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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第412話 荒い飛行


 すぐに身支度を整え、みんなに見送られながら出発する。

 エデルギウス山へ向かったときにドレイクさんの背に乗って空の旅はしたものの、ヤトさんだと途端に不安になってくる。


「佐藤さん、気をつけて行ってきてくださいね」

「マスター、巨人族のお土産をもらってきてください」

「あっ、僕も欲しいです! 大きい剣とかあるんですかね?」

「あるかどうか分かりませんが、あったら買ってきますね」

「ヤトさん、くれぐれも安全第一でお願いします。佐藤さんに何かあったら……許しませんからね」

「分かっておるのじゃ! シーラは怖いのじゃ!」


 作業を中断して見送りに来てくれた3人に挨拶を済ませ、私はドラゴンの形態になったヤトさんの背に乗る。

 ドレイクさんは飛竜といった感じだったけど、ヤトさんは完全なドラゴンだ。


 背中に乗る前は不安しかなかったが、こうして乗ってみると不安は一気になくなる。

 やはり龍人と龍とでは、明確な違いがあるのだと思う。


「あれ? ローゼさんとアシュロスさんはヤトさんに乗らないんですか?」


 私だけがヤトさんの背に乗り、2人がそれぞれ離れていくのを見て疑問に思い、声を掛ける。

 サイズ的には3人でも問題なく乗れそうで、てっきりアシュロスさんとローゼさんも一緒に乗るのかと思っていた。


「お嬢様の背中が嫌というよりは、自分で飛びたいって感じですね」

「……ヤトは飛行が荒いから嫌。というか、飛ぶのが下手くそ」

「なんじゃと!? ローゼにはわらわの飛行テクニックが分からんだけじゃ!」


 アシュロスさんはオブラートに包んでいたものの、ローゼさんはばっさり切り捨てた。

 とはいえ、背中の大きさで安心していたのに、再び不安な気持ちになってきた。

 ……本当に大丈夫だろうか。


「それじゃ出発するのじゃ! 佐藤はしっかりとつかまるんじゃぞ!」

「ちょ、ちょっと待ってください! 私もやっぱりアシュロスさんのほう――」


 そこまで言いかけたが、私の言葉を聞き入れることなく、ヤトさんは勢いよく飛び立った。

 とにかく初速が速く、本気でつかまっていなかったら振り落とされていた速度だ。


 心臓がギューッとなるのを感じるものの、飛び立ってしまった以上どうしようもない。

 とにかく振り落とされないよう、私は必死にしがみつき、目的地に到着するまでひたすら耐える。


 優雅な空の旅の要素は一切なく、少しでも下手を打てば死んでしまう究極のジェットコースター。

 鬼の形相になりながらも、必死に食らいついていると、ヤトさんはいきなり急停止した。


「や、ヤトさん! ちょっと速すぎますって! それに、止まるときももっとゆっくり止まってください!」

「ぬっはっはっ! 佐藤は元気なのじゃ! それよりも、見てみるのじゃ! あの辺りが巨人族の村なんじゃが……騒がしくないかのう?」


 ヤトさんが顎で示した方向に視線を向けると、たしかに村のような場所があった。

 そして、何かしら問題が起こっていることが、この位置からでも分かる。


「確かに、何か問題が起こっていそうですね。リザードマンとの争いが始まってしまったんでしょうか?」

「……むむむ! だとしたら、近づきたくないのじゃ。リザードマンは凶暴じゃからな!」


 なんとなくだけど、リザードマンは龍種の下位存在というイメージがある。

 ヤトさんが行けば治められると思ってしまうんだけど……駄目なんだろうか?


「ヤトさんが行っても駄目なんですか? なんとなくですけど、ヤトさんが行けば落ち着くと思ってしまいます」

「まーったく落ち着かん! 一度、ゴの奴に頼まれて治めようとしたんじゃが、話を聞くどころかいきなり襲いかかってきたのじゃ! 数は多いわ、話は通じんわで本当に大変だったのじゃ!」


 ドラゴンの状態でありながらも、可愛らしく話すヤトさん。

 話が本当なら相当に困難だったとしか言いようがないけど……さっきの無茶苦茶な飛行もあって、少し胸がスッとしていることは内緒。


 とはいえ、リザードマンは話が通じないタイプなのかぁ。

 凶暴そうだし、絶対に勝てないであろうヤトさんに挑むあたり、地球でいうコヨーテみたいな感じなのかもしれない。


 そう考えると厄介極まりないし、解決策を見つけるのは容易ではないと思う。

 まぁとりあえず、巨人族で起こっている問題の確認が先かな。

 まだリザードマンとの争いが起こったと決まったわけではないしね。



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