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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第415話 生地


 巨人族の村はかなり原始的な雰囲気で、雑な造りの建物がちらほらと見受けられる。

 とはいえ、サイズはやはり一回り大きく、歩いているだけで少しワクワクしてしまう。


「やっぱり建物自体が大きいですね。違和感がすごいです」

「ぬっふっふ! そうなのじゃ! ……ただ、大きいこと以外は面白味がないのが難点なのじゃ!」

「いえいえ、そんなことありませんからね。巨人族特有のお店もありますから」

「そうなんですか? どんなお店があるんでしょうか?」

「この先に見えてくるんですが……あのお店です」


 アシュロスさんが指さした先にあったのは、さまざまな布地が並ぶ店だった。

 シンプルなものからカラフルなものまで、実に豊富な種類の生地が並んでいる。


「生地屋さんですか? 複数店あるってことは、巨人族の村は生地が有名なんでしょうか?」

「そうですね。男性は戦って、女性が生地を作るというのが巨人族では一般的なようです。中には戦う女性もいるようですが」

「カラフルで綺麗だけど、面白くはないのじゃ! 布なんていらないしのう!」

「そんなことはありませんよ。質も良さそうですし、私はかなり興味深いです」


 娯楽と同じく、この世界は危険ゆえにお洒落にもやや疎い気がする。

 もちろん、ベルベットさんやローゼさんのドレスはお洒落だけど、洋服の種類は少ないからね。


 まあ、ファンタジー世界といえばこんなイメージだし、これはこれでいいのかもしれないが……。

 ある程度のパンツの種類や、いろいろな柄のTシャツ、それから着心地の良い服は欲しいと思ってしまう。


「佐藤って意外とオシャレを気にするんじゃな! 興味ないのかと思っておったのじゃ!」

「どちらかといえば興味がない寄りではありますが、着心地の良い服は積極的に着たいですね」

「……私も気になります。布を買えば、可愛い服を作れるのかな?」


 可愛い服を作れるかどうかまでは分からない。

 とはいえ、ロッゾさんやシッドさんあたりなら作ってくれそうな気もする。

 仮装パーティーのコスプレも、毎回すごいクオリティだしね。


「何点かは購入していきたいです。ヤトさんは服に興味はないんですか?」

「ないのじゃ! 着られれば何でもいいからのう!」

「アシュロスさんはどうですか?」

「私は興味があります。とはいっても、性能重視になってしまいますが」


 服を性能で見るのは、日本ではなかなかない発想だと思う。

 ヤトさんは興味がないらしいけど、ついてきてくれるようなので、四人で生地屋さんへ行くことにした。


「すみません。誰かいますか?」


 店内には誰も見えなかったため、声をかけると、奥からこちらへ向かう足音が聞こえてきた。

 出てきたのは、黒髪パーマの強そうな女性。


 どことなく“大阪のおばちゃん”味を感じる方だが、彼女も非常に背が高い。

 180センチは超えていそうで、見上げる形になってしまう。


「ん? なんだい! 男どもなら広間にいるよ!」

「い、いえ。こちらの生地を買わせてもらいたくて来たのですが、大丈夫でしょうか?」

「お客さんだったのかい! ますます珍しいね! もちろん、ここにある生地は全部売り物さ! 一体何が欲しいんだい?」


 私が男性と知って鬱陶しそうにしていたのに、客だと分かるや否や商売スイッチをパチンと入れる店員さん。


「まず、どんな生地があるのかと、何で購入できるのかを教えてほしいです」

「生地の種類は麻と絹の2種類! お金じゃなくて、物々交換でお願いしたいね!」

「ぶ、物々交換ですか?」

「ああ、そうさ! ほかの亜人との交流はほとんどないから、お金をもらっても困るんだよ! 何か交換できそうなものは持ってるかい?」


 まさかの物々交換に、軽くパニックになる。

 今回は何も持ってきていないし、交換するとなったらNPを消費して、その場で交換材料になりそうな品を調達するしかない。


 ……けど、ご存じのとおり、年始にNPをほとんど使い切ってしまったのだ。

 少しは溜まっているけど、とても交換材料になり得る品は用意できない。


「すみません。まさか物々交換だとは思っておらず、今回は何も持ってきていないんです」

「あー、それは残念だね! また次来た時は持ってき――」

「おーい! ジュンヒ、ちょっと待てー! その方たちは大事な客人だ! 勝手に帰らせるな!」


 門前払いを食らいかけて落ち込んでいたところ、後ろからゴさんが走ってやって来た。

 どうやら広間での挨拶を終えて、私たちを探しに来てくれたらしい。


「ん? なんだい! ゴ村長の知り合いだったのかい!」

「そうだ! しかも大事な客人だ! 代わりの物なら俺が出すから、見させてくれ!」

「それならもちろん構わないよ! 好きなだけ見ていってちょうだい!」


 ジュンヒと呼ばれたパーマの店員さんは、息を切らして膝に手をついたゴさんの背をパチンと叩くと、店の奥へ戻っていった。

 勝手に広間を抜け出し、勝手に生地屋さんに来て、迷惑をかける――我ながらとんでもない客人だ。


 ヤトさんについてきただけ、と言えばまあそうなのだけど……。

 生地屋さんに行きたいと言い出したのは私だし、ゴさんにはしっかり感謝しないといけないな。



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