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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第356話 仲間


 ヴェレスさんの強さを確かめてから4日が経過した。

 今日は料理大会が行われ、明日は仮装パーティーが開催される。


 アンデッド軍団による襲撃もあったわけだし、開催を見送ることも考えたんだけど……この日に合わせて休みを取ってくれた方も大勢いるため、開催することに決めた。

 被害は一切出ていないし、危険だからと言うのなら、むしろみんなを呼んだ方が安全になることは間違いないからね。

 身内だけのイベントだけど、今回もサムさんに協力してもらっているし、ちゃんとした催しになるのは間違いない。


 そして……襲撃のあった翌日から姿を見せなくなったライムとマッシュについてだけど、どうやらライムが修行の旅に出ると言い出したらしい。

 ヴェレスさんに衝撃を受けると同時に、「もっと強くならなくてはいけない」という使命感に燃えたようで、ネガティブではなくポジティブな家出だと、スライムのお友達から話を聞いたヘレナが教えてくれた。


 マッシュに関しては、ライムが遠くに行くことを聞きつけ、家に帰れないことを心配してついて行ってくれたらしい。

 無表情で、ぽわーんとした表情のマッシュだけど、頭は良いし、しっかりしているからね。


 マッシュがついていってくれたのは、個人的にすごくありがたかった。

 もちろん、マッシュの抜けた穴は大きいんだけど、自分の代わりに故郷のマタンゴ村に応援要請をしてくれていたようで、先日マタンゴとキャットメイジが駆けつけてくれた。


 キャットメイジはモージのつてで来てくれたようで、早速農作業で大活躍してくれている。

 名前は特にないようで、今のところ「マタンゴ」と「キャットメイジ」と呼んでいるけど、マッシュがなかなか帰ってこないようなら、名前をつけることも検討している。

 種族名呼びは、なんとも味気ないからね。


 せっせと働いてくれているマタンゴを見ながら、ライムとマッシュに思いを馳せつつ私も農作業をしていると……王都方面から近づいてくる馬車が見えてきた。

 料理大会は午後からで、開始まではまだまだ時間がある中、かなり早い到着だ。


 キリの良いところまで作業を終えてから、やってきてくれた方々を出迎えに行くことにした。

 馬車は2台やってきており、降りてきたのは蓮さんたちとベルベットさんだった。


「佐藤さん、久しぶり。ベルベット様から聞いたぞ。魔物に襲撃されたんだってな」

「佐藤、怪我はない!? 弱いのに前線に立ったんでしょ!?」

「怪我もないという報告もしているんだけどね。佐藤から無事を報告してあげて」


 馬車から降りるなり、心配そうな表情で駆け寄ってきてくれた蓮さん、美香さん、将司さん、唯さん。

 無事を報告してあげてと言われても……今の私を見れば、それが報告になっていると思うんだけどね。


「見ての通り、私は超がつくほど元気ですし、誰一人として小さな怪我すらありません。一応前線には立ちましたが、本当に何もしていないので、私の場合は怪我のしようもありませんでしたね」

「はぁー、良かったぁ! 襲撃されたって聞いたときは、心臓が飛び出るかと思ったくらい驚いたんだから!」

「でも、こうして無事な姿が見れて良かったぜ!」

「この場所だけは平和だとばかり思っていましたが、やはり異世界はどこも油断なりませんね。とにかく佐藤さんがご無事で良かったです」

「私なんかをご心配いただき、ありがとうございます」


 日本にいた頃は、心配されるということが私の場合ほとんどなかったからね。

 身も心も壊れたときでさえ、会社からは責められたから……皆さんの温かさが本当にありがたい。


「私なんかって、佐藤は私たちの大事な仲間なんだから!」

「仲間……ですか?」

「当たり前じゃん! ……何? もしかして不服なの!?」

「そんなことはありません。ただ、“仲間”というものにあまり馴染みがなくて、驚いてしまったんです」

「佐藤さんとは友達でもあるけど、どちらかといえば仲間だな。シーラさんとかライムとかも仲間だろ?」

「確かに……仲間なのかもしれません」


 関係を言葉にしたことはなかったけど、いちばん近しい言葉は“仲間”かもしれない。

 私ぐらいの年齢になると、“友達”という言葉を口にするのが少し恥ずかしくなってくるんだけど、嬉しいものは嬉しい。


「──と、話が逸れちゃったけど、みんな無事ってことは今日は楽しんでいいの?」

「もちろんです。今日も明日も楽しんでいってください」

「よーし! コスプレも用意してきたからな! めちゃめちゃ楽しむぜ!」

「大会ということで緊張してしまっているので、私は楽しめるかどうか分かりませんが、できる限り楽しませていただきます」

「失敗しても何もありませんので、気楽に楽しんでいってください」


 緊張している唯さんにそう声を掛けつつ、私はみなさんを別荘に案内してから、農作業へと戻った。

 嬉しい言葉のおかげで力がみなぎってきたし、サクッと農作業を終わらせて、料理大会の準備を手伝えるように頑張ろうか。



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