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第44話 和気あいあい


 さて、勢い的にもあっという間になくなってしまいそうだし、追加でもう二枚ほど焼こうかな。

 生地の材料はまだ余っているし、チーズだけ買えばまだ作ることができる。


 私は急いでキッチンに戻り、手早く追加のピザを焼き始めた。

 結果として、三枚の大きなピザを作ったのだが、余ることなく綺麗に食べきってしまった。


 三枚目にしてようやく私も口にしたのだが、チーズをケチらなかったからか、お店で出されてもおかしくないクオリティに仕上がっていた。

 意外と安価で作ることができたし、また大人数が集まったときは作ってもいいかもしれない。


「はぁー……死んでもいいくらい大満足。佐藤さん、マジでありがとう」

「こんな美味しいピザが食べられるとはおもっていなかったよ! 佐藤には本当に頭が上がらない!」

「ですね。私は本当に涙が溢れてきましたから」

「流石に涙は大袈裟だろ――って言いたいけど、ガチで涙が出るぐらい美味しかった! 佐藤さんは俺達の恩人だ!」


 将司さんは私の手を握ると、両手をぶんぶんと激しく振り始めた。

 若くて見た目も派手な感じがしていたから、最初は苦手な部類かと思っていたけど、蓮さん達は全員が人懐っこいし接しやすい。

 見た目で判断するのは何事もよくないな。


「気にしないで大丈夫ですよ。私達は同じ転移者ですし、お互いに助け合う良い関係を築きたいですから」

「助け合う関係……か。美香の件もあったし、今のところは助けられてばかりだ」

「私が言うのは変だと思うけど、確かに助けられてばっかだね! 何かお返ししたいんだけど……佐藤はこの世界のお金とかいらないの?」

「多少は欲しいですが、お金は自分で稼いでみたいって気持ちがありますからね。蓮さん達には魔力塊を頂きましたし、win-winの関係を築けていると思いますよ」

「魔力塊と泣けるほど美味しいピザでは釣り合わないと思いますけどね。何かお返しがしたいです」


 私はある程度の魔力塊と四人が無事でいてくれればいいのだけど、蓮さん達は納得がいっていない様子。

 でも、他に欲しいものは特にないからなぁ。

 私が少し考えていると、隣に座っていたシーラさんが肩を叩いてきた。


「……冬の時期に何かやれることがないかを尋ねてみるのはいかがでしょうか?」


 そんなシーラさんの助言に、ふとダンジョン攻略をしたいと考えていたことを思い出した。

 シーラさんが戦えるといっても、ダンジョンを攻略したことはないはずだし、確かに蓮さん達にお願いするのがいいかもしれない。


「あの……それでは一つお願いがあるのですが、私達にダンジョンを案内してもらえませんか? これから雪が降るようで、雪が降っている間は農業を行えなくて暇になるので、ダンジョンに行ってみようかなと考えていたところなんです。ですので、蓮さん達に案内してもらえたら嬉しいな、と」

「もちろん。俺達でいいなら案内させてもらう」

「そちらの方面は得意分野ですからね。ダンジョンでしたら、ほとんど毎日通っていますので案内できますよ」

「ありがとうございます。そういうことでしたら、是非案内して頂けたら嬉しいです」


 快諾してくれて良かった。

 魔王討伐の邪魔にならないかが唯一の懸念点だけど、一日だけなら大丈夫だろう。


「……佐藤さん、ダンジョンの攻略なんて考えていたんですね」

「ええ。攻略ってほどでもありませんが、毎年冬だけダンジョンに行こうかなと今のところは考えています。戦闘面での一年の成長が実感できると思いますから」

「なるほど。面白い試みだと思います。作物を育てられないと聞いてから冬が億劫でしたが……私もワクワクしてきました」


 ひそひそ声ながらもシーラさんの目は輝いており、やはり戦闘が好きということが分かる。

 私が戦えないし動けないため、今年は低階層でまごまごするだけになりそうなのが少しだけ申し訳ない。


「そっか。こっちにも冬があるんだ! ……ということは、冬の間は日本の料理が食べられないの!?」

「そういうことになりますね。農業で得た収入でしか、日本の食材を得ることができませんので。ただ、貯金はしてありますので、冬の期間でも一度くらいは今回のような会を開くことができると思います」

「この味を知って一回だけなのは寂しいけど、一回だけでもモチベーションが違いすぎるよな!」

「ならさ、クリスマスパーティーをしない? クリスマスって概念があるか分からないけどさ!」


 クリスマスパーティ……凄く懐かしい響きだ。

 高校に通っていた頃は辛うじてクリスマスにパーティーのようなものをやっていたような気がするけど、大学に行ってからは確実にやっていない。


 社会人になってからは以ての外で、クリスマスだろうが年の瀬だろうがお構いなしに働いていた。

 懐かしさと共に、少し悲しくなってくる。


「クリスマスってことはクリスマスケーキ!? うわぁ! 甘いのめちゃくちゃ食べたい!」

「いやいや、流石にケーキなんか作れないだろ。佐藤さんの負担が大きすぎる」

「確かにクリスマスケーキは難しいですが、バニラアイスかプリンなら作れると思いますよ」

「アイスかプリン……。どちらも魅力的すぎますね。佐藤さん次第ですが、私はクリスマスパーティーをやりたいです」


 蓮さん達は乗り気であり、楽しそうだから私もまんざらではない。

 シーラさんだけはどの単語もピンと来ていないようで、ぽかーんとしながら首を傾げている。


「シーラさんには後で説明するとして、とりあえずクリスマスパーティをやりましょうか。詳しい日にちは追って連絡しますね」

「やったー! 佐藤は私達の救世主だ!」

「本当にな。ピザをご馳走してもらった後に、こんな楽しそうな催し物を開催してくれるなんて神様。ダンジョンは任せてほしい」

「はい。その時が来たらよろしくお願いします」


 そこからは楽しくみんなで談笑会を行った。

 基本的には蓮さん達の話で、転移してから今日までの動きを事細かに話してもらった。


 どうやら今は力をつける期間らしく、冒険者と同じ依頼をこなしたりダンジョンの攻略に励んでいるらしい。

 美香さんはそんな鍛錬の日々に耐えられず、逃げ出しちゃったみたいだけど、今は上手く折り合いをつけてやれているそう。


 ちなみに適性職業やスキルについても教えてもらうこともでき、聞いた限りでは中々個性的で面白い能力だった。

 今度、正式に模擬戦大会をやることになったため、そこで蓮さん達の能力も実際に見ることができると思う。

 

 唐突な来訪ではあったがとにかく楽しい一日だったし、ダンジョンの案内に模擬戦大会。

 それからクリスマスパーティーの約束もしたし、今日は有意義な時間を送ることができた。



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