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第319話 怪しい祭壇


 階段を下りた先にあったのは、怪しげな祭壇のような場所。

 ナスカの地上絵のようなものも描かれており、怪しさしか感じない。


「祭壇だね! ……ん? なんか臭い! 捧げられている何かが腐ってる?」

「一瞬、人を捧げているんじゃないかと思ったけど、そういう類いではなさそうだな」


 蓮さんの言う通り、血痕もないし骨も見当たらない。

 原型を留めていない食料らしきものが腐ってはいるものの、生物を捧げるといった行為はされていなかったようで一安心。


「上では祈りを捧げて、地下では食べ物を捧げていたのでしょうか? お宝のようなものを期待していましたが、特に何もなさそうですね」

「ね! つまんない! 何か召喚でもされれば面白いんだけどなぁ!」

「召喚されてもおかしくない魔方陣ではあるよな。絵もなんか怪しいし」


 確かに、ただの祭壇というだけではなく、召喚のための場所のようにも見える。

 私たちがやってきた部屋も似たような造りだったし、もしかして異世界転移を行う部屋と似たようなものなのかもしれない。


「この魔方陣の描き方って、私たちがやってきたときの部屋の床に描かれていたものと似ていませんか?」

「えっ? 全然覚えてない! というか、魔方陣なんか描かれてたっけ?」

「俺も覚えてないな。気づいたら知らない部屋だったっていう、意味分からない現象すぎて、周囲にまで意識が向いていなかった」


 将司と唯さんも覚えていないようで、蓮さんの言葉に同意するように頷いている。

 私もそこまでハッキリ覚えているわけではないんだけど、描かれていたような気がするんだよなぁ。


 だとしたら、この魔方陣も何かを転移させるものの可能性がある。

 シーラさんの話では、転移には魔力が必要になると言っていたし、この魔方陣に魔力を流せば起動するかもしれない。


「もし魔方陣なのであれば、魔力を流せば起動するかもしれませんよ」

「ちょっと怖いけど、やってみたいかも! 唯と蓮も協力してよ!」

「起動したとしたら、何が出てくるんですかね? 倒せる準備だけしておきましょう」

「将司は盾を構えておいてくれ。佐藤さんは階段の上段まで行ってほしい」


 いつでも逃げられるよう、私は階段の上段から魔方陣を見下ろす形で眺める。

 3人は魔方陣に手をかざして魔力を流し込み始め、その魔力に反応したのか、絵が光り輝き始めた。


「かなり魔力が吸われますね。美香と蓮は大丈夫ですか?」

「大丈夫! 私は魔力操作が下手なだけで、魔力量は多いからね!」

「俺もまだ大丈夫だな。やばくなったら逃げる」


 そんな会話をしながら、魔力を捧げる三人。

 そして、とうとう魔方陣に動きが現れた。


 異世界転移は数十年単位で魔力を貯めないといけないと言っていたため、もしかしたら今回だけでは何も起こらない可能性もあると思っていた。

 だが、地上の絵から光の柱のようなものが立ち上っている。

 どちらかといえば、ミラグロスさんが持ってきたワープゲートのようなものなのかもしれない。


 そんな考察をしながら、何が現れるのか見守っていると、強烈な発光をした後、魔方陣の真ん中に誰かが座っているのが見えた。

 人のような姿ではあるけど、人でないことはすぐに分かる。


「なんか現れた! 敵? 味方?」

「分からないが……だいぶ危険そうな感じだ」


 蓮さんが危険そうというのであれば、相当な力を持っていることは間違いない。

 発光が落ち着くと、片膝立ちをしていた何かはゆっくりと立ち上がった。


 ミラグロスさん達に似た角が生えており、さらにサソリに近い尻尾と、大きなコウモリの羽のようなものが背中から生えている。

 目は虹彩が真っ黒で、瞳孔は真っ赤。


 各部位は人間に近いんだけど、付属しているものが人間ではないことを表している。

 私たちは一体何を召喚してしまったんだろうか。

 逃げたい気持ちが強いけど、蓮さんの指示があるまでは堪えて待機する。


「お前は誰なんだ?」

「……召喚しておいて、お前は誰だとは随分な言い草ですね。そのセリフは私が言いたいところですよ。まぁ、本当に困惑しているようですので、名乗らせて頂きます。私の名前はヴェレスと申します」

「自己紹介してくれてありがたいが、何者かまで教えてほしい。人ではないよな?」

「ええ、私は人ではありません。人間からは悪魔などと呼ばれておりますが、私は天使です。禁忌を冒したせいで追放されてしまっておりますがね」


 ちゃんと会話ができていることにホッとしたのも束の間、すごいことを言い出している。

 追放された天使……いわゆる堕天使というやつなのだろうか?


「あの、堕天使ということですか?」

「よく知っていますね。ええ、私は堕天使です」


 階段の上から声をかけた私に対し、ヴェレスさんは微笑みながら返事をしてきた。

 怖さはあるけど、顔立ちがよくてどこか品があることから、惹き込まれるような魅力を強く感じる。



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