第24話 ワイトナイト
翌朝。
シーラさんが作ってくれた朝食を食べた後、いつもより少し早めに外へと出てきた。
そしてタブレットを操作し、ワイトナイトをポチる。
手持ちから3000NPが消費されると同時に、目の前にボロボロの鎧を着たゾンビのような魔物が現れた。
これが……ワイトナイトか。
体の大半は鎧に包まれているが、鎧自体がボロボロのため至るところから肌が露出している。
黒紫に変色した体、そして顔も溶けた感じで中々に怖いビジュアル。
ちなみに武器は持っておらず、片手に木の盾も持っているがこちらもボロボロ。
デフォルトで装備をしてくれているのはありがたいけど、これだけボロボロだと裸の方が動きやすいし強いんじゃないかなと思ってしまう。
それと臭いは見た目の割に普通……というよりも、無臭よりなのが非常に助かる。
「…………襲ってはこないようですね。佐藤さんを主として認めているのでしょうか?」
「ライムの時と同じだったらそうだと思うのですが、見た目が怖くて近づけないです」
「何かあれば確実に私がお助けします。ですので、近づいてみてください」
もう少し様子を見たかったのだけど、シーラさんに急かされてしまったため、私はゆっくりと召喚されたワイトナイトに近づく。
ちなみにワイトナイトは召喚されたところから一歩も動いておらず、若干下を向いたまま固まっている状態。
少しも動かないというのも非常に不気味で、どうしても急に動き出して襲い掛かってくることを想像してしまう。
……シーラさんが助けてくれる。シーラさんが助けてくれる。そう心の中で呟きながら、私はワイトナイトに触れることができる距離まで近づいた。
ただ、この至近距離でもワイトナイトが動くことはなく、軽く鎧に触れてみたが……やはり反応はない。
もしかして、アンデッド系の魔物は魔力を与えないと動かない――的なことがあるのか?
「全く動かないですね。特別な何かをしないといけないのでしょうか?」
「もしかしたらですが……夜か暗い場所でしか行動できないとかあるかもしれません。アンデッド系の魔物はダンジョンや洞窟、それから夜と暗い場所でしか姿を見ませんので」
……なるほど。その可能性は非常に高いと思う。
食事も休みもいらない代わりに、暗い場所でしか動くことができないという制限。
もしそうだとしたら、私と生活リズムが全くの逆になってしまうため、かなり不便な制限かもしれない。
働き口が炭鉱とかであれば、大活躍してくれたのだろうけど、私が行うのは日を必要とする農業だからなぁ。
「私達が眠っている間に動いてくれるというのはありがたいですが、今はやはり日中に動ける魔物の方が嬉しいですね」
「細かな指示もできませんからね。安めの金額設定にされていたのは、きっとこのデメリットが理由でしょう」
「危うく同じデメリットを持っているであろうがいこつ剣士も、何も考えずに買っているところでした。止めて頂き、ありがとうございます」
「いえいえ。……それより、どうしますか? 人手を増やしたくて購入したのに、動けないのであれば人手としては期待できませんよね」
「夜まで待ってみてから考えましょう。農作業が難しいようでしたら、もう少しNPを貯めてマタンゴかコロボックルを購入しようと思います」
少し期待はずれの結果ではあったけど、使いどころがないということはないはず。
山が近いということもあって、夜は獣が畑を荒らしに来ることもあったし、何もできなかった場合は害獣対策として役立ってもらう予定。
動かないワイトナイトはひとまず置いておいて、私は何をやらされるか考えながら……。
昨日までと変わらず、シーラさんと二人で農作業を行ったのだった。
※作者からのお願い
一日二話投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで少しでも「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、ブクマと↓の☆☆☆☆☆から評価頂けましたら幸いです <(_ _)>ペコ
つまらないと思った方も、☆一つでいいので評価頂けると作者としては参考になりますので、是非ご協力お願いいたします!
お手数だと思いますが、ご協力頂けたら本当にありがたい限りです <(_ _)>ペコ