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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第281話 山遊び


 裏山に入ってからは、基本的にライムが索敵を行ってくれている。

 アス君も護身用の木剣を持っているが、見つけた魔物を倒すのはライムだ。


 上手いこと移動しながら、見つけた魔物を次々に倒しており、ライムの上に乗っているアス君は声を上げながら楽しんでいる。

 ライムがアクティビティとして一役買ってくれている中、マッシュは地道に、食べられる山菜やキノコ類を的確に見分けてくれている。


 毒を持っているかどうかは、雰囲気や臭いで分かるらしい。

 次々に食べられるものを集めることができ、小川に辿り着く頃には、私が背負っている籠は食材でいっぱいになっていた。


「1時間ほどの道のりでしたが、マッシュのお陰でかなりの量の食材が採れましたね」

「うん。こんなにたくさんの食材が採れるとは思ってなかった。畑以外にも食材が溢れてるんだね」

「マッシュの力が大きいですけどね。あとは行きとは別のルートで帰るだけですし、夜ご飯はお腹いっぱい食べられると思いますよ」


 美味しいかどうかは分からないけど、これだけの量を確保できれば十分だ。

 魚が捕れれば万々歳だけど、捕れなくても大丈夫という保険ができたのは精神的に大きい。


「はぁー、楽しい! ライム、すごいよ!」


 私たちが食材について話し終えたタイミングで、少し離れた場所で魔物を倒していたライムとアス君が小川にやって来た。

 興奮した様子でライムに抱きついており、本当に楽しかったことが伝わってくる。


「ライムもアス君もお疲れ様でした。ここからが本番の魚捕りですので、もう少しだけ頑張ってもらえますか?」

「もちろん! ライムの上に乗ってただけで、僕はまだ何もしてないから! 頑張って魚を捕るよ!」


 ズボンの裾をまくり上げ、気合十分のアス君。

 今回持ってきた道具は、釣竿、銛、カニカゴの3種類。

 カニカゴは水位のある下流に設置し、釣りと銛に分かれて魚捕りを行っていく。


 アス君は手掴みで挑戦するようで、勢いよく小川に入っていった。

 ミラグロスさんはアス君の面倒を見ながら魚捕りをするようで、銛を手にして後ろをついていった。


 ライムも泳げるため、アス君の側で待機してもらう。

 私とシーラさん、それからマッシュはカニカゴと釣竿を持って下流に向かい、水位の高いところで釣りを始める。


「小川に来るのは久しぶりですね。釣りに関して言えば……最初に来たとき以来でしょうか?」

「そうですね。ボウズで終わって以来、釣りはしていなかったので、今日はリベンジです」


 シーラさんに新鮮な魚を食べさせようと意気込んで釣りをしたが、その時は何も釣れず終わってしまった。

 今回はそのリベンジ戦でもあるため、何とか1匹は釣り上げたいところ。


 そう覚悟を決めて釣りを始めたが……開始から1時間が経ってもヒットはなし。

 魚影は見えているため、魚自体はいるんだけど、警戒心が強いのか食いついてこない。


「うーん……釣れませんね。佐藤さん、釣り餌を変えてもいいでしょうか?」

「もちろんです。何か良い餌があるんですか?」

「水面付近を飛んでいる虫に食いついているようなので、あの虫を捕まえて餌にしたいと思います」


 虫を捕まえようとしていることに驚く間もなく、シーラさんは虫に狙いを定め、あっという間に捕獲してみせた。

 そして、針にその虫を引っかけ、魚影のあるところに投げた瞬間ーーヒット。


 今までの苦労がなんだったのかと思うほど簡単に釣り上げ、初めての魚をゲットした。

 見た目は少し強面だが、異世界の魚もちゃんと魚でひと安心だ。


「佐藤さん、やりました! 多分ですが、決まった餌しか食べないんだと思います。佐藤さんも虫を餌にして釣ってみましょう」


 そこからシーラさんが捕まえた虫に餌を変えたことで、魚が釣れるようになった。

 結果、私とマッシュが2匹、シーラさんが3匹を釣り上げ、籠に入っていた1匹と合わせて計8匹がこちらの釣果となった。


 上流に戻ると、ビショビショのアス君が倒れているのが見えた。

 一瞬、事故かと思ったが、幸せそうな顔をしていたため、単に疲れて横になっているだけだと分かって一安心。


「戻りました。魚は捕れましたか?」

「あっ、佐藤さん! 僕、1匹捕まえたよ!」

「手掴みで捕まえたんですか? すごいですね」

「ライムが追い込むのを手伝ってくれたからだけど、大きいのが捕まえられたんだ! ほんっとーに楽しかった!」

「私は2匹捕まえた。そっちはどうだった?」

「こちらは計8匹釣りました。十分すぎる釣果ですし、夜は豪勢に食べられると思いますよ」

「やったー! 早く捕まえたお魚を食べたい!」


 それから私たちは魚を締め、別荘へ戻ることにした。

 帰り道でも山菜やキノコ、木の実を採取し、十分すぎるほどの食材を確保できた。


 ノーマンさんのお陰で、それなりに美味しい料理に変わったし、とにかくアス君が楽しそうにしていたのが印象的だった。

 かくいう私もおっさんだけど、疑似無人島生活みたいで楽しかったなぁ。


 裏山に少し手を加えて、採取ツアーのようなものができるようにしても面白いかもしれない。

 メインコンテンツになり得るかは分からないけど、宿泊客向けのアクティビティは多いに越したことはない。

 アス君のお陰で新しいアイデアが浮かんだだけでなく、体を動かしたことで質の良い睡眠も取ることができたのだった。



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