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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第384話 戦友


 慌てて支配人を呼びに行った兵士たちが戻ってきた。

 後ろにはビシッとした服装の、かっこいいおじいさんの姿が見える。


 この方がコロッセウムの支配人だろうか?

 老人ながら背筋がピンと伸び、紳士という感じがしてすごく渋い。


「ブライアント、久しぶりじゃのう」

「ふっ。ガロの名を騙る馬鹿かと思いきや、本当にガロの馬鹿が来おったのか。どこかでくたばったのかと思っていたぞ」

「まだまだ死なんわい。ブライアントも元気そうじゃな」

「おう、アールジャックの勇姿を見届けるまでは死ねんわい」

「ふぉっふぉっ、ブライアントが惚れ込む闘士が現れたんじゃな」


 二人ともニヤリと笑いながら小言を言い合い、固い握手を交わした。

 ガロさんとジョルジュさんの“幼なじみ”感とは違い、まさに戦友といった雰囲気だ。


「アールジャックはすべてにおいて規格外だからな。ガロが作った技巧派闘士のブームを終わらせてくれた」

「ワシのせいにするな。真似した奴らのせいじゃろ」


 闘士のスタイルにもブームがあるらしい。

 技巧派がチャンピオンだと技巧派が増え、本格派がチャンピオンだと本格派が増える――そんな感じなのだろう。

 本格派は野球になぞらえただけで、“本格派”と呼ぶのかは分からないけど。


「それはそうなんだが、最多チャンピオンが技巧派なら、技巧派のほうが優れていると思っても仕方がない。私は力と力がぶつかる試合が好きだったから、ブームを作ったガロが嫌いじゃったわ」

「分かっとらんな。パワーだけの奴を技術で倒すのが至高なんじゃ」

「分かっていないのはガロのほうだ。研鑽して磨いた技術を、生まれ持ったパワーのみでねじ伏せるのが至高なんだろうが」

「まぁブライアントが何を言おうと、ワシが最多優勝じゃからな。ふぉっふぉっふぉ」


 バチバチににらみ合いながら、どちらが優れているかを言い争っている。

 現役だった頃もこんな感じでやり合い、技巧派の優位をガロさんが実績で示してきたということなのだろう。


「ガロが愉悦に浸っていられるのも今のうちだけだぞ。さっきも言ったが、アールジャックというとんでもないのが出てきおった。今のところ大会3連覇中。まだ若いし、ガロの最多優勝を塗り替えるのも時間の問題だ」

「ワシの記録を塗り替えるなんてありえん。パワー型は消耗も激しいからのう。移り変わりも早い」

「アールジャックはそんじょそこらの闘士とは違うからな。くっくっく、引退した身だから指をくわえて見守るしかないぞ」


 立場的には圧倒的にガロさんのほうが有利なはずなのに、いい具合に煽られている。

 スタイルウォーズを見ているのは面白いけど、そろそろ蚊帳の中に入れてほしい。


「あ、あの……まず紹介をしてもらえませんか?」

「ん? お主らは誰だ? ガロの護衛じゃなかったのか?」

「ワシに護衛なんかいらんわ。友人の佐藤さんと、その仲間のジョエル。それから従魔のライムとマッシュじゃ」

「珍しい名前だな。いや、それよりも従魔か! ガロの友人なだけあって、なかなか珍しい一行だ」


 私というよりも、ライムとマッシュに興味津々な支配人さん。

 ベルベットさんが言っていた通り、ギナワノスは従魔に寛容だが、他の人が魔物を従えている場面はまだ見ていない。

 やはり従魔は珍しいんだと思う。


「これこれ、あまり近づくんでない。ブライアントは狂気じみとるからのう」

「どこがだ! 珍しいから近くで見ていただけだろう。それで……今さら聞くが、今日は何しに来たんだ?」


 長々とやり取りしてしまい、本題に入るまでが長かった。


「目的は特にないのう。コロッセウムを見て回りたいということじゃったから、お主に許可をもらって案内しようと思っておったんじゃ」

「そうだったのか。ガロの友人なら、見ていってもらって構わん。ただし、すでに武闘大会に出場する闘士の何名かは中におる。くれぐれも迷惑だけはかけんでくれ」

「当たり前じゃ。ワシも元闘士じゃったから、それくらいの分別はついとる」

「よく言うわ。闘士時代に酒絡みで散々暴れ回って、他の闘士と揉めておっただろう。ガロが2連覇どまりなのは、それが原因だからな」

「そんな昔のことは覚えておらん」


 ガロさんは覚えていないと言うけれど、私を助けてくれたときのことを考えると、いろいろ首を突っ込んできたのは分かる。

 ただ、基本的には巻き込まれた形だと思うし、不運だったんじゃないかな。


「とりあえず、闘士に迷惑をかけるんじゃないぞ。いくらガロといっても、今回の記念大会にケチをつけたら出禁もいとわんからな」

「分かっておる。それじゃ、見させてもらうからのう」


 ここで一段落ついたので、先へ進むガロさんの後を追おうとしたところ、支配人さんに呼び止められた。


「おう。佐藤さんとやら、時間があるときにガロ抜きで顔を出してくれ。いろいろ話したいことがある」

「私に話ですか? ……分かりました。時間があるときに訪ねさせていただきます」

「おう。待っておる」


 話の内容は分からないけれど、ガロさん抜きというのは少しだけ怖い。

 まあ、悪い話ではない……はず。



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