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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第257話 心の扉


 アス君はシーラさんに面倒を見てもらい、私はキッチンでパパッとスイーツを作る。

 今回作るのは、焼きバナナ。


 作り方は非常に簡単で、フライパンでバナナを焼くだけ。

 バター、シナモン、砂糖で香り付けと味付けを行い、冷やしておいたバニラアイスを添えてチョコソースをかければ完成。


 バナナにチョコをコーティングしただけのチョコバナナですら美味しいのだから、焼いて味付けしたバナナが不味いわけがない。

 自信満々でアス君とシーラさんのところに戻り、さっそく食べることにした。


「これまた美味しそうなデザートですね! バナナとアイスですか?」

「はい。バナナは焼いてありますので、冷たいアイスと抜群に合うと思います」

「……すごく美味しそう! 全部食べていいの?」

「もちろんです。全部食べてください」


 両手を合わせてから、作ったデザートを口に運ぶ。

 焼いたことで甘みが増しており、シナモンの風味とカリッとした食感が最高。


 チョコもマッチしており、そこに冷たいバニラアイスを頬張る。

 ……ふぅ、まさに至福のひととき。


「美味しい! 佐藤さん、これすごく美味しいよ!」

「本当に美味しいですね! バナナがこんなに美味しくなるなんて、佐藤さんは天才ですね!」

「喜んでもらえて良かったです。誰も取らないので、ゆっくり食べてください」

「うんまーい! 僕、ここに来て良かった!」


 先ほどまでシュンとしていたアス君だったが、今では満面の笑みで喜んでくれている。

 作った甲斐があったし、これで警戒も解いてくれるだろう。


 ミラグロスさんが来るまでの間、ずっと気を張り続けていたら体がもたないし、少しでもリラックスしてくれたら嬉しい。

 あとはアス君が遊んでいられるものを用意してあげたいけど、これくらいの年ならSwitchを貸してあげればいいだろう。



 アス君がこちらに迷い込んでから、3日が経過した。

 予定通り、アス君にはSwitchを貸しており、夕方までは娯楽室にこもってゲームをしている。


 夕方以降は農作業を終えたシーラさんたちと一緒に、スマブラの対戦を行っているらしい。

 すっかりこの場所にも慣れたようで、ホームシックになっている様子もなく、私としてもホッとしている。


 そして、そんな3日目の夜。

 私がノーマンさんと一緒に夜ご飯の支度をしていたところ、窓の外が光り輝いたのが見えた。


 多分だけど、ワープゲートが開いた光であり、きっとミラグロスさんがやってきたんだと思う。

 私は料理をノーマンさんに任せ、すぐにワープゲートへと向かった。


「ミラグロスさん、お久しぶりです。こっちにアス君が来ていますよ」

「佐藤さん、久しぶり。やっぱりこっちに来てたんだ……。貯めていた魔力がなくなったと同時にアスがいなくなったから、こっちに来てるとは思っていたけど……ひとまず見つかって良かった」


 ミラグロスさんはホッとしたように、大きく息を吐いた。

 アス君は魔族だし、私たち以外に見つかったら大変だもんね。


 私とシーラさんが早起きしていたから良かったものの、気づかないまま変な場所に行ってしまっていたら危なかった。

 そう考えると、割とギリギリだったのかもしれない。


「保護できて本当に良かったです。娯楽室にいますので、来てください」

「うん。ありがとう」


 ミラグロスさんを連れて、娯楽室にやってきた。

 中ではアス君とジョエル君が対戦しており、白熱しているようでミラグロスさんに気づく様子がない。


「アス。入っちゃダメって言ったところに入ったでしょ」

「――えっ! ミラグロスお姉ちゃん! なんでいるの!?」

「私も同じところから来た。みんな心配してるから、すぐに帰るよ」

「えー……。まだ帰りたくない」


 アス君はSwitchのコントローラーを握ったまま、小さくそう呟いた。

 この場所を気に入ってくれたのは嬉しいけど、さすがに帰らないとまずい。


「アス君、ここは一旦帰りましょう。アス君の家族も心配しているでしょうし、ここにはまた来ていいので」

「えっ! また来ていいの? ……なら、帰りたくないけど帰る」

「佐藤さん、ありがとう。いろいろな報告も兼ねて、またすぐに来る。それじゃ、来たばかりだけど帰るね」


 ミラグロスさんはアス君の手を握ると、娯楽室を出ていった。

 アス君は私たちに笑顔で手を振っており、私たちも手を振って、2人を見送ったのだった。



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