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第52話 漫画トーク


 結構な大人数が揃っていながら、すぐに漫画を読み始めたベルベットさんのせいで少し気まずい空気が流れる。

 私がなんとか空気を変えようと話し出そうとしたその時。

 ベルベットさんの読んでいるものに対し、将司さんが食いつくように反応した。


「……って、ええっ!? ベルベットさんが読んでるのって、ワンピースじゃん!! え、えっ!? この世界にもワンピースの漫画って存在するのか?」

「この漫画はあなたたちも知っているの? この漫画は佐藤に借りたの。読んでいて凄く面白いとは思っていたけど、有名な漫画なのね」

「佐藤さんって、料理だけじゃなくて漫画も生み出せるのかよ! 俺達の能力なんかよりも何十倍も良い能力じゃん!」

「うっわ、ワンピースがあるって凄すぎなんだけど! 私、アニメとか超見てたし!」

「あまり漫画は読んでこなかったのですが、ワンピースは私でも見たことがあるタイトルですね」

「ワンピース、めちゃくちゃ読みてぇ。もしかして最新刊まであるのか?」


 日本で三本の指には入る有名漫画なだけあって、みんなの食いつきが段違い。

 ベルベットさんが自己紹介だけ済ませて漫画を読み始めたせいで、一瞬気まずい空気が流れていたけど、ワンピースのお陰で一気に場が盛り上がった。


 私と蓮さん達との年齢差でも、こうして共通する話題になることも含め……。

 やはりワンピースは偉大な漫画だと、異世界でも再確認することができた。


「いえ、最新刊まではないですね。今あるのは1巻から5巻までです」

「流石に古すぎる! でも、もう一度読み直すのはいいかも!」

「でも、1巻から5巻までじゃ俺は満足できる気がしない! 確実に続きが読みたくなるだろうしな!」

「私も同感ですね。佐藤さん、漫画の数は増やしていくつもりなのですか?」

「ええ。通貨に余裕ができ次第、随時購入していこうとは思います。ちなみにですが、ベルベットさんは少女漫画を持っていますよ」

「えっ!? 少女漫画ってなんでしょうか!?」


 ワンピースではあまり食いつかなかったのだが、少女漫画と聞いた瞬間に凄まじい食いつきを見せた唯さん。

 やはり女性は少女漫画の方が好きなようだ。


「『君に届け』という漫画ですが、唯さんは知っていますか?」

「当たり前じゃないですか! 鉄板中の鉄板で、何度も読み返しましたから! といっても、私は映画から入ったのですが……というより、今ここにあるんですか?」

「ベルベットさんに聞いてみないと分からないですが、多分持ってきてはないと思います」


 大切にしている感じを見るに、普段は持ち歩かなさそうだからな。

 というよりも、ベルベットさんは漫画に夢中になりすぎていて、話に全く入ってこない。


「……ベルベットさん、ちょっといいですか?」

「――んえっ? 私に話しかけてたの?」

「はい。ベルベットさんにプレゼントした漫画って今持っていますか?」

「持っていないわよ。持ち運ぶわけないじゃない。自室に保管してあるわ」

「だそうです。また別の機会に見せてもらうしかなさそうですね」

「うぅ……。久しぶりに読めると思っていたのですが残念です」

「なに? えーっと、唯さんだっけ? あなたも漫画が好きなの?」

「漫画というよりかは、少女漫画が好きなんです。ベルべットさんが持っている漫画を私も全巻読みましたし、何なら全巻持っていました」

「――ちょっと待って。私“も”って、私は全巻読んでないから! 少しでもネタバレしたら許さないわよ!?」


 ベルベットさんの目は本気であり、唯さんもその本気さが伝わったようで口を噤んで頷いた。

 ただ唯さんは、その本気さが嬉しい様子。


「絶対にネタバレはしません。ちなみに今は何巻まで読んでいるのですか?」

「今は7巻までよ」

「7巻ですか! ということは、龍とちーちゃんのところ辺り?」

「そうそう! 三角関係がうぎゅー!ってなるとこ!」


 ベルベットさんと唯さんは共通の話題ができたようで、途中まで読んでいた漫画を他所に盛り上がり始めた。

 好きな漫画の話ができるのが嬉しいという気持ちはよく分かる。


 そんな女子二人の話を羨ましそうに見ているのは、同じ女子である美香さん。

 混ざればいいのにとも思ったけど、もしかしたら美香さんは読んだことがないのかもしれない。


「……美香さんは会話に混ざらないんですか?」

「私、恋愛漫画は好きじゃなくて読んだことないんだよね! だから、混ざりたいけど混ざれない! 日本にいた頃も何十回も同じ場面に遭遇して、何十回も読もうって思ったんだけど……どうしても面白さが見い出せないの!」


 美香さんの力説に思わず笑ってしまう。

 恋愛漫画が嫌いな女子というのは、確かに話についていくのが大変そう。

 完全な憶測だけど、恋愛映画、恋愛ドラマ、恋愛バラエティ、この辺りを見ていないと、話に混ざれないイメージが強い。

 

「そうなんですか。美香さんはバトルものがお好きなんですか?」

「うん! お兄ちゃんがいっぱい持ってたから、完全にその影響!」

「俺もバトルものとファンタジーが好き! だから美香とはよく話が合ってたんだよな!」

「へー、そうなんですか。蓮さんは何が好きなんですか?」

「小さい頃からサッカーやっていた影響で、スポーツ漫画が一番好きだったな。もちろんバトルものとかも好きだけど」

「スポ根系の漫画はいいですよね。私もスポーツは一切やったことがないのですが、スポーツの漫画はかなり好きです」


 話を聞く限りでは、かなり好みの違いがありそう。

 いつかはたくさんの種類の漫画を集めて、漫画会みたいなのも開きたい。


 そんな漫画トークで盛り上がっている中、少し離れた場所でシーラさんが立っているのが目に留まった。

 美香さん以上に話についていけていない様子であり、このまま漫画トークをしていたら退屈させてしまうため……そろそろクリスマスパーティーに移ろう。


「――っと、漫画の話で盛り上がってしまいましたが、今日の本題はクリスマスパーティーでした。全員揃いましたので、早速行いましょう」

「いいね! やろやろ! ……ちなみにだけど、クリスマスパーティーって何をやるの?」

「一応、食事とデザートは用意してあります。あとは、ボードゲームなんかも買ってありますね」

「お、ボードゲームは面白そう。ご飯食べてから、みんなでボードゲームをやろうぜ」

「なんかワクワクしてきた!」


 結構無理やりだったけど、クリスマスパーティーの方向に持って行くことに成功。

 事前に準備していた料理を運んで、早速始めるとしよう。


 ちなみに今回作った料理は、前回も作った唐揚げとピザ。

 それからエビピラフと特製豚汁。


 豚汁だけはちょっと趣旨からズレている感じがあったが、私が飲みたかったので無理やりねじ込ませてもらった。

 それとデザートは、前々から決めていたプリンとバニラアイス。


 フライドチキンとケーキを用意したかった気持ちはあったが、今回は唐揚げとプリン&バニラアイスで我慢してもらうしかない。

 出来については申し分ないため、恐らく喜んではもらえる……はず。



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