の野菜との比較も行う。


 他の2種はまだ分からないけど、基本的にNPに変換する目的で育てるだろうし、より効率の良い作物を育てたいからな。

 そんなことを考えつつ、私は収穫したモアフルを一つだけ出荷箱の中に入れた。


 すぐにタブレットを取り出し、NPを確認してみると……増えたNPは15。

 育つまでにかかった日数は5日で、一つの苗から3~4本実っていることから、利益は40NPくらい。


 クラックドラフの利益が17NPということを考えると、日数が5日と長いながらもモアフルを育てた方が稼げるということになる。

 ただ、クラックドラフを育てていた時とは違い、畑の質と成長速度のレベルを2にしているため、クラックドラフもまた違う結果になっている可能性はある。


 まぁ仮に、クラックドラフが3日で実るようになっていたとしても、モアフルを育てた方が儲けることができるため、これからはクラックドラフよりかはモアフルを育てるようにしたい。

 単純に3日で実ると、その分収穫と苗植えの手間も増えるからね。

 

 5日でNP効率の良いモアフルを優先するのは極自然の考え。

 延々とクラックドラフを育てるのはいずれ飽きていただろうし、新たに増えた作物の方が効率がいいのは色々な意味で非常にありがたい。


「佐藤さん、どうでしたか?」

「クラックドラフよりも高く売れましたね。これからはクラックドラフよりも、モアフルを育てることになると思います。……まぁ、他の2種類の結果によっては、モアフルを育てることがなくなる可能性もありますが」


 シーアステラとブライトボイスの売却額も非常に楽しみ。

 いくらで売れるのかも大事だが、いつ実るかも考えて精査していきたい。


「高く売れたのは良かったです。それにしても、佐藤さんは計算が早いですね。何か紙に書いている様子もありませんし、頭の中で計算しているのですか?」

「ええ。収穫までの日数と収穫数と売却額。それから購入した苗の値段を考えて、どれくらい儲かるかを大雑把にですが計算していますね」

「……紙に書いても導き出せる気がしません。佐藤さんは商人としてもやっていけそうですね」

「そうなんですか? てっきりシーラさんもこれぐらいの計算ならできると思っていました」


 貴族の出であり、魔法を習得するという情報から、幼少期から勉学も行ってきていたと思っていたが……単純に日本の教育が進んでいるのか。

 これぐらいの計算で褒められるのはむず痒くなってしまうが、確かに計算できない人が多いとなれば、暗算できるというだけで大きな能力になるのかもしれない。


「絶対に無理ですね。佐藤さんほどの計算ができる人は限られた数しかいません。異世界では当たり前なのですか?」

「そうですね。私のいた国では、少なく見積もって半分以上の人ができると思いますよ。こちらの世界のような力がそこまで必要ではない分、学が要求される世界でしたから」

「へー、そんな変化が生まれるのですね。何だか面白いです」


 この世界のように魔物が跋扈していたら、勉強どころではないだろうし、平和だからこその現象だと思う。

 まぁ他の国では未だに戦争が行われていたりもしていたけど。


「と、まぁ話が脱線してしまいましたが、これからは新たな作物を育てていきますので、そこのところの把握をよろしくお願い致します」

「分かりました。佐藤さんが購入した農業の本を読んで、知識も増えましたのでどんとこいといった感じです」


 両手をグーにして、そう言ってくれたシーラさん。

 そんなシーラさんに頼もしさを感じつつ、私達はモアフルの収穫作業へと戻ったのだった。



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一日二話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ


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