第287話 新たな従魔
どの魔物を仲間にするか決めた私は、早速フレイムホークとカッティングビートルの2体の魔物を購入することにした。
必要NPは両方とも30,000と、少しだけお高めだが、この辺りを守ってくれるのであれば安いくらいだ。
タブレットを操作し、2体の魔物を購入。
その瞬間に、目の前に購入した2体の魔物が召喚された。
フレイムホークは名前の通り、赤とオレンジを基調とした色合いのかっこいい鷹の魔物。
全長は3メートルほどで、鋭いくちばしと爪を持っている。
一方、未知の部分が多いカッティングビートルはというと、真っ黒なフォルムをした大きなクワガタの魔物。
全体的にトゲトゲとした体で、2本の角はノコギリのようにまっすぐ伸びており、ギザギザしている。
「フレイムホークにカッティングビートル、来てくれてありがとうございます。これからフレイムホークはレイ、カッティングビートルはソーと呼ばせていただきます。よろしくお願いします」
「レイとソーですね。覚えやすくて良い名前だと思います」
レイもソーも喜んでくれているようで、私の下にやってきて体を擦りつけてきた。
レイは言葉が分かる可能性が高いと思っていたけど、ソーも理解してくれているようなのは助かった。
それにしても、ソーの体の硬さは凄まじいな。
トゲトゲしいけど艶があり、硬度も半端ではない。
生半可な剣では傷もつけられないと思う。
ライムのように鉱石を与えることで体の硬度が上がる可能性もあるし、鉱石を好んで食べてくれるのであれば、積極的に与えていきたい。
「レイとソーにやってもらいたいことは明日説明します。それまではゆっくりするなり、この辺りを飛んでみていてください」
レイもソーも理解してくれたようで、夕日に向かって飛んでいってしまった。
つい小学生の頃、飼っていたクワガタを逃がしてしまったときのことを思い出し、戻ってきてくれるか心配になるけど、言葉を理解してくれていたと思うから大丈夫なはず。
気持ちを切り替え、次の買い物を行うことに決めた。
次に購入するのは娯楽品。
まずはSwitchとスマブラ。
それから発電機も購入し、大きなモニターも用意した。
自分用のゲームキューブコントローラーも2つ購入しておき、これでゲーム周りは一通り整った。
あとは漫画を追加で増やすつもり。
一気に大量の漫画を購入したけど、かなり前のことなので、大半の人が読み終えてしまっているからだ。
この期間の間に、『ハンターハンター』と『ワンピース』が完結していることを祈っていたんだけど、まだ完結には至っていないようで残念。
とりあえず、2作品の既刊分すべてと、不朽の名作である『ドラゴンボール』。
それから前々から挑戦しようと思っていた『鬼滅の刃』を購入することにした。
ドラゴンボールはフルカラー版全32巻。
そして鬼滅の刃は全23巻と、どちらも短め。
完結していて短めなのはありがたく、ドラゴンボールを読み返すのも、鬼滅の刃を初めて読むのも楽しみだ。
ワンピースに関しても、私の知らないところに入るので非常にワクワクしている。
「ーーよし、購入できました。ゲーム類は目新しいものはないと思いますが、Switchがもう1台増えるだけでも大きいですよね?」
「それはすごくありがたいです! ソアラさんとルナさん、それからルチーアさんもゲームを始めるようになりましたので、単純に1人あたりのプレイ時間が減ってしまってましたからね。1台増やしてくれるだけで非常に大きいです!」
「喜んでもらえたみたいで良かったです。あとは漫画も増やすことにしました。これまでの2作品の続きに加えて、新しい作品も購入しましたので、ぜひ読んでみてください」
「漫画の続きに新しい漫画ですか? それはすごく楽しみです!」
シーラさんは満面の笑みを浮かべて喜んでくれている。
読書は嫌いと言っていたけど、漫画は繰り返し読んでくれているからね。
特にハンターハンターがお気に入りのようで、キメラアント編を繰り返し読んでいるところを何度も見た。
ただ、ハンターハンターは既刊が少ないため、あまり満足してもらえなさそうなのは少し申し訳ない。
私も切実に続きを描いてほしいと思っているけど、一読者としては黙って待つしかない。
ということで、さっそく購入したものを持って、娯楽部屋に運ぶことにした。
中に入るなり、ゲームの音が聞こえてくる。
奥に進むと、ルチーアさんとヘレナがスマブラをやっている姿が見えた。
「あれ? 佐藤さんが娯楽室に来るなんて珍しいな」
「実は新しいゲームと漫画を購入したので、ここまで運んできたんです」
「新しいゲームですか? マスター、そのゲームは何でしょうか?」
「ゲーム自体は同じものですよ。待ち時間が多くなったと聞きましたので、台数を増やそうと思ったんです」
「それは嬉しい! 待ち時間が減るんだもんね!」
「私も嬉しい。でも漫画があるし、待ち時間も苦ではなかったです」
話を聞いて、奥から姿を見せたのは、漫画を片手に持ったソアラさんとルナさん。
馴染んでいる様子を見るに、ダークエルフの3人はここに入り浸っているのがよく分かる。
ルチーアさんに関しては、ここまで入り浸るようになるとは思っていなかっただけに、嬉しい誤算だ。
「ということで、設置をしていきますので、少しだけうるさくなるかもしれません」
「マスター、どかなくても大丈夫ですか?」
「はい。気にせずプレイしていてください」
私はルチーアさんとヘレナがスマブラ対決しているのを横目に、モニターとSwitchを設置。
それから漫画棚に漫画を並べてから、早速新しく購入した漫画を読むことにしたのだった。