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第298話 高額商品


 白金貨10枚は大金だけど、これまで散財してこなかったから支払える額ではある。

 2羽のオーラバードで何ができるのかと問われたら何も答えられないけど、1羽だけじゃ寂しいだろうしね。


「まあ、気前がいいのね。貧乏そうだと思っていたけど、意外にも太っ腹で驚いたわ」

「私って、そんなふうに思われていたんですか……」


 確かに、私の見た目は普通のおっさんだからね。

 お金を持っていないと思われるのも無理はないか。


「それじゃあ、オーラバードを2羽お買い上げね。他に何か欲しいものはあるの?」

「ゆっくり見てもいいですか? 気になるものがいっぱいあります」

「もちろん構わないわ。開店時間までの30分間は自由に見て頂戴」


 クリスさんの許可をもらったため、私はゆっくりと店内を見させてもらうことにした。

 まずはオーラバードを見た流れで、展示されている生き物から見ていく。


 ここにいるのは、基本的に小型動物か小型魔物。

 可愛らしいものが多い中、一番気になるのはやはりドラゴン。


 サイズは20センチほどと小さく、ドラゴンというよりはタツノオトシゴに手足と羽をつけたようなビジュアル。

 私が顔を近づけると、小さな炎を吐いてきた。


 ライターくらいの火力のため、怖さを感じるどころか癒しを感じる。

 このドラゴンも飼いたくなってしまうが、金額は白金貨350枚と驚くべき額。


「佐藤はドラゴンに興味があるの?」

「はい。身近に龍種の方がいますが、ドラゴンには憧れがあります」

「へー。なら買っちゃえばいいんじゃない? ……って、高っ!」


 気軽にそう告げてきた後、値段を見て驚いたベルベットさん。

 王女様でも、白金貨350枚は高いと感じるのか。


「値段が値段だけに、手が出せませんね」

「さすがに白金貨350枚は高すぎる。可愛いけど、何かに役立ちそうな感じしないし」


 かごをツンツンしているベルベットさんに、小さなドラゴンは炎を吐き出そうとしている。

 ただ、先ほど私に出した炎で全て出し切ってしまったようで、ほんのり温かい息しか出ていない。


「ベビタツに興味あるの? 分割払いでも構わないわよ?」

「分割払いでも厳しいと思います。ちなみにですが、分割払いって何回払いですか?」

「細かく区切って48回払いまで受け付けてるわ。だから……毎月白金貨7枚と金貨3枚を支払ってくれればいいのよ」

「む、無理です。破産してしまいます」

「そうなの? それは残念」


 すごく可愛いけど、さすがに手を出せる額ではない。

 私は惜しみながら、ベビタツと呼ばれていたドラゴンの元を離れる。


 ドラゴン以外にも興味のある動物がたくさんいる中、私が特に気になったのはハリネズミのような容姿をした動物。

 外敵が近づくと丸くなって針玉のようになるだけでなく、電気も身にまとうようだ。


 ソーラー式発電機だけじゃ物足りなさを感じてきたし、次にNPを使うときには電気を扱える魔物を購入したいと思っていた。

 このハリネズミのような動物が、一定以上の電気を生み出せるのであれば、値段次第では購入してもいいかもしれない。


「そのネズミさんが気になっているんですか?」

「はい。この動物は帯電できるみたいで、帯電できる量によっては購入したいなと思っています」

「お値段は……白金貨10枚ですか。高いですが……オーラバードと同額と考えれば、手が出せない額ではないですね」


 ベビタツとは違い、まだ手を出すことができる金額。

 どれくらいの電気を発することができるか次第で、購入を決めてもいいかもしれない。


「クリスさん、この動物ってどれくらいの電気を発することができるんですか?」

「大型の魔物を追い払えるくらいの電気ね。気絶させるまではいかないけど、かなり強い電気を放てるわ」

「なるほど。ちなみに充電時間はどれくらいでしょうか?」

「そこまでは分からないわ。自身に危険が及ばないと電気を発しないからね。でも、1日くらいで次の電気を放てるようにはなるんじゃないかしら?」


 うーん。色々と惜しいポイントがある。

 こちらの指示したタイミングで電気を放つことができ、かつ1日でフル充電できるなら、ぜひ買わせてもらいたい。


 ただ、自身に危険が及んだときにしか電気を放ってくれないなら、白金貨10枚は支払えない。

 電気を得るために、毎回命の危険を感じさせないといけないからね。


 そんなことは絶対にしたくないし、できない。

 お金に余裕があるなら愛玩動物として購入し、電気が使えたらラッキーくらいの考え方もできるんだけど……今の金銭状況では難しいなぁ。


「なるほど。ちょっと購入まではいけませんね」

「ふふ。ベビタツのときもそうだったけど、本当に残念そうにするのね」

「本当に残念ですからね」


 それから30分の時間制限ギリギリまで店内を見させてもらったけど、購入に至るまで決断できたのはオーラバードのみだった。

 生体エリアだけで30分を消費してしまったし、もっと時間をかけて見たかったけど、時間がきてしまったから仕方がない。


 値段はどれも高すぎるくらいだったが、その金額以上に惹かれるものばかりで、楽しかった。

 これまで、この世界のお金にはあまり執着していなかったけど、しっかりとお金を貯めて、また近いうちに買い物しに来たいな。



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