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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第277話 シルヴァの職業


 イベントホールへと場所を移し、ここからは立食パーティーが行われる。

 腕利きの実力者たちと交流できる機会でもあり、成績上位者や元々知名度のあった方は早速囲まれている。


 私はそんな中、シルヴァさんの元に急いだ。

 今大会はベスト12。


 成績上位者で実力者のおじいさんなのに、知名度が皆無という珍しい方。

 そんなこともあってか、シルヴァさんの周りには特に誰も集まっていなかった。


「シルヴァさん、今回は立食パーティーの方にも参加してくれたんですね」

「前回は参加するといっておったのに、帰ってしまったからな。今回は絶対に参加すると決めておった」

「ありがとうございます。シルヴァさんとはお話がしたかったので、機会を設けて頂いて良かったです」

「ふぉっふぉ。特に何も面白いことは話せないがな」


 そうは言っているけど、シルヴァさんの人生が面白くない訳がない。

 私はそう確信しているため、早速色々と聞いてみることにした。


「シルヴァさんのことを知りたいだけで、面白さは求めていませんので大丈夫です。早速質問なんですが、どうしてこの大会に参加してくれたんですか?」

「仕事で王都に来ておって、偶然この大会のことを知ったのだ。大きい大会には参加してこなかったが、小さい地方の大会にはちょくちょく参加しておったから、本当にたまたま参加したという感じだな」

「なるほど。目立たないようにはしていたけど、大会には参加していたんですね」

「目立つのは嫌いなのだが、そこまで考えての行動ではなかったがな。まさかここの大会が、超がつくほどの実力者揃いだとは思っておらんかった」


 何か意図があって参加したってわけではなく、この感じからすると本当に偶然参加したみたいだ。

 こうなると、気になってくるのはシルヴァさんの職業。


 鍛え上げられた体つきや、露出した皮膚から見えている無数の古傷。

 戦闘職であることは間違いないけど、知名度がないということは、ルーアさんみたいにどこかの国の軍人だったりするのだろうか。


「自称するのは変ですが、国内でもトップクラスの実力者揃いだと思います。そんな中で、シルヴァさんが勝ち残っていったのが不思議でして……もしかして伝説の軍人とかなんでしょうか?」

「ふぉっふぉ。そんな大層な者じゃないぞ。ワシは10歳の頃から冒険者。ただし、ゴブリンを専門として狩る冒険者なのだ」


 おおー、ゴブリンスレイヤーという職業だろか。

 ゴブリンは数が多く、強さに比例して被害が多いって聞くし、ゴブリンスレイヤーは需要があるのだろう。


「シルヴァさんはゴブリンスレイヤーだったんですね。だから実力と比べ、知名度はいまいちと言った感じなのでしょうか?」

「そうだろうな。そんな大層な呼び方をしてくれる人なんておらんし、言ってしまえばルーキー冒険者でも狩れる魔物を狩っているだけ。ただ、塵も積もれば山となる。ゴブリンは数だけは多いから、ワシは数えきれないほどの戦闘経験を積んできた」

「それで、その強さを得たということですか。確かに、素振りだけでも効果がある中、数えきれない戦闘経験を積んだとなったら、それだけ強い理由が分かった気がします」

「そこまで深くは考えたことがなかったが、確かにそうかもしれんのう」


 私の言葉に納得したように、シルヴァさんは楽しそうに笑った。

 シルヴァさんが何者なのかも聞けて良かった。


「これから大会の規模は更に大きくなっていくと思いますが、来年以降も参加してくださったら嬉しいです」

「誘ってくれるのならば、もちろん参加させてもらう。強者と戦う面白さも知ってしまったし、何よりこの大会は強者が多すぎて目立たんのがいい」

「そう言ってもらえて良かったです。大会とか関係なく、ここにはいつでも遊びに来てくださいね」

「近くで仕事があったときは遊びに来させてもらう。ゴブリンと交流してみたいからのう」


 ゴブリンスレイヤーにシレイ達を会わせるのは少し怖いが、シルヴァさんなら大丈夫だろう。

 ……多分。


 一抹の不安を抱えながらも、私はシルヴァさんに別れを告げ、次にマージスさんのところへ向かった。

 マージスさんは、私の中では今大会1番のダークホースだった。

 ヤトさんは優勝予想に挙げていたけど、完全にノーマークだったからね。


「マージスさん、お疲れ様でした。正直、この活躍は期待していなかったので興奮させてもらいました」

「んむ。褒めてくれてありがとうなんだな。戦い方は面白くなかったと思うから、そこだけは申し訳ないんだな」

「そんなことないのじゃ! マージスの堅守は面白かったのじゃ!」

「そうそう! 色んなタイプがいてこその武闘会だからな! まぁ龍人族としては、マージスがベスト4で最高成績なのは情けねぇが!」

「それはアシュロスさんとドレイクさんが、早い内に当たってしまったからだと思いますよ」

「私がドレイクに勝ったのであれば、せめて準決勝までは勝ち上がらなければいけませんでした。……悔しいです」


 アシュロスさんは本気で悔しがっているが、対戦相手が優勝したライムだったからね。

 ドレイクさんとの死闘で体力が削れてしまっていたし、トーナメント運がなかったとしか言い様がない。


「ライムは異次元の強さだな。マージスに完勝した美香に勝てるやつはいないと思ったのに、優勝しちまった! あんな強いスライム……いや、あんなに強い魔物は龍種以外で見たことがない!」

「ん!? わらわは龍族は魔物ではないのじゃ! ドレイク! 今の言葉、取り消すのじゃ!」


 ドレイクさんの発言に引っ掛かったヤトさんが飛び付き、ぐちゃぐちゃになってしまった。

 ライムについてをもっと聞きたかったけどそれどころではないので、暴れるヤトさんを必死に宥めたのだった。



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