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第49話 お荷物


 ダンジョン攻略後、ダンジョン街の美味しいとされる料理屋を紹介してもらい、蓮さん達と一緒に晩ご飯を頂いた。

 美味しいといっても、あくまでこの世界の中では――という枕詞がつくため、まだマシといったぐらいの味。


 そして、ダンジョン街の宿に泊まり、迎えたダンジョン攻略二日目。

 今日からは蓮さん達の案内はなく、私達だけで攻略しないといけない。

 不安は大きいけど……シーラさんがいれば、なんとかなる気がしている。


「シーラさん、おはようございます。今日からは負担が大きくなると思いますが、よろしくお願いします」

「こちらこそよろしくお願いします。安全第一に行きましょうね」


 そんな挨拶を済ませてから、私達はダンジョンへと向かった。

 今回の目標は魔力塊を集めることと、この世界の通過を稼ぐためにドロップアイテムの回収。


 『命を大事に』の精神で、ダンジョンへと足を踏み入れた。

 陣形はマッシュが右でライムが左。


 そして先頭をシーラさんが進み、私は真ん中で守られる形となっている。

 昨日に比べて両翼が不安だけど、ちゃんと守ってくれる……はず。


 シーラさんの案内でダンジョンを進んでいき、会敵した魔物はシーラさんが基本的に討伐。

 複数体現れた時だけ、ライムとマッシュが戦闘に参加し、数的不利を作らせないように立ち回っているお陰で今のところ苦戦すらしていない。


 特にライムは想像以上の働きを見せてくれており、このダンジョンという薄暗い場所と、姿を周囲に溶け込ませる戦い方の相性が非常に良い。

 向き合った状態で戦闘が始まっても、あっという間に背後を突き、瞬殺するというシーンばかり。


 模擬戦とは違って、本気で殺しにいけるということも相俟って、ライムの真価が発揮されている。

 丸飲みで倒せてしまうのが特に恐ろしく、自分よりも大きな相手に対しても丸飲みできるため、本当に今のところは敵なし状態。


「少し心配していたのですが、昨日と同じぐらい快適に進めていますね」

「ライムが予想以上に戦えているのが大きいです。マッシュも頑張ってくれていますし、十階層までなら問題なく進めますね。……私も負けていられません」


 予想以上の活躍を見せているライムに対抗心を燃やしたようで、好戦的な笑みを見せている。

 私も何かしたいのだけど……やればやるほど迷惑になるだけなので大人しくしておく。


 一番迷惑なのは、やる気のある無能。

 自分にそう言い聞かせて、十階層を目指して歩を進めた。



 昨日よりは進むペースは遅かったものの、誰一人怪我することなく十階層に辿り着くことができた。

 とにかくシーラさんとライムが凄く、競い合うように魔物を討伐している状態。


 シーラさんが乗ってくるにつれ、段々とマッシュは私の側を歩くようになり、先頭を進むシーラさんとライムを、私とマッシュで観察するような形となっていた。

 模擬戦でも片鱗は見せていたけど、今回のダンジョン攻略で、スライムは弱いというイメージをライムに完璧に壊されてしまった。


「ふー、十階層に到着ですね。佐藤さん、ミノタウロスはどうしますか?」

「止めておきましょう。ライムが予想以上の強さを見せてくれましたが、ミノタウロスとは相性が悪いと思いますので。なるべく危険は避けたいです」

「分かりました。そういうことでしたら、戻るとしましょうか。モンスタールームは帰り道に急に現れる――なんてことが多々あるみたいなので、気をつけて帰りましょうね」


 緩んだ気を引き締め直すために言ってくれたであろう、シーラさんの何気ない一言。

 そんな言葉のフラグを回収するように、先程通ったばかりの九階層にモンスタールームができていた。


 ローグライク系のゲームみたいに、フロアに入った瞬間にモンスタールームと判明する――とかではなく、遠目からでも大量の魔物がフロア内にひしめき合っているのが見えているのが唯一の救い。

 ただ、あそこを通らないと下の階層には降りれないため、モンスタールームを抜けないといけない。


「佐藤さん、困りましたね。あそこは避けられません」

「本当にどういった原理なんでしょうかね? さっき通ったばかりのはずなんですが」

「ダンジョン内に巡っている魔力の関係で、一気に大量の魔物が生まれるらしいですよ。……と、モンスタールームの原理は置いておいて、どうしましょうか? 他の冒険者が来るまで待機するというのが一番安全ではあります」

「他人任せ――ですか。ちなみにですが、シーラさんはモンスタールームの魔物を倒せると思いますか?」

「ええ。ライムもいますし、マッシュも戦えますので倒せると思います」

「……なら、私たちが倒しましょう」


 シーラさんが提案した通り、他の冒険者に任せるのが一番安全ではある。

 ただ、私達の目の前でやられてしまった場合、後悔しか残らないし一生引きずってしまうと判断した。


 戦えない私が取る選択ではないと思いはするけど、後悔する選択は選びたくない。

 強い決心を持ち、軽く作戦を考えてから魔物でいっぱいのフロアへと近づいていった。


 フロア内にいる魔物は、ファングディアやゴブリン、それからヴァンパイアバットといった下級の魔物。

 ただし、数がいるため決して油断はできない。


 慎重且つスピーディに魔物を狩るべく、シーラさんが目立つような動きを取って注意を集め、隠密行動を取っているライムが的確に一匹ずつ狩る作戦に出た。

 マッシュはシーラさんのサポートに回り、私は邪魔をしないように少し離れて待機。


 知能も高くない魔物相手には単純な作戦がバッチリ刺さったようで、背後からライムが数を削っている間に、正面からシーラさんとマッシュが大暴れし――十数匹固まっていた魔物がみるみるうちに減っていっている。

 そして、想像していたよりも何倍も楽に、モンスタールームの魔物を一掃することに成功した。


「シーラさんもライムもマッシュも完璧です! 本当に強いですね!」

「佐藤さんもナイス指示でした。このまま気を抜かずに脱出を目指しましょう」


 それからは特に何も起こらないまま、私達は無事にダンジョンからの脱出に成功。

 マッシュとは一瞬分かり合えた気がしたけど、モンスタールームでの戦いっぷりを見る限りは、やはりパーティでのお荷物は私だけ。


 そのことに若干の申し訳なさを抱えつつも、無事にダンジョン攻略できたことが一番大事。

 私は私にできることを精一杯行い、この冬季のダンジョン攻略期間はみんなの戦いをサポートすることに注力するとしよう。



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