表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

442/488

第426話 古風な本屋さん


 本屋の店内は窓から日が差しており、ツタで覆われている影響か、日の差し方が非常に幻想的。

 並んでいる本の古さもあって、味のあるお店だ。


 そんな本屋さんの勘定場の奥には、揺りかごのようになっている椅子に座りながら、本を読んでいるお爺さんがいる。

 まだお店に入ったばかりだけど、もう既に雰囲気が好き。


「マシューさん、遊びに来た」

「……ん? おお、ファウスティナかのう?」

「違う。ミラグロス」

「ああ、すまんかった。ミラグロスじゃったか。最近似てきておったから分からんかった」


 マシューさんと呼ばれたお爺さんは、名前を間違えたミラグロスさんに謝罪しつつ、読んでいた本を机の上に置いてから、ゆっくりとこちらへと歩いてきた。

 マシューさんも人魔族のようで、優しそうな人間の容姿に、一本だけ角が生えている。


「それで、そちらの方たちは誰なんじゃ? 会ったことは……ないよのう?」

「ん、ない。佐藤さんとシーラ。二人とも人間」

「人間――じゃと!?」


 ここまで穏やかな笑顔を浮かべていたマシューさんだったけど、私たちが人間だと知るや否や、表情をあからさまに強張らせた。

 お年寄りの方が偏見が強いイメージがあるし、もしかしたらマシューさんは人間嫌いなのかもしれない。


「は、はじめまして。ミラグロスさんの友人の佐藤と言います」

「佐藤さんに仕えているシーラと申します」

「ワシはマシューじゃ。それで――お主らは本当に人間なのかのう?」

「はい、人間です。マシューさんは人間が嫌いではありませんか? 嫌いなようであれば、すぐに出ていきますので言ってください」


 不快な思いをさせないため、そう付け足したんだけど……。

 マシューさんはお年寄りとは思えないほど、首を激しく横に振った。


「ワシが人間を嫌いなわけないじゃろう。本で人間についての知識があったこともあって、死ぬ前に一度は会ってみたいと思っておったんじゃ。色々な話も聞きたいから、来てくれて光栄じゃよ」

「それなら良かったです。私も魔族の本には興味があったので、歓迎してもらえて嬉しいです」


 嫌われているどころか、興味を持たれているようで一安心。

 冷静に考えれば、ミラグロスさんが人間嫌いの魔族のお店を紹介するはずがないか。


「マシューさん。ちなみに佐藤さんはただの人間じゃない」

「ただの人間ではないじゃと? もしやエルフやドワーフといった亜人種なのか!?」

「んーん、違う。もっと珍しい。実は……異世界からやってきた転移者」

「い、異世界人じゃと! そ、そんな生物、本当に存在しておったのか!?」

「ん、間違いない。食糧難が解決の方向に進んでいるのは佐藤さんのお陰。異世界の作物のお陰で、魔王の領土でも農業ができるようになった」

「最近の食料流通にはそんな背景があったのか! なぜもっと早くワシに言ってくれなかったのじゃ!」

「……ん? 聞かれなかったから?」


 本を読んでいた時の穏やかな様子はどこへやら。

 マシューさんは興奮し過ぎて、顔が真っ赤になってしまっている。


「店に遊びに来てくれたのにすまんのう。佐藤さん、ワシに色々と教えてほしい。きっちりと対価は支払わせてもらう」

「対価なんかいりませんよ。私も魔族のことについてはお聞きしたいので、お互いに質問し合いましょう」


 ということで、並んでいる本をそっちのけで質疑応答が始まった。

 マシューさんは憧れの者を見るような視線で、私に色々と質問をしてきてくれた。


 お爺さんなはずなんだけど、子供と話している感覚になるくらい、キラキラとした目で話してくれている。

 特に異世界のことについては驚きの連続だったようで、倒れてしまわないか心配になるくらい興奮しっぱなしだった。


「す、凄すぎる……! 本当なのか疑ってしまうような話ばかりだった。嘘にしては具体的じゃったし……でも、本当ならばあまりにも夢のような世界じゃ!」

「私もこの世界が夢のような場所なので、マシューさんの気持ちはよく分かります」

「佐藤さん。異世界のものは持ってきてないの? よかったら、マシューさんに何か見せてあげてほしい」


 ミラグロスさんにそう言われ、ハッとする。

 確かに、ここまで好意的に思ってくれているわけだし、何かプレゼントしてあげてもいい。


 本屋さんの店主だし、プレゼントするなら漫画が1番良いのだろうか?

 NPは溜まっていないけど、漫画1冊ならプレゼントできるし、もしベルベットさんやローゼさんの漫画が完成した場合、この本屋さんにも置いてもらえるかもしれないからね。


「ちょっと待ってください。異世界の本がありますので、お渡しします」

「異世界の本じゃと? ……でも、こちらの世界の本とは何か違うのか?」


 首を傾げているマシューさんに対し、私は1巻で完結する漫画をプレゼントすることにした。

 1番のお気に入りは映像研究部の漫画だけど、ドラクエのキャラデザを担当した鳥山明先生の、砂漠の世界のファンタジー作品を渡すことにした。

 画集とも言えるクオリティだし、1巻で漫画の素晴らしさを伝えるには1番の漫画だ。


「こちらが異世界の漫画となります。1巻で完結していますので読みやすいと思いますよ」

「なんじゃこれは……! とんでもなく美麗な絵が描かれておる! 異世界はこんな本が売られておるのか!」

「読んだら更に驚くと思いますよ」

「――なんじゃこれは!? 表紙だけじゃなく、全ページが絵で描かれている本……!? 訳が分からない!」


 これまで漫画を見せてきた方たちの中で、トップクラスの反応を見せてくれたマシューさん。

 凄まじい集中力で漫画を読んでくれているし、気に入ってくれたみたいで良かった。

 お年を召しているし、漫画を毛嫌いされる可能性も考えていたけど、余計な心配だったみたいだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 画像をクリックすると、販売サイトに飛びます! ▼▼▼  
表紙絵
  ▲▲▲ 画像をクリックすると、販売サイトに飛びます! ▲▲▲ 
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ