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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第410話 品評会


 スライムパーク内を案内してもらった日から日を改め、マッシュを通じてライムから話を聞いたところ――

 増えたスライムたちの多くは、冬の期間中にライムが仲間にしたらしい。


 あちこちの場所に行ってはスライムたちと戦い、傘下に加えてきたとのことで、昭和のヤンキーのようなノリで仲間を増やしているみたいだ。

 スライム王国でも作るのかという規模で増えているけど、まぁ今のところは問題なさそうだし、スライムパークは全面的にライムに任せたいと思う。


 そして今日は、スキルの畑で育てた作物の品評会。

 もっと早い段階で行うつもりだったのだが、1種類だけ育ちきるのに1週間かかってしまったため、この時点での品評会となった。


「それでは品評会を始めます。シーラさん、準備はいいですか?」

「はい。メモの準備はできていますので、いつでも大丈夫ですよ」


 シーラさんに確認を取ってから、私は作物の納品を進めていくことにした。

 品評会と銘打ってはいるものの、やることは売却額の確認と軽い味見だけ。


 それに味には期待できないため、基本的には売却額しか見るところがない。

 売れるかどうかだけを見る、なんとも嫌な品評会ではあるけど……あまり考えず、私はひたすら作物を売っていく。


「次はグリックニッチ。売却額は30NPです」

「あっ、意外といいかもしれません。成長速度も早めで、害虫や害獣に狙われにくい作物でしたよね?」

「そこまでは覚えていませんでした。覚えているのはすごいですね」


 まだ一度しか収穫していないため情報が頭に入っていない私に対し、シーラさんは完璧に記憶している。

 スペックの違いだけでなく、農業への向き合い方も違う気がする。


「私が覚えているので任せてください。どんどんどうぞ」


 手招きするシーラさんに促され、私はすべての作物の売却額を一通り伝えた。

 新しく育てた作物の中で最高の売却額は、育ちきるのに1週間かかったメルツユースという作物。


 売却額は100NPとずば抜けていたものの、育ちきるのが遅く、1回で1つしか収穫できないため、効率はあまりよくない。

 とはいえ、成長が遅いということは、収穫作業を省けるという意味でもある。


 遠出をする際にはメルツユースを植えておけば、1週間は水やりだけで済むのは大きな利点。

 しっかり覚えておきたい作物の1つだ。


「メルツユースで、今回育てた作物は以上ですね」

「かなりの収穫だったんじゃないでしょうか? 特にグリックニッチは、今後積極的に育てていくべきだと思います」

「ですね。収穫作業が増えて大変になるかもしれませんが、育てられる範囲で育てていきましょう」


 グリックニッチとメルツユースという合格点が見つかったところで、ひとまず品評会は終了。

 ここからは蛇足として、味見の時間に入っていく。


「それでは食べていきましょうか。料理はノーマンさんにお願いしますか?」

「いえ。前回はノーマンさんにお願いして、全部まずいという結果でしたから、今回は私たちで調理しましょう」


 実験的なことにノーマンさんの手を煩わせるのは申し訳ない。

 少しでも可能性がありそうなものだけ、料理人の方に調理してもらう流れでいいと思う。


「確かにそうですね。それでは私が軽く調理していきます」

「ちなみにですが、シーラさんが知っている作物はありますか?」

「すみません。どれも初めて聞くものばかりです。かなりマイナーなものか、他国で育てられているものでしょうね」


 シーラさんは料理好きで食材にも詳しいのに、そんなシーラさんをもってしても何も分からないのか。

 美味しければ流通しているはずだし、そもそも流通しているものも美味しくはない。


 期待感はゼロではないけど、食べないという選択がないのが悲しいところ。

 調理が終わるのを座って待っていると、さっそく1つ目の作物が到着した。


「お待たせしました。焼きグリックニッチです。味付けは塩こしょうのみですので、素材の味をお楽しみください」

「ありがとうございます。早速いただきますね」


 シーラさんに期待の眼差しで見つめられながら、私は焼きグリックニッチをぱくりと食べた。

 最初の数噛みはほとんど味がしなかったものの、やがて渋くて臭い、どろっとしたものが口の中に広がった。


「ふふっ。佐藤さん、どうしたんですか? すごい顔してますよ」

「ゔぇっ、な、なんだか……食べてはいけない味がします!」

「ふふふ、グリックニッチは駄目みたいですね。では次の作物にいきましょう」

「えっ? シーラさんは食べないんですか!?」


 私の言葉に返事をすることなく、シーラさんは次の作物の調理を始めてしまった。

 てっきり2人で食べるつもりだっただけに、このままだと味見役は私だけになりそうだ。


 この調子だと、美味しい作物は絶対にない気がするし、酷い目に遭うのも確定だ。

 ……とはいえ、シーラさんが笑顔で楽しそうなら、私としては本望かな。



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