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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第425話 ポーション


 アデリナさんからおすすめのポーションを聞いたところ、3つのポーションを勧めてもらった。

 1つ目は幸運のポーション。


 運を上昇させるポーションのようで、正直スピリチュアルっぽくて信じられない部分が大きい。

 とはいえ、ファンタジー世界なら運を上昇させる方法があってもおかしくないし、気になる1本。


 2つ目は水中呼吸のポーション。

 文字通り、水中で呼吸をしなくても良くなるポーションらしい。

 お宝の眠っている沈没船でもあるなら欲しい1本だけど……水中で長いこと活動する機会はなさそう。


 そして最後、3つ目は暗視のポーション。

 夜目が利くようになるみたいで、暗い場所でも問題なく見えるようになるとのこと。

 おすすめの3本の中では、1番実用的なのは間違いない。


「以上が変わったポーションの中ではおすすめかなー? 気になったポーションはあった?」

「3本とも気にはなりましたが……一番欲しいと思ったのは幸運のポーションかもしれません」

「おー! センスがいいねぇ! ゲン担ぎで飲むのをおすすめするよ! ……ただ、一切のクレームは受け付けていないからね」


 最後の一言がさらに怪しさを増幅させているけど、一番気になったのは幸運のポーション。

 実用的なのは暗視のポーションなのは間違いないけど、せっかくなら面白いものを買いたいからね。


「ん。なら、幸運のポーションを1本売って」

「え? ミラグロス、1本だけでいいの? 今なら激運のポーションもあるけど。恩人なら奮発した方がいいんじゃない?」

「……むむ。なら、激運のポーション1本と、幸運のポーション3本」

「いやいや、幸運のポーション1本だけで大丈夫ですよ。効果についても半信半疑ですし」

「佐藤さんは遠慮しちゃ駄目だよ! ミラグロスが買うって言ったんだからね! それじゃまいどありー!」


 半ば強引に購入させられた感は否めないが、ミラグロスさんも納得している様子。

 それなら、似たような効果のポーションではなく、幸運、水中呼吸、暗視の3本が欲しかったけど……さすがに口にはできない。


「ミラグロスさん、買わせてしまって申し訳ありません。至れり尽くせりで、ありがとうございます」

「いいの。そんなに高くなかったし、アデリナもまけてくれた」

「それにしてもアデリナさん、あの若さで錬金術師って凄いですね。商売上手でもありましたし」

「魔族の中でも珍しい。普通は下積みが20年くらい必要だから」

「そんなに経験が必要なんですか?」

「ん。錬金術は知識と技術、それから経験がものを言う。なのに、若くして活躍しているからアデリナは天才って言われてる」


 性格も髪色も明るかったし、雰囲気は天才っぽくなかったけど凄い方だったんだ。

 面白いお店だったし、幸運のポーションの効果次第ではまた来たい場所。


「それにしても、魔族が営むお店も人間と同じなんですね。当たり前なのかもしれませんが、何も知らなかったので新鮮でした」

「……言われてみれば、本当に似ていますもんね。アデリナさんは私たちが人間だと、言われるまで気づかなかったぐらいですし」

「ん。接点持つまで私も知らなかったけど、似ている部分は本当に多い。それこそ、獣魔族や妖魔族の方が遠いと思う」

「なんというか、ふと思ったんですが……人間と魔族で争いたくないですし、争ってほしくないですね」

「私も同じ気持ち。魔王も人魔族だし、分かり合えればいいんだけどね」


 こうしてティルガンシアへやってきて、本心からそう思った。

 争いが起こったとなったら、第一線で戦うのが蓮さんたちの可能性が高いというのも、この複雑な感情の要素の大部分になっている。


 もちろん、魔王が人間の領土を欲して攻撃を仕掛けてくるのであれば、争いは避けられないだろうけど……。

 もしティルガンシアのように、食料難から仕方なく争いを起こそうとしているのであれば、私が防ぐことができるかもしれない。

 魔王と戦うため、転移してきてから頑張っていた蓮さんたちには申し訳ないけども。


「……なんか佐藤さん、難しい顔をしている」

「え? そうでしたか? つい考え込んでしまって、難しい表情になってしまっていたかもしれません」

「ふふ、佐藤さんはたまにあるんですよね。良くも悪くも表情に出やすいですから」


 確かに、シーラさんにはよく指摘される。

 気を付けようとは毎回思うんだけど、無意識でやってしまうからなぁ。


「あ、そうこう話している内に着いた。ここが次のお店」


 そう言いながら指さしたお店は、かなり変わった外観のお店。

 壁にビッシリとツタが生えており、甲子園球場のような感じになっている。


「ここも外観からでは何のお店か分からないですね。ミラグロスさん、ここはどんなお店なんですか?」

「入ったら分かる」


 先ほどと同じようなやり取りを交わしつつ、ツタの生えたお店の中へと入った。

 お店の中に並んでいたのは大量の本。

 どうやらここは本屋さんのようだ。


「本屋さんですか? 凄い数の本ですね」

「ん。私は文字の本にはあまり興味ないんだけど、佐藤さんは好きなのかなと思って来た」


 本音を言うと、本は日本にいた頃はあまり読んでこなかった。

 とはいえ、異世界の――それも魔族の本となれば非常に興味がある。

 私個人としても気になるし、ベルベットさんやローゼさんの創作の参考になり得るから、面白い資料のようなものがあれば買っていきたいな。



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