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38歳社畜おっさんの巻き込まれ異世界生活~【異世界農業】なる神スキルを授かったので田舎でスローライフを送ります~  作者: 岡本剛也
第4章

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第255話 映像記録水晶


 最初はドラゴンの姿での映像が残されていたが、小さい頃のヤトさんは非常に可愛らしかった。

 泣くか笑うかの二択だったようで、笑っていると思ったら泣き、泣いたと思ったら笑う姿が記録されていた。


 二つ目の水晶からは、人間の姿のヤトさんが映し出された。

 母親であるティアさんの足にずっとしがみついており、今の天真爛漫な様子からは想像できないほどの恥ずかしがり屋な感じ。


 どういった過程で活発になったのか見てみたかったが、鑑賞会は二つ目の途中で終了。

 自分から見せてきたくせに、どうやら恥ずかしすぎたようで、顔を真っ赤にしながら水晶を奪い取っていった。


「お、終わりなのじゃ! これ以上は見ていられん!」

「小さい頃もすごく可愛らしかったですよ。佐藤さんもそう思いますよね?」

「もちろんです。ヤトさんがどうやって活発になっていくのか、続きが見たいですね」

「絶対に駄目なのじゃ! こんなに恥ずかしいものだとは思わなんだ!」


 威嚇するように喉を鳴らしながら、私とシーラさんを自室から追い出してきたヤトさん。

 映像記憶水晶もとても興味深かったし、本当にもっと続きを見たかったけど、本人が嫌がっているから仕方がない。


 再び行くあてを失ってしまった私とシーラさんは、仕方なく先ほど雑談していた場所に戻ることにした。

 戻る途中、前方からティアさんが歩いてくるのが見えた。


「あら! 佐藤さんじゃないですか! 遊びに来ていたの?」

「ティアさん、お久しぶりです。一度、ヤトさんの故郷を見てみたくて、遊びに来させてもらいました」

「そうだったの? そう思ってくれて、実際に来てくれるなんて嬉しいわ。ヤトと仲良くしてくれてありがとうね」


 私の名前を覚えていてくれたのも嬉しかったが、それ以上に顔に目がいってしまう。

 先ほど映像記憶水晶で見た姿そのままで、まったく年を取っている様子がない。


 元々美人な方だとは思っていたし、龍種の人は人間とは老い方が違う可能性も考えていたが、映像に映っていたヤトさんは明らかに幼かったからだ。

 人間と比べて老化が緩やかだとしても、若々しすぎる。


「……ん? ボーッとして、どうかしたのかしら?」

「あっ、いえ。ティアさんが若々しいなと思いまして、つい色々と考えてしまいました」

「あら! 佐藤さんは嬉しいことを言ってくれるわね! でも、そんなお世辞を言っても何も出ないわよ?」

「お世辞なんかじゃありませんよ。先ほどヤトさんから、幼い頃の映像を見せてもらったんです。その時とまったく変わっていなかったので驚いてしまって」

「……確かに、昔の映像のままでしたね。全然変わっていません」

「ふふふっ! 嬉しい言葉をありがとう! 私は龍種だから変化が出にくいだけなの。でも嬉しいから、今夜は色々と奮発しちゃうわ! 泊まっていくのよね?」

「はい。今日はお世話になろうと思っていますが、どうかお気遣いなく」

「いいのいいの! 前に訪ねた時はおもてなししてもらったし、今回は私がおもてなしさせて。じゃあ、また後でね」


 ティアさんはそう言い残し、ウキウキした様子でスキップしながら去っていった。

 行動までもが可愛らしい人だなぁと思う。


 それから私とシーラさんは雑談を交わしながら、夜ご飯の時間まで待機し、何事もなかったかのように呼びに来たヤトさんと一緒に食堂へ向かった。

 態度自体は普段通りだったが、さっきの映像については触れるなという圧をひしひしと感じたため、別の話をしながら向かう。


 食堂にはティアさんだけでなく、クリカラさんの姿もあり、相変わらず圧倒的なオーラを放っていた。

 私が案内された席に座ると、まずクリカラさんが口を開いた。


「佐藤、久しぶりだな」

「クリカラさん、お久しぶりです。お変わりないようで安心しました」

「我は龍王だぞ。当たり前だろう。それより今日は、どんな用件で来たんだ? ……ヤトを貰い受ける覚悟――ぶべっ」


 腕を組み、凄まじいオーラを放っていたクリカラさんだったが、隣に座っていたティアさんからノーモーションでパンチを食らった。

 ティアさんは笑顔を崩さなかったが、パンチの威力が凄まじかっただけに、その笑顔がかえって恐ろしい。


「あ、な、た。余計なことを言わないって約束したわよね? ……ごめんなさいね。気にせずご飯をいただきましょう!」

「ぬっはっはっ! 父はアホなのじゃ!」


 ヤトさんが楽しそうに笑っていたため、私とシーラさんもつられて苦笑いを浮かべる。

 クリカラさんはしばらく悶絶していたが、食事が始まったため、気にせず食べることにした。


 ヤトさんはいつも通り、エデルギウス山の料理が不味いと嘆いていたが、味はかなり普通。

 お世辞にも美味しいとは言えないけど、楽しく食事をすることができたのだった。



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