第249話 クリスマスケーキ
ゲーム大会が終わったあとは、それぞれ面白かったゲームを再び遊ぶ時間を設け、その後イベントホールに戻ってきた。
残っていたグループはお酒を楽しんでいたこともあり、出来上がっている人がちらほらと見受けられる。
「おー! 佐藤さん、戻ってきたかあ! みんなで一緒に酒を飲もうぜ!」
酒瓶を片手に近づいてきたのはロッゾさんで、私だけでなく、シーラさんやノーマンさんにも絡んでいる。
私としてはお酒を飲んでもよかったのだけど、飲む前に行うサプライズがまだ一つ残っている。
「お酒はもう少し後にいただきます。その前にひとつ、皆さんへのサプライズプレゼントがあります」
「サプライズプレゼントってなんじゃ!? わらわが優勝したからもらえるのかの?」
「……なら、私ももらえないとおかしいです」
「皆さん“へ”です。優勝賞品は別で用意していますので、楽しみにしていてください」
「私も聞いていません。一体なんでしょうか?」
「今から持ってきますので、もう少しだけお待ちください」
興味津々といった様子のシーラさんにそう伝え、私はノーマンさんとヤコブさんと一緒に別荘へ戻る。
そして、事前に作っておいたデコレーションケーキを魔動冷蔵庫から取り出し、急いでイベントホールへ運ぶ。
ようやくケーキをお披露目できるので、みんなの反応が楽しみで仕方がない。
手間もNPもかけた一品なので、喜んでもらえたら嬉しい。
「真っ白なクリームに赤い果物。見た目は神秘的にさえ思えるが、美味しいのか不安が大きいな。味見できなかったのが痛い」
「材料がギリギリでしたもんね。でも、大丈夫だと思います。クリームも苺も美味しかったので、間違いありません」
「きっと大丈夫っす! ノーマンさんと佐藤さんの手にかかれば、不味い料理にはならないっすから!」
「だといいんだが……クリスマスパーティーの大トリでコケたら申し訳なさすぎる」
「仮に失敗していたとしても、来年挽回するチャンスはありますから。それに、今年はすでに十分すぎるくらいの働きをしてもらいましたし、失敗しても責める人なんていませんよ」
不安そうなノーマンさんを、私とヤコブさんで励ます。
実際、イベントでの活躍は素晴らしいし、たとえケーキが美味しくなかったとしても責める人などいない。
……まぁ、99.9%美味しいと思うけどね。
そんな会話をしながら、イベントホールまでケーキを運んできた。
ヤコブさんに扉を開けてもらい、ケーキを持って中へ入ると……小さいながらも、どっと歓声が沸いた。
主に沸いたのは蓮さんたちで、クリスマスケーキを知っているからこその反応。
逆にシーラさんたちは、見覚えのないケーキにきょとんとした表情を浮かべており、今から味わったときの反応が楽しみだ。
「こちらはクリスマスに食べるデザートで、ショートケーキという食べ物になります」
「デザート……! 新しいデザートというだけでワクワクしてしまいます!」
「真っ白で綺麗な食べ物なのじゃ! でも、クリスマスといえばプリンとアイスじゃないのかの?」
「プリンとアイスは比較的簡単に作れるので、ケーキの代替品として用意していたんです。本来はこのケーキと、先ほど食べてもらったフライドチキンがクリスマスの定番ですね」
そんな説明をしながら、用意したクリスマスケーキを切り分けていく。
一人一カット分しか用意できなかったけど、クリスマスケーキを味わってもらうことはできるはずだ。
「クリスマスケーキを食べられるとは思ってなかった! 毎年毎年、進化しすぎでしょ!」
「本当に感謝しかないな。今日一日ずっと幸せだ」
「佐藤さんには感謝してもしきれませんね。ケーキの恩は一生忘れません」
「だな! 何があっても、俺たちは味方であり続けるぜ!」
蓮さんたちの嬉しい声が聞こえる中、シーラさんたちはケーキをいろんな角度から眺めている。
ヤトさんに至っては、待ちきれなさそうだし、早くいただきますをしてあげよう。
「それでは、全員に行き渡りましたかね? 今回は一人一カット分しか用意できていませんので、大事に食べてください。それでは——いただきます」
「「「いただきます!」」」
全員で挨拶をそろえてから、一斉にケーキを食べ始めた。
私もちゃんと仕上がっているか少し不安を抱えながら、一口食べてみたんだけど……美味しすぎる!
完璧なショートケーキであり、甘さも美味しさも抜群。
苺もほどよい甘酸っぱさで、久しぶりに食べるケーキが身に染みる。
「……お、美味しすぎます! なんですか、この美味しい料理は! まだこんなに美味しいものがあったなんて驚きです!」
「ほんっとうに美味しいのじゃ! ふわふわ、あまあま、うまうまなのじゃ!」
「本当にすごい。普段とのギャップで、何だか別の世界に来ている気分。佐藤さん、今日は誘ってくれてありがとう」
大絶賛の嵐で、ミラグロスさんに至っては若干涙ぐんでいる。
隣にいるノーマンさんも、ようやくホッとできたようで、安心した表情でケーキを口に運んだ。
「——うまっ。俺、こんな美味いもの作ってたのか。ここに移り住んでから、どんどん成長できているのが分かる。佐藤さん、俺を受け入れてくれてありがとな」
「こちらこそありがとうございます。そして、これからもよろしくお願いします」
地球の料理を再現していくうえで、ノーマンさんの力は絶対に必要だからね。
今回のクリスマスケーキも、私一人では作れなかったし、お礼を言いたいのは私の方。
とにかく、最後のクリスマスケーキも大成功だったし、今年も完璧なクリスマスパーティーだったと思う。
最高のパーティーで一年を締めくくることができて、本当に良かった。
来年もクリスマスパーティーを開催できるよう、また一年間しっかり農業に励み、この場所をもっと良いところに変えていきたい。
みんなの満面の笑顔を見ながら、私はそんな思いを胸に——クリスマスパーティーを最後まで楽しみ尽くしたのだった。
ここまでお読み頂き、本当にありがとうございました!
第249話 クリスマスケーキ にて第5章が終わりました。
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