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第335話 ルール確認


 みんなでスライムの住処を作っている間に、あっという間に2週間が経過した。

 オクトーバーフェストの準備に関しては、ほとんどサムさんたちが行ってくれた。


 私がやったことといえば、NPを使ってお酒を購入したことぐらい。

 ただ、サムさんの話ではお酒の数は少なくなりそうとのことだったけど、100樽分くらいのお酒を用意してくれている。


 初めてのイベントだし、規模感もいまいち分からないけど、100樽あれば確実に足りることだけは分かる。

 それに加えて、ジョルジュさんの黄金酒もあるからね。


 浴びるように飲んでも、余るのではと思う量。

 治安にだけは気をつけながら、楽しくお酒を飲んでいこうと思う。


「佐藤さん、設営が終わったけどどうだい? 何か気になる箇所があれば遠慮なく言ってほしい」

「何も問題ありません。毎度のことながら、完璧な設営ありがとうございます」


 お酒を提供する場所だけではなく、おつまみを作る屋台まで用意してくれたサムさん。

 文句の付け所もないし、前回の縁日に引き続き、完璧な設営をしてくれた。


「気に入ってくれたなら良かったよ。それじゃルールについての最終確認を行おうか」

「はい。まずは入場料金として銀貨5枚は変わらずで大丈夫そうですか?」

「そうだね。銀貨5枚を取れば、まず間違いなく黒字になると思う」

「良かったです。それでお酒の購入方法ですが、提案したメダルシステムで大丈夫でしょうか?」

「ああ、そちらも問題ない。メダル1枚でコップ1杯分のお酒を提供。入場料金を支払う際にメダル1枚プレゼントし、その後は受付にて銀貨1枚と交換できる、ただし、銀貨5枚での一気交換ならメダル6枚。金貨1枚ではメダル15枚とまとめての交換のほうがお得にするって感じで進めさせてもらう」

「完璧ですね。システムの導入をしてくださり、ありがとうございます」

「正直、現金でやり取りしたほうが楽だと思っていたんだが、考えれば考えるほどこのシステムの利点が大きいように思えてきた」


 この発言を聞き、サムさんはやはり頭がいいのだと再確認。

 一見、手間を1つ増やしたように見えるけど、お酒1杯が銀貨1枚だと相場よりも高くなってしまう。


 ただ、金貨1枚で15杯ならこの世界の相場からしても安め。

 買い手は色々なお酒を安めに飲めて、売り手としては1人が15杯も飲んでくれるのであればウハウハ。


 お金ではなく、メダルに変換することでお金を使っている感覚も減るため、財布の紐も必然的に緩くなる。

 ちょっと狡いやり方ではあるものの、お客さんに1杯当たりの値段を委ねるため、不満が出にくいのも大きな利点。


「1人当たりが落とすお金を大きくするのが目的ですので、手間は1つ増えますが利益は大きくなると思います」

「お酒が飲めなくなった場合、おつまみ等の食事にメダルを利用できるのもいいな。このシステムはあらゆる面で活用できそうな気がする」


 今回のオクトーバーフェストでは、あらゆるやり取りがメダルによって行われることになる。

 この近辺の施設が充実してきたら、メダルシステムを全てで導入しようと思っているため、今回は試験運用も兼ねた試み。


 自分自身が旅先では財布の紐が緩くなるタイプであり、現金では渋ってしまうけどクレカだと使いがちの性格のため、十中八九成功するとは思っている。

 1つ懸念点があるとすれば、酔っぱらいが生まれやすいこと。


「物は売れやすくなると思うんですが、今回はお酒のイベント。泥酔した人への対処だけは怖いですね」

「その点は安心してくれて構わない。他者に迷惑をかけたものに関しては罰金を設けるつもりでいるからね。更に王都の兵士に依頼して、護衛依頼も出してある」

「さすがはサムさん。対処が完璧ですね」

「私の懸念点は、帰りの混み具合だね。他者に迷惑を掛けずとも、酒で思考は鈍るからな。これまでのようにスムーズな帰宅を進められないと思っている」

「その点は心配ありません。新しく建築した宿ですが、明日は予約不可にしていましたので、宿泊希望の方には宿泊してもらうことができます」

「ふふふ、佐藤さんも仕事ができるじゃないか」

「いえいえ、サムさんには敵いませんので」


 私たちはお互いにお互いのことを褒めながら、最後の確認を気持ちよく終えた。

 お酒のイベントということもあり、不安な点は多いものの、しっかりと準備しているため、滞りなく進められると思う。


 明日、宿に宿泊するであろうお客さんは最大限宿を楽しむことができなさそうなのが少しだけ気がかり。

 ただ、イベントのために建てた宿だし、活用方法としては合っているからね。


「それでは明日はよろしく頼む。今回も必ず成功させよう」

「はい、必ず成功させましょう」


 サムさんと握手をし、明日に備えて早めの解散となった。

 オクトーバーフェストを無事に成功させて、しっかりとここの魅力を伝えられるように頑張ろう。



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