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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第346話 従属……?


 忙しいこともあり、翌日には帰ってしまったクリスさんだけど、また来ると何度も言い残して帰っていった。

 目の下のクマも凄かったし、恐らく寝ずに漫画を読み続けていたのだろう。


 急な来訪で驚いたけど、しっかりとおもてなしができて良かった。

 そうホッとしたのも束の間……入れ替わるように新たな来客がやってきた。


 遠くから近づいてくるのは、黒くて大きな巨龍。

 見間違えるはずもなく、あれはヤトさんに違いない。


 お酒は飲めるものの、あまり好きではないという理由からオクトーバーフェストには参加しなかったため、意外と久しぶりの来訪だ。

 できればクリスさんにも紹介したかったと思いつつ、私はヤトさんを出迎える。


「ヤトさん、お久しぶりですね。元気にしていましたか? ……って、後ろにいるのって!」

「元気にしておったぞ! ぬふふ、流石は佐藤じゃ! すぐに気づいたのう!」


 胸を大きく張っているヤトさんの後ろに立っていたのは、イケメン高身長で、黒目に赤い瞳孔が特徴的なヴェレスさんだった。

 召喚しないと出会えないと思っていただけに、こうして目の前に現れたことに驚きを隠せない。


「佐藤様、お久しぶりでございます。先日は私に使命をくださり、ありがとうございました」

「お久しぶりです。お礼を言うのは私の方……え? し、使命ですか?」


 ん? ヴェレスさんが何を言っているのか、さっぱり分からない。

 私を見ている目も何だか変だし、この間会ったヴェレスさんとは別人のようにおかしい。


「はい。佐藤様に仕えるという使命でございます」

「ちょ、ちょっと何を言っているのか分からないんですけど……」

「わっはっは! ヴェレスはおかしいじゃろ! わらわのところにも急に現れてな! 怖い顔で佐藤を探していると言ってきたから敵かと思ったんじゃが、話を聞いたら下僕になりたいらしいのじゃ!」

「下僕ですか? そんな関係じゃないはずなんですけど、本当にヴェレスさんですか?」

「私はヴェレスです。佐藤様から頂いた食材に感銘を受け、命尽きるまで尽くすと決めたのです」


 な、なるほど。

 靴を直してもらったお礼に渡したお菓子を気に入り、そのまま私のところまでやってきたということか。


 ヴェレスさんは空になったお菓子の袋を嬉しそうに見せ、どれほど気に入ったのかをアピールしてきた。

 仕草は可愛らしいけど、言動は一切可愛くないので返答に困ってしまう。


「渡したお菓子に感動してくれたんですね。それは嬉しいですが、従属やら下僕やらはやめましょう。そういう関係は築きたくないですから。お友達になる、というのはどうですか?」

「お友達だなんて、とんでもない……。私は佐藤様に身を捧げる従順な下僕でございます」

「なっはっは! わらわは好きじゃぞ! 佐藤は良い奴じゃから、下僕になりたい気持ちも分からんでもない!」

「夜刀神さん、お褒めの言葉ありがとうございます! ということですので、佐藤様。どうぞよろしくお願い致します」


 “ということ”の意味が全く分からないけど、勝手に従属宣言されてしまった。

 最後に会話したときは怖いけど話の分かる人、という印象だったのに、まさかこんなことになるとは夢にも思わなかった。


 異世界の食べ物の凄さを改めて実感すると同時に、扱いには気をつけないと……。

 いや、お菓子が美味しいのも確かだろうけど、どう考えてもヴェレスさんがおかしい。


「来る者拒まずがモットーですので、他の方に危害を加えないのであれば、ここにいてもいいですよ。……ただし従属はやめてほしいですが」

「ありがとうございます! 私、ヴェレス。佐藤様に害なす者以外には友好的に接することを誓います」

「よろしくお願いします。それで、ヴェレスさんはどこで暮らしますか?」

「ヴェレスさんではなく、ヴェレスとお呼びください」

「いやいや。まだ出会ってから2回目ですし、ヴェレスさんと呼ばせて――」

「ヴェレスでお願い致します」

「佐藤! 下の者の願いには応えてあげるのが務めじゃ!」

「……ヴェレスはどこで暮らすのですか?」


 私が呼び捨てにすると、恍惚の表情を浮かべるヴェレスさん。

 この様子からして、従属をやめる気はなさそうだし、もう従魔と同じような感覚で接するのがいいのかもしれない。


「私はこの近くで適当に暮らさせて頂きます。佐藤様のお手を煩わせることはありませんので、安心してください」

「うーん……。堕天使がいると噂になったら大変ですし、大丈夫そうなら家を用意しますよ?」

「バレませんので安心してください。お気遣い頂き、ありがとうございます」


 しっかりと断られてしまったし、これはもう本人に任せた方がいいのかもしれない。

 もし不味いと判断したら、そのときに家を用意して越してもらえばいいわけだしね。



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