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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第276話 敗因


 表彰式が終わり、ここからは立食パーティーが開かれる。

 都合上、帰らなくてはいけない人もいるんだけど、大会出場者には仮宿舎でもう1泊できるように取り計らったため、残ってくれる方が多数。


 遠方から来てくれた一般客の方も、王都で宿泊すれば何とかなるということから、去年と比べると大会後も凄い賑わい。

 そんな光景に感慨深くなりつつ、まずは設営と運営を行ってくれたサムさんに挨拶しに向かう。


「サムさん、今回は本当にありがとうございました! お陰様で過去一番の大会になりました!」

「こちらこそありがとう。様々な武闘会を運営してきたけど、トップレベルの大会で見ていて面白かったよ。それに何と言っても、ご飯が美味しかったね。ここの料理を食べることができただけで、引き受けて良かったと本気で思えたよ」

「サムさんがそう言ってくれて良かったです。この後の立食パーティーでも、腕を振るった料理が出ますので、是非食べていってください」

「ああ、遠慮なく食べさせてもらうよ。ふふふ、またあの料理を食べられるのは楽しみだ」


 サムさんは楽しそうに笑うと、運営のみんなのところへと戻っていった。

 今回の大会のMVPは間違いなくサムさんだから、料理を気に入ってくれて本当に良かった。


 これからもイベントの運営をお願いしたいし、しっかりと良好な関係を築きたいところ。

 そんなことを考えつつ、次に素晴らしい決勝戦を見せてくれたライムと美香さんのところにやってきた。

 何やら話し込んでいるところを見る限り、美香さんがライムに質問責めしているんだと思う。

 

「両名とも、お疲れ様でした。凄く面白かったです」

「ライムに負けちゃったけどね! あー、悔しい! ライムがいいって言うなら、今すぐにもう1回やりたいもん!」


 悔しがっている美香さんに対し、ライムは体を横に揺らして断っている。

 勝ったのはライムだったけど、追い詰められていたのもライムだったもんね。


「1つ聞いてもいいですか? 美香さんは最後、何で負けたんでしょうか? 傍から見ている分には、美香さんが追い詰めた瞬間に負けたので不思議でしょうがなかったんです」

「私だって不思議だったから! でも、落ち着いて考えたら分かって、ライムに聞いたらそうだった! ライムはね、ノーモーション攻撃と溜め攻撃に加えて、透明化させてからの攻撃を織り混ぜたみたい!」


 ああー、なるほど。そういうことだったのか。

 最後に食らったのは、透明化していたライムの分裂体の攻撃。

 そりゃ、傍から見ていても分からなかった訳だ。


 「私が完璧にカウンターを決めて、ぶっ飛ばしたライムの分裂体があったじゃん? あの分裂体が戦闘に参加できないと見せかけて、透明化してから近づいていたの! 完全に意識外だったから、本当に何がなんだか分からなかった!」

「凄まじい駆け引きが行われていたんですね。もしかしてカウンターを食らったのも、意識外から透明化するためにわざと食らったんですか?」


 私がライムにそう尋ねると、嬉しそうに頷いた。

 ライムの強さはこの戦闘センスの高さだろう。


 美香さんは思考して勘を働かせるから、しっかりと警戒したということ。

 ただ単に、分裂体の内の1体が透明化するだけじゃ、美香さんなら看破してきそうな雰囲気があるもんね。


「うわー! わざとだったんだ! そこまで警戒しなくても、ノーモーション攻撃と溜め攻撃を捌くので手一杯だったし、気づかなかったと思うけどね!」

「いやぁ、私は美香さんなら気づいていたと思いますよ。観察眼がずば抜けていますからね」 

「観察眼なんてないって! 勘は鋭い方だと思うけどさ!」


 美香さんはそう言っているけど、美香さんの勘は運が良いということではないと思う。

 例えばだけど、鳥のフンによく当たったしまう運の悪い人がいると思うけど、美香さんは100%鳥のフンには当たらない人。


 それは恐ろしいほど運が良いからというわけではなく、そもそも鳥がいる真下を通らないことで、運が作用する部分を排除しているから。

 戦闘でいうのであれば、筋肉の動きや視線、呼吸までも冷静に見ているタイプ。


 息を吸いながら攻撃をする人がほとんどいないことを知っていて、美香さんはそれを戦闘に活かしている。

 美香さんが言っていることが嘘という訳ではなく、これらのほとんどを無意識に行っているのが美香さんの凄いところ。


「私はただの勘だけじゃないと思います。覚醒したと言っていた大きな要因は、観察眼の高さを利用できるようになったことだと思いますよ」

「うーん、よく分からない! 褒めてくれるのは嬉しいけどさ……佐藤はライムが優勝して、優勝予想の的中した賞品を受け取ってたよね? ライムを優勝予想してたってことじゃん!」

「いやいや、ライムだけでなく美香さんも優勝予想していましたから!」

「ふーん、本当かなぁー?」


 美香さんは私をジト目で見てきており、疑っている様子。

 本当に優勝予想していたんだけど、既に優勝予想した紙は賞品と引き換えてしまったため、証明のしようがないのが歯がゆい。


 私が美香さんに弁明しようとしたタイミングで、立食パーティーが始まってしまった。

 弁明したい気持ちが強いけど……他の参加者の方ともお話がしたいため、私はライムと美香さんのところから離れたのだった。



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