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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第274話 矛盾


 続く、準決勝第2試合は攻めの美香さん対守りのマージスさん。

 矛盾対決であり、正直どちらが勝つか分からない。


 マージスさんの評価がここまで上がるとは思っていなかったけど、ここまでの戦いっぷりを見てしまったら評価を上げざるを得ない。

 ヤトさんが言っていたように、模擬戦大会のルールにマッチしており、似たタイプで言うと将司さんだけど、攻めっ気がない分崩されづらい。


 その上、体も大きいためリーチが長く、どこからでも攻撃へと移行できる強みがある。

 こうして強みを挙げると完全無欠の印象が出てしまうけど、今回対する相手は美香さん。


 攻撃のバリエーション、速度、威力共にトップクラスであり、攻撃面だけでいえば蓮さん以上。

 更に、第六感が優れていて、大事なタイミングでの意表を突いた攻撃が高確率で当たる。


 マージスさんでも防ぐのは難しいと思ってしまう反面、また予想を覆して防ぎ切る未来も見える。

 ワクワクしながら見守っていると、試合が開始された。


 動き出したのはもちろん美香さん。

 ニッコニコの笑顔を浮かべながら、まずは様子を窺うように攻撃を開始。


 美香さんが攻撃している様子は、脆い部分を探すようなスローテンポの攻撃であり、マージスさんも攻撃を返す余裕があるくらいのテンポ感。

 わざと攻撃を返させている感じにも見受けられ、美香さんがマージスさんの情報を仕入れているように私は見えてしまった。


 そんな私の感覚が正しかったと証明するように、美香さんが攻撃のテンポが速くなるに連れて、どんどんとマージスさんが窮屈になっていっている。

 これまでは足捌きと経験で、攻撃してきた側を追い詰めている感じがあったけど、的確に嫌な部分を攻撃されているようで、マージスさんの反撃の手がピタリと止まってしまった。


 こうなってしまったら、美香さんが更にノリに乗ってくる。

 変則的な舞うような攻撃に、息をつく間もない手数。


 マージスさんもギリギリで防いでいたが、急なシンプルな攻撃にあっさりと食らってしまい、テンポがズレたことで二擊目もすぐに浴びてしまった。

 これまでの徹底した防御が嘘のように簡単にクリーンヒットをもらってしまい、マージスさゆも流れを変えるべく、【龍化】を使ってから攻めに転じたけど……攻め対攻めでは分が悪い。


 マージスさんが勢いよく振り下ろした剣よりも先に、美香さんの突きがマージスさんの腹部を捉えて試合終了。

 たらればだけど、美香さんが様子見をしてきた最序盤に【龍化】を使って攻めていたら、真逆の結果になっていたように思う。

 結果は美香さんの完勝だったけど、素晴らしい試合を見せてくれた2人には拍手しかない。


 準決勝で良い試合を見せてくれたローゼさんとマージスさんに話を窺いたいところだけど、10分の休憩後すぐに決勝戦が始まってしまう。

 話は大会後に聞くとして、今は決勝戦に集中する。


 決勝戦のカードは去年と全く同じであり、去年の雪辱に燃えるライム対2連覇のかかった美香さん。

 今大会も波乱が多かった印象だけど、この2名が残ったところを見ると、ライムと美香さんの実力が確かなことの証明になっている。


「お待たせしました! これより第3回模擬戦大会の決勝戦を開始致します! ライム、美香、入場してくれ!」


 サムさんの呼び掛けに、両者ゆっくりと試合会場に姿を表した。

 盛大な拍手と歓声に、会場のボルテージは間違いなく今日一番。


「ライム、去年と同じカードだね! ふふ、今回も優勝は私がもらうから!」


 美香さんの宣戦布告に、ライムは体をプルプルと震わせながら、自分が勝つと伝えている。

 美香さんも強くなっているけど、ライムもゴールドスライムに進化しているからね。

 同じ対戦カードといっても、どちらが勝つかは全く分からない。


「それでは決勝戦――始め!」


 レフェリーの合図によって試合が開始された。

 まず動き出したのは、もちろん美香さん。


 ライムの分裂すらさせまいという覚悟の突撃であり、あっという間に間合いに入り込んだ。

 このまま舞うような一方的な攻撃により、打つ手なく敗れてしまうかと思ったが――これまでのライムとは全く違かった。


 体をギンギラに光輝かせると、ライムはその場から姿が消した。

 一瞬、これまでと同じように透明化を使用したと思ったが、攻撃を仕掛けたはずの美香さんが急に吹っ飛んだのだ。


 そして、先程まで美香さんがいた場所にはギンギラに輝いているライムがおり、その姿を見てライムが攻撃に転じたことを理解した。

 一瞬の静寂から、私と同じように今起こったことを理解した観客から大歓声が巻き起こる。

 盛り上がっていることも嬉しいけど、魔物であるライムが応援されていることも嬉しい。


「はっやー! 何とか防げたけど、ノーモーションであんな攻撃できるんだ!」


 そう呟きながら、すぐに立ち上がった美香さん。

 これまでのライムはバネのように伸びてからじゃないと攻撃ができなかったけど、今回は確かにノーモーションからの攻撃だった。


 体を伸ばしてからの攻撃だと、攻撃方向を予測されてしまう。

 ノーモーションで攻撃が可能と分かった今、美香さんも迂闊に近づけなくなっただろうし、これ試合の行方が分からなくなった。



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